16



学年が変わった。
高校も二年になって、俺の学校はクラス替えから一年が始まった。
去年は同じクラスだった裕次郎と離れ、知念、永四郎と一緒になった。
ひなにメールすれば、

「サボれないね(笑)」

と返信が次の日に来た。



その日の午後、部活が始まる前に溜め息をついて、俺は空を見上げた。
最近はよく思うことだけど、やっぱり感じるんだ。

「遠いなぁ」

本土には、この空を飛ばなくちゃ、あの海を泳がなくちゃ、君に会えないんだ。

「平古場クンらしくないですね」

着替えが終わった永四郎が、部室から出て言う。

「ぬーがや」

睨みながら聞けば、

「らしくないって言ったんですよ。
金城クンに直接言えばいいでしょう」

と言われた。
なぁ、永四郎。
お前、馬鹿じゃねぇの?

「いちゃし、」

どうして言えるんだよ?
夢を叶えたひなに、帰ってこいなんて。
そんな、自分本位なこと。






朝、全国大会で東京に行くことを告げようと思って電話した。
でも、昼にかけても、夜にかけてもひなは出なかった。
すれ違いのようにひなからの着信もあって、あぁ、もうこのすれ違い、なおることは無いのかと思うと無性に悲しくなった。

結局、次の日の夜、俺はひなにメールした。
ひなからのメールは電話に出れなかった謝罪と、応援の言葉が綴られていた。

会えるかも、なんて淡い希望は、一瞬で消えた。



ひなは付き合いだして間もないときにコルクボードを買ってきた。
そして、かつて二人で撮った写真を、そこに貼っていた。
そのコルクボードはひなの家に飾られると思っていたけど、今も俺の部屋の一角を彩っていた。
その場所だけは去年から一切変わらなくて、変わったのは俺の部屋だけじゃなくて。
俺も、ひなも変わってしまった。

「自然消滅かよ……」

呟いたあと、笑ったつもりだった。
だけど、実際に出たのは、涙だった。

なんだよ。
いつの間に俺はこんな涙もろくなったんだ?

「なぁ、ひなっ……」

俺は今も、こんなにお前が好きなんだ。

頭の中に響く歌声。
いつも傍で聞いていたその声が。
今では機械越しでないと聞けなかった。



ヘッドホンの音量を最大にすれば、外して砂浜に置いていても音楽が海岸に響く。
嘗ては日常だった、海岸に響く声。
今、それはどんな奇跡があれば現実になるんだろう。

携帯を投げ捨てて、俺は海へと駆けた。
始めは砂浜が足にもつれ、いつものスピードが出ない。
次は水、波。
腰まできた水に潜って、俺はサンゴ礁が見えるところまで泳ぐ。

続かなくなった息を吸うために海面へ顔をあげれば見える太陽。
まるで弱虫と罵られてる気がして、あぁ。
そんなにどうして、俺を見るんだよ。

空気を胸に詰めて、また潜る。

深く

深く。

ひたすら深くへ。

君と居ることが出来た過去に戻れ。

涙が流れてるのかどうかは、海の中ではわからなかった。
唯、潜ってる事とは関係無く、鼻の奥がツンとした。