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以来、凛とは帰りにストリートテニスに行くことが多くなった。
少しずつ夏休み前の勘も戻ってきて、レベルの高いラリーが続けられる。
クラスでも騒いでいることが増えて、また先生に怒られる日々だ。
自分の心境が変わったせいか、あの助言をくれた日から、金城は尚更冷たいところに居るように感じる。
「うきみそーち」
朝話し掛けてみたら、金城はちらりと俺の顔を見てから、おはよう、と小さく呟いた。
金城の容姿は、中の上くらいだと思う。
誰もが似たり寄ったりな顔や髪をしている中で、金城はそういうこともなく、素直に綺麗だと言えるだろう。
「笑ったら、かなさんと思うんやしが…」
考えていたことはいつの間にか音として紡がれていた。
何が、とでも言う顔で見てきた金城の様子から、自分の事だとは気付いてないのだろう。
確実に。
「いや、」
その先を紡ごうとして、でも急に恥ずかしくなって口を結んだ。
なんだ、とでも言いたそうな金城に、何でもない、と言って窓の外に視線を移した。
なんで。
俺は、そう思ったんだろう。
特別、顔が整ってる訳でもない。
…まぁ、崩れてもいないが。
唯のクラスメイトの金城を、なんで?
この疑問が解明されるときは来るのだろうか。
学校で、金城の一日を眺めてみた。
朝。
かなり早い時間に来ているようだ。
登校が重なった日は今までもない。
…俺が遅いだけかもしれないけど、それは今は横に置いておく。
午前の授業中。
かなり真面目に先生の話しを聞き、ノートをとっていた。
でも、積極的に発言する訳ではない。
クラスのおとなしい優等生。
そんな雰囲気だ。
昼。
気付けば居なくなっていた。
多分一人でどこかで食べてる。
部室方面でないのは確か。
俺はそっちで食べるけど、見掛けたことが無いからだ。
午後の授業中。
午前より集中は切れやすい。
でも相変わらず真面目。
昔、一度だけ寝ているところを見たことがある。
放課後。
HR前に帰ること多々あり。
HRに出席しても、挨拶と同時に帰る。
「…………だぁぁっ」
結果を眺めて、俺は尚更金城という人物が解らなくなった。
なんであいつは笑わないんだろう。
一人でいるんだろう。
一人は退屈で、寂しくて、辛いのに。
どうして…。
「裕次郎?
ぬーしちょるんばぁ?」
机の突っ伏して頭を抱えていると、頭上から凛の声が響く。
職員室に呼ばれていた凛が帰ってきたのだ。
顔を上げると、凛は俺の机の上にあるノートを覗き込む。
ノートには観察した金城の様子が書いてある。
それを見た凛は見てはいけないものを見た、とでもいうような顔で俺を凝視した。
「やー、いちぬ間にストーカーんかいなったんさぁ?」
取り敢えず一発蹴ってもバチは当たらない筈だ。
えい、と勢いよく振った足は凛のむこうずねに当たって、凛は足を押させて蹲った。
ざまぁ。
「つまり。
わったーが“仲直り”なたんや、あにひゃーぬお陰ってくとぅさぁ?」
俺の説明を聞いて、凛は簡潔にそう言った。
「…おう」
「なら、わんもあにひゃーと話してみたいみたいやぁ」
そう言って笑う凛。
やっぱり、凛ならわかってくれると思った。
俺は、ブンブンと頭を振って頷く。
「かんなじ、ゆたさん奴なんさぁ!
やくとぅ、ぬーんちあんねーる一人で居ようとするぬか気になる……」
俺が考えるに、金城は永四郎とはまた違うタイプだけど、リーダーシップを取れる人間だと思う。
そう思うのは、金城がよく回りを見ているからだ。
そして、だからこそ俺に一言“助言”をくれたんだ。
そういうことが出来る人間は、そう多くはない。
金城はきっと、前の学校では仕切るような立場に居たんじゃないか。
そう思うんだ。
「じゃ、行くんどー」
「あぃっ?」
凛がいきなりそう言って立ち上がる。
何処に居るか解っていれば、俺だって会いに行くけど。
そうしたら、凛はにやりと笑った。
「金城。
前にクラスぬ誰かから聞いたんやしが、放課後や屋上に居るらしいんどー」
その言葉に、俺は目を瞬かせた。