「あれれ〜?
監督生ちゃんじゃーん」
「ホントだ〜!
ひとりでいるの珍しいねー?」
目の前には、にんまりと何か企んでいそうな顔をして私を見下ろしている二人組。
獣耳があるから、恐らくサバナクローの寮生だろう。
ああ、嫌な予感がする。
早くこの場から逃げないと不味い気がする。
サバナクローの寮生は血の気が多い。
面倒事は避けたい一心で、当たり障りないよう微かに笑みを浮かべて返答する。
「あー、はは、ちょっと友達とはぐれちゃいましてー。
多分近くにいるとは思うんですけどねえ。
でも次の授業も迫ってるし、もう友達のことはいいかなー?
では、私失礼しますね!お邪魔しました!」
そう一気に捲し立てて、そそくさとこの場を去ろうと背を向ける。
お願いだから絡まないで下さい、と心の中で必死に願いながら、何とか足を踏み出すが願いも虚しく……。
「ええー、どこ行くのー?
友達いないんなら暇でしょ?」
「俺らと遊んでよ。
楽しいことしよーぜえ!」
「いや、でも、次、授業があるのでッ!」
男二人にガッチリと肩を掴まれ身動きが取れなくなっていた。
必死に身体を捩ってみるがびくともしない。
ヤバい、こんな状況じゃあ逃げようがない。
「俺ら、ホントついてるー!」
「なあ!監督生ちゃん、ずっと周りに人いんもんなあ」
何が面白いのか。
ケラケラ愉快そうに笑いながら、徐々に私を校舎から遠ざけようと茂みの方へ腕を引っ張られる。
必死に抵抗するがやはり体格差故ずるずる引きずられてしまう。
「ははは!そんな小さい体で必死に抵抗したって無駄無駄!」
「一人になったのが運の尽きーってな!
ダメだよー、もっと警戒しねえと!」
「何なんですか!ホントにッ、やめて下さいッ!!離してッ!!」
体での抵抗が出来ないなら、叫ぼうとするが試みも虚しく、すかさず口を抑え込まれる。
「はい、残念!ははは!」
状況が絶望的になってきた。
最早助かる見込みが、たまたま誰かがこの茂みを覗き込んでくれるくらいしかない。
段々と焦りが大きくなってきて、意味もなくバタバタと抵抗をする私の顔を男は愉しそうに覗き込んでくる。
「つかさあ、最近監督生ちゃん可愛くなったよねー。
こんなむさ苦しいところでそんな可愛くなっちゃあ、狙われても文句言えないよー?」
「何何ー?恋でもしてんのー?」
「あれ?お前知らねえの?
こいつ、あのヤバい方のウツボ野郎のこと好きだって噂になってるぜ。
しかもなんかー、ウツボ野郎を追いかけては逃げられてるらしい」
つい先ほどまで行われていた行動を言われ、思わず息を詰めた。
男二人は馬鹿にしたような笑みを浮かべながら、私の頭上で会話を続ける。
「は?あのウツボに?
うーわ!逃げられてるとか完全脈なしじゃん!かわいそー!!
大丈夫!俺らが慰めてあげるからねー?」
脈なし、可哀想…….。
そんなこと他人に言われなくても、自分で分かっている。
でも、他人の口からそう言われると、どうしようもなく腹が立つし、悔しいし、悲しい気持ちになった。
それが私を襲おうとしている男たちでも。
限界だった。
「あらら、泣いちゃったー」
「かわいそーにねー?俺らが忘れさせてあげるからねー?」
「お前、さっきからきめえよ!!ぎゃはは」
「うっせえーよ!」
抵抗が弱くなって好機と思ったのか、男二人は私を押し倒し馬乗りになる。
絶望と悔しさと悲しさ……色んな感情が溢れて、それに呼応するように涙が流れる。
息の荒い男の手が腕や頬、太ももを撫ぜる。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い!!
でも、体は全く動かず、男たちに良いように触れられてしまう。
いよいよ下着に手がかけられ、私は現実を見たくなくて目を強くつむった。