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江戸川コナンに協力を依頼した翌日から、状況は一気に変わっていく。
集められた書類に目を通し、次の指示を出し、重ねて思考する。
そして幾日目かの夕方、風見、松田、萩原が揃ってやってきた。

「遅くなりました」

風見の唇を読む。
その手には打ち合わせていた通り、二着の防爆スーツと解体道具があって僕は口角を上げた。

「流石にここにいるのも飽きてきたしね。
頼んだよ」

僕と目を合わせたあと、風見はひなさんへと向き直った。
萩原と風見、そしてひなさんが会話をしている。
受話器を上げていないからその会話は聞こえないが、この首にある爆弾の解体の最中、ここに居るか否かを聞いているのだろう。

一度は俯いた彼女が、意を決したように前を向く。
その目には、やっぱり普通の女性とは到底思えない強さがあって、僕は目を細めた。

風見と松田が中に入ってきて、その手に工具を持つ。
外では萩原が指示の為に受話器を手にしていたし、三人の気を散らせないためだろう、少し離れたところでひなさんがこちらを見ている。

「僕の命、お前たちに預けた」

そう言うと、僕の声が届いた三人はそれぞれ目を見合わせ、笑った。

実際の構造を確認しつつとなるので時間は掛かるが、実際に作業する手が二つ、爆弾のエキスパートも二人ということもあって着実と進んで行った。

爆弾の解体が終わり、それをそのまま再生させる。

「お前、ホント性格悪ぃな」
「相手を油断させるための作戦だ。
それに、松田には言われたくない」

そう言ってきた松田にはそのままその言葉を返しておいた。
作らせておいたレプリカを手に、ガラスケースの中から数日振りに外の世界へ出る。
一時はもう生きては出られないかとも思ったが、優れた同期と部下、そして協力者の尽力のお陰で何とかなった。
有難いことこの上ない。

「風見。
中和剤の作成を急がせろ」

流石に爆弾処理を滅多にしない風見は消耗しているし、慣れている松田ですらも普段見ないタイプということもあって直ぐには復活しないだろう。
が、電話ひとつでできる指示出し程度ならなんとかなるだろう。

「データを改めて僕に送ってくれ。
全て洗い直す」

ついでにデータを催促して、僕は扱い慣れた端末のある家へと向かう、その前に。
僕はエレベーターの前で立ち止まりひなさんの方を振り返った。
何かを話そうと思ったが、話す言葉が出てこず口を噤む。
感謝も、何も、上手く言葉が出てこない。
言葉を選んでいるうちに、目の前の彼女がふわりと笑ったのを見て僕は息を飲んだ。

「いってらっしゃい」

そう言った彼女の表情が、余りにも暖かくて、優しくて。
もう何度も聞いたはずの彼女のいってらっしゃいが初めて聞いた言葉のように、特別に聞こえてしまった。

「…いってきます」

そう返して、僕はエレベーターへと足を踏み入れた。