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幸せ気分でちらりと裕次郎を見たら、疲れた目で俺を見ていた。
「ぬーがや」
「いや、ぬーもねーらんさぁ」
そう言って、裕次郎は俺から視線を反らした。
失礼な奴だな、一瞬そう思うけど、裕次郎は昔からこんな奴だ。
俺は何のリアクションも取らずに諦めた。
ひなが夕食を全部並べきった。
其の後ビールも運んでもらったら、呆れたように笑った。
「にふぇーでーびる、ひな」
裕次郎の言葉に、どういたしまして、と答えながらひなは座った。
「くわっちーさびら」
俺が言うと、二人も言った。
俺と裕次郎が食べ始めたのを確認してから、ひなは食事に手を付ける。
その様子を見て、やっぱ結婚してよかったなぁ、と思う。
「まーさんさぁ!」
裕次郎が食べ物を飲み込まずに言う。
こいつは中学の時から変わんねぇな、と思った。
「にふぇーでーびる、裕次郎君」
ひなはそう言って笑った。
「凛が羨ましいさぁ。
くんぐとーるちゅらかーぎーで、料理ぬまーさん嫁さんで」
裕次郎の言葉に、ひなは顔を真っ赤にさせた。
「悔しかったら裕次郎もひなと同じくらいゆたさん嫁貰えよ」
俺がそう言ったら、裕次郎は顔を真っ赤にさせて、挙動不審になった。
その様子を見て、ひなはクスクスと笑う。
「やったー、どうしたんばぁ?」
聞いたら、裕次郎がバシッという音を立てて箸を置いた。
「食べ終わったからあびてぃーうむたんやしが、丁度良いからあびるさぁ」
「ん?」
「わん、結婚する」
「へぇ……」
裕次郎が結婚、かぁ。
いつの間にそんな相手出来たんだ?
そっか、結婚……。
結婚!?
「は!?」
裕次郎はまた一段と顔を赤くさせて、俯いた。
「ちょ、えー!
いちぬまんかいうんぐとーる相手なたんさぁ!?
つか、たーが!?」
「相手は、ひなぬ友達さぁ」
「ひなぬ?」
ちら、とひなを見たら、嬉しそうに頷いた。
「ゆいやっし。
わんも、ちゅーゆいんかい聞いたさぁ」
あー、だからひなは知ってたのか。
んー……。
納得いかねぇ。
じっ、と裕次郎を見れば、諦めたように息を吐いてから、口を開いた。
「くぬめぇ、たまたま那覇で会ったんばぁよ、で、飲んでたら……」
裕次郎はちらりとひなを見た。
ひなはクスクスと笑いながら、俺に言う。
「ゆいは、中学ぬ時、裕次郎君ぬくとぅしちゅんだったんばぁよ」
「だぁを知って……、なまんかい至る」
俺は裕次郎を見ながら、大きく息を吸って吐いた。
俗に言うため息と言うやつだ。
「超スピード結婚やっし…」
「わったーとは正反対さぁ」
ひなの言葉に大きく頷いた。
「で、な?
くりやゆいもまだあびらんとうむうんやしが…」
「うん?」
「わったーぬ、披露宴で、挨拶してほしいんばぁよ」
裕次郎に言われて、俺達は目を合わせた。
「ちばって、凛ちゃん!」
「ちばりよ、ひな!」
そして声を揃えた。
裕次郎は少し笑ってから、言う。
「あらんさぁ、やったー二人ともやっし!」
「えぇ!」
「は?」
裕次郎の言葉に、俺達はまた声を揃えた。
「む、無理やっし、裕次郎君!
わん、挨拶なんてっ…」
「二人とも一緒に壇あがってゆたさんさぁ、やくとぅ、頼む!」
パンっという音を立てて裕次郎は両手を合わせ、頭を下げる。
ちょっと前の裕次郎とは違って、真剣なのが痛いくらいに伝わってきた。
俺達は目を合わせた。
ひなが困った様に微笑むから、俺もふっと頬の筋肉を緩めた。
「えー、裕次郎」
声を掛けると、おずおずと顔をあげる。
「わったー、やるさぁ」
かひながそう言うと、裕次郎はぽかんと口を開いた。
「し、しんけん?」
「おう、しんけんさぁ」
ひなを見て、な、と呟くと、ひなはうん、と頷いた。
それを見て、裕次郎はぱっと笑みを作った。
「しんけんっ、にふぇーでーびる!
ゆいんかいメールすっさぁ!」
「今度や二人でちゅーさ。
ゆいんない、やーぬ何処がゆたさんぬか聞くからよー」
裕次郎は一瞬驚いた表情をしてから、にっと笑った。
「おうっ!」
俺とひなは、嬉しそうに携帯をいじる裕次郎を見て、唯微笑んでいた。
次の日の朝、朝食を作りながらニュースを見ていたら、再び見知った顔の並ぶ一面の新聞。
「えー、昨日、多くの新聞で扱われた金城ひなさんの不倫問題が誤りである事が解りました。
昨日報道された金髪の方が凛さんだそうです。
凛さんは、中学時代から金髪に染めていて、式や大事な行事の際に黒髪に染め直している、との事です」
その後にも、俺やひなについてつらつらとご託を並べていく。
あーぁ、こいつらって、本当に自由な奴らだな!
ま、いいか。
これでまた 、平穏が訪れる。
俺は暢気にそう考えていた。