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 それ以来、鏡に映るたびに自身の姿を確認することが、妙に癖づいてしまった。それも、イヴァンと一緒にいる時だけ。

 なんだか意地になっている、くだらない、と、頭では分かっているのだが、気持ちのほうが納得できないのだ。この焦燥感をつきとめたいと、そんなふうに思ってしまった。

 そもそも、俺は自信家のようにふるまってはいるけれど、イヴァンに対してオープンであるとは言い難い。手のうちを晒すことが大嫌いだ。
 やすやすと内側を見せたくはない、本心は隠しておきたい。

 あいつに知れたら「性悪だ」と言われそうだが、べつに構わなかった。自分という存在の不安定さは、痛いほどに分かっているのだ。だからこそ、強さだけを見せていたかった。

 これは言い訳でも何でもないのだが、俺はあいつに対して、偽りの気持ちを抱いたことはない。真っ直ぐに俺とつきあうイヴァンに、おなじだけの無邪気さを返すことが出来なくても、俺なりの誠実さをもって接してきたつもりだ。
 きっと相性は最悪だけれど、そんなことには関係なく、俺がイヴァンの一番なのだという自負すらあった。

 あいつの気まぐれにも付き合うし、面倒くさいところを笑いとばしてやる。いじめて、からかって、怒ってやる。
 つれないことを言われても「俺のことが好きなくせに」と、強気の態度を貫いた。実際に惚れられているんだから、間違いじゃない。それでイヴァンが笑えば、やっぱりこれでいいのだと、ますます思い込んでいった。

 だが、最近、ふと分からなくなる。

 間違いでなければ、何をしてもいいのだろうか。どんな期待をしても、いいのだろうか。

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