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【00:10】
きゅっと緑の密度が濃い、ちゃんとお手入れされてる芝なのかな。
芝生の公園って素敵だ、夏ならきっと裸足で遊べる。ギルが煙草を携帯灰皿に捨ててくれて、僕は嬉しかった。
間近に草のうねりを見る。密集しているものが好きだ、ひとつひとつを見つめた時に、その精緻さに驚くような。だから、コール・ド・バレエも、ひまわりの種も好き。
こうして横たわっていると、自分の大きさなんか忘れて、青い胡桃にでもなった気がする。いつか殻のはじける日に、草のなかへ入ってゆけるだろうか。まだそんな予感は全然しない。
ストールの首元を少しだけ緩めた、ちくちくと草の先が入り、緑が生きている実感がある。手の甲でまわりの芝を撫でた、とても気持ちいい。
ギルベルトはブランコを立ち漕ぎしている。ぎいぎい、大きな音が響く。壊れそうなくらい派手に漕いで、突然、振りきれたように飛び降りた。
急に自由になったブランコが、硬質な音で夜風を切る。
「……なにしてんだよ」
声が、ひどく優しい。
「なにもしてないよ」
夜空を見上げれば、月が青白く、幻のように照っている。
「ここ、湿ってるじゃねぇか」
本当だ、かすかな霧で濡れている、雨粒よりも小さな水滴で。だけど、それも心地よい。背中から息をすいこむように、しっとりした夜露の甘さに沁みいる。そこらじゅう、夜で満ち満ちていた。
隣へ腰かけたギルが、僕の前髪を一房とって、そっと指をすりあわせた。髪まで湿っているのかもしれない。
そのまま、ひやりとした指が額に触れてくれて、濡れた毛先で肌をくすぐる。
「寝るなよ、かついでは帰れない」
「うん、ちょっと、目を閉じるだけ」
静まりかえった住宅街のどこかで、窓が閉まる。車のない通りに、信号機が点滅を繰り返していた。遠く、どこへともなく遠ざかる電車の振動と、光が重なる。
目を閉じると、ギルベルトは僕の髪を、草に織り交ぜるようにして撫でた。
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