凛ちゃんと付き合って、二ヶ月経った頃だった。
いつもの海で、一人で歌っていた。
凛ちゃんがそろそろ、部活から帰ってくる時間。
私にとって、至福の時。
そんな日々が、これからも続いていくと、信じていた。
そんなある日、私は声を掛けられた。
「君、この前海で歌ってた子だよね?」
スーツを着た、沖縄にはあまり似合わない人。
心の中、何かが壊れた。
もし私が歌手に憧れなんか抱いてなければ。
頷かなければ。
夢よりも凛ちゃんを想っていれば。
あの日、海で歌っていなければ。
考えるのはくだらないもしも、ばかり。
ごめんね、凛ちゃん。