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夜、チャイムが鳴ったから俺は玄関に向かう。
ちなみにひなは料理中だ。
扉を開けば裕次郎と、ゆいが並んでいる。
その表情が嬉しそうに見えるのは、見間違いではないのだろう。

「めんそーれ」

そう言って家の中に招くと、裕次郎とゆいが順に家に入った。
廊下をゆっくり進むなか、やっぱり会話に上がるのは俺の絵。

「平古場君、相変わらず絵上手やっし」
「相変わらずってどういう意味さぁ?」
「中学ぬ頃も上手かったけど、なまはもっと上手いなぁ、とうむたんさぁ」

ゆいはそう言って、クスリと笑った。

「裕次郎を見てた時んかい、わんぬ絵見ちょる暇あったんばぁ?」

からかうようにそう聞けば、ゆいは顔を真っ赤にさせた。
そして、慌てて首を横に振る。

「わ、わん、別にっ……あー、裕次郎君、平古場君がいじめるっ」
「まぁま、ゆい。
凛からかってるだけさぁ」

そう言ってゆいの頭をぽんぽんと叩く裕次郎。

つまんねぇ。

そう思って、裕次郎の背を蹴った。

「うぉっ」
「きゃっ」

あはははは。
二人揃って倒れておめでとう。
俺は二人をほっといて居間に向かった。

「あれ、凛ちゃん?
二人は?」
「直ぐにちゅーさぁ」

俺がそう言った直後、真っ赤な顔をした二人が姿を見せた。

「めんそーれ。
どうしたんばぁ?
真っ赤な顔して……」

ひなの問いに、ゆいが俺に聞くように呟いた。

「平古場君?
ぬーしたんばぁ?」
「うっぴーねぇ、遊んだだけさぁ」

そう言って、くっくと笑った。

「ふらー背中痛いんやしが!」
「わんが知るか!」

裕次郎にそう返して、俺はゆいに話しかける。

「えー、ゆい」
「? ぬーがや、平古場君?」

首をこて、と傾けてゆいは問う。

「名前」
「え?」
「わんぬくとぅ、名前でゆたさんさぁ」

そう言ったら、ゆいはふわりと微笑んだ。
あ、今なら裕次郎がゆいに惚れた理由が解る気がする。

確かに、可愛いし。
まぁひなには負けるけど。

人当たりも良い。
これもひなには負ける。

でも、良い奴、なんだ。

「にふぇーでーびる、凛君」
「おう」



夕食を食べてから、裕次郎とゆいは式場のパンフレットを取り出す。
改めて思ったけど、こいつら出会いから結婚までの時間が短すぎるって。

裕次郎が那覇に居たのなんて、本当にちょっと前だぜ?
あれか。
結局、二人とも昔から実は想い合ってたって訳か?

あー、やってらんねぇ!

「で、凛達はどうしたんばぁ?」

裕次郎が式の一部を、俺たちに問う。
パンフレットを見れば、プランやら何やらのページ。

「わったーは別ぬ式場やしが、こんな感じのプランだったとうむうさぁ」

ひなが一つのプランを指差して呟く。
俺はそれを見ながら、頷いた。

「やさ、こんなプランだったな」

へぇ、裕次郎とゆいはそう呟いてパンフレットを凝視する。
俺はひなと目を合わせて微笑んだ。

何だかんだ言って、友人が幸せになる姿を見られるのは嬉しいものだ。



一通りの質問に答えて、気づけばもう真夜中だった。
裕次郎とゆいは申し訳なさそうに、でも嬉しそうに帰っていった。

片付けをしながら、ひなが呟く。

「幸せそうだったさぁ」
「やんやー」

それに頷いて、俺はひなの様子を眺めていた。

「わったーぬ式ぬ時や、あにひゃー、好き勝手やってた癖に……」

帰る前に変なことすんなよ、と釘を刺されたから、ちょっとムカつく。
ひなは一瞬ハテナマークを浮かべたかと思うと、なんの事か解ったのか、すぐにあぁ、と呟いた。

「わったーぬ式ぬ時や、じゅんに凄かったさぁ」
「まさかぬゴーヤケーキ!」

ひなはクスクスと笑う。

「ありや死ぬかとうむたさぁ……」

思い出しただけでも吐き気が…。
あー、ヤダね、ホント。
なんであいつ……企画裕次郎、実行永四郎だろうな、うん。
あいつらあんなん考えたんだよ馬鹿だろ。
マジで最悪。
新郎殺すような真似すんなし。

ま、ひなが笑顔で居たからあいつらは今も朝日を拝めてる。
もしあの時ひなが笑ってなかったら、あいつらの命は俺の命に変えてでも無くしてたさ、うん。

「ま、ありでこそ、わったーぬ式、だったぬかもしれんさぁ」

それに、こんな風ににこりと笑われたら、

「やさ」

頷くしかねぇじゃん?
俺の世界はひなを中心に回ってんだから!