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帰り道、いつもと違って私と凛ちゃんの間には距離が出来る。
パンクの為家で休憩中の自転車が、今は恨めしい。
家から自転車で数分の距離にある海も、歩けば大分遠く感じるものだ。
特に、今みたいな居づらい状況下では。

はやく、家に着け…!

「なぁ、ひな」

そう思ったのに、凛ちゃんはすたりと立ち止まった。

「ぬー?」

急に立ち止まった凛ちゃんを振り返りながら、私は聞く。

「わったー、随分前からくんぐとーる関係やさ?」

そう言われて、私は頷く。

「やんやー」

私たちな関係は、中学の時に変わりかけた。
でも、結局は変わらずに、今もこうして遊んでいる。

「わったー、いちまで変わらねーらん関係さぁ?」
「あい?」

丁度。
風が吹いて。
凛ちゃんの綺麗な金髪がそよぐ。
私はその姿を、ただ見ていた。

「わん、やーぬくとぅ、いっぺぇしちゅんさ。
わんは、くぬ関係から、一歩も踏み出せねーらんぬか?」

切なく顔を歪ませる凛ちゃん。
あぁ、そんな表情しないで。

「凛、ちゃん……」
「二人から聞いたんだばぁ?
わんがひなぬくとぅしちゅんだって。
だぁ、しんけんさぁ」

あぁ、本当に。
それは事実だったのか。

なんて。
私は暢気に考えていた。
暢気に考えることしか出来なくて、何も口に出来ない。

「変わるぬが怖くて、やーんかいフラれるぬが怖くて、ずっとあびれなかった。
やしが……」

凛ちゃんは、俯かせていた視線を私に向ける。
視線が、合った。
凛ちゃんの青みがかった瞳が揺れていた。

「やしが、だぁでもわんややーぬくとぅ、しちゅんやくとぅ。
やーはわんぬくとぅどう思っちょるんさぁ?」

ふと見た凛ちゃんの、拳が、震えていた。
怖いんだ。
私と同じで。
私たちの今までの在り方が心地よすぎて。

怖いんだ。
この関係が変わる先に、何が待っているのか。
それを知るのが、怖い。

「わんは…」

ぽつりと呟く。
でも、言葉が続かない。
大丈夫、大丈夫と、自分に言い聞かせて、私は凛ちゃんに笑いかけた。

「わんも、凛ちゃんぬくとぅ、しちゅんさぁ。
でーじしちゅん」

凛ちゃんはぽかんとした目。
はっと気付いたように、まじで、と呟く。

「わんも、変わるぬが、怖かったんばぁよ」

凛ちゃんは私の体を抱き寄せて、肩に顔を埋めた。

「にーふぇーでーびる、ひな」

耳元なのに、注意しなきゃ聞き取れない凛ちゃんの声が、愛しく感じた。