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バレーボール部に入っていた中学時代、帰り道はいつも大きな公園の横を歩いていた。
友達と帰るためにほんの少し遠回りするのもいつものことで、強くないけど弱すぎることもない、程よく楽しむにはちょうどいいチームだった。
その日、友達と別れた後にある少し大きな通りで子供が縁石で遊んでいるのが見えた。
近くに母親と思われる人はいたけれど、子供より携帯の方が可愛いらしい。
目線は手元の携帯だ。
あぶないなぁ。
そんなことを考えていたせいか、なんとなく子供の様子は視界に入れていた。
少し、離れたところで騒ぎが聞こえた気がした。
振り返って騒ぎの方を見てみると、叫び声やクラクションまで鳴り響く。
なんだろう、なんて思った瞬間に答えは出て、逆走した車が信号無視やらなんやら起こしているらしい。
その車を視界に入れた後、縁石で遊ぶ子供をふと見ると道路に飛び出していた。
危ない、なんて声よりも先に、体が動いた。
バレー部でよかった、きっとあれだけ早いボールをレシーブすることになれてなかったらこうは動けなかった。
飛び込みレシーブをするように子供を押しのけて、次の瞬間には、目の前に車があった。
痛いとか、怖いとか、そんなことを考えてる余裕はなかった。
「ヒロ!
警察に電話だ!
僕は救急にかける!」
「オーケー、ゼロ!」
近くで、男の声がした。
まだ変声期が来ていない高い声。
「はい、3丁目の交差点で…はい」
電話の向こうと話しているのだろうか、断片的な会話しか聞こえない。
「もしもし、聞こえるか?
おい!」
「…ぁ_」
肩を軽く叩かれていて、自分に向かって声が掛けられたのだとわかった。
目を開けたときに、褐色の肌とミルクティーブラウンの髪が視界に入る。
日本人離れしたアリスブルーの瞳が、私を見ていた。
「わかるか?」
そう聞かれた。
なにがだろう。
わからないけれど、彼は、まるで。
「あむ…ろ、さ」
大好きな人に、似ていた。