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園子ちゃんとも再会し、ポアロで時折話すようになった。
園子ちゃんと会ったのは一年ぶりだったが、彼女は京極さんとの付き合いを経て素敵な女の子になっていた。
恋は人を変えるのだなぁ、とおねーさん微笑ましい気持ちでいっぱいです。

「そーだ!
ひなさん、今度伊豆にテニスしに行くんだけど、一緒にどう?」

ある日、唐突に園子ちゃんに誘われた。
現在蘭ちゃんは自宅にご飯を炊きに戻っていて、席には私と園子ちゃんだけだ。

まじか、なんて思ったことは表に出さないように努めた。
知らぬ間にミステリートレインが終わっていたらしい。
どうりで最近降谷さんに会わないわけだ、と納得する。

今の私は、少年探偵団とも接点がなく、園子ちゃんとも特別仲がいい訳でもない。
となると、あまり原作軸に関わりはないだろう、なんて高を括っていたのだが、どうやらこの度誘われる立ち位置へと変わってきたようだ。
園子ちゃん、懐広すぎないか?

「私、テニスしたことないよ?」

縁がないスポーツを理由に断ろうと画策するが、園子ちゃんは折れそうにない。

「安室さんに教えてもらうのよん!
ひなさんも一緒に教わりましょ!」
「安室さんに?」

園子ちゃんが降谷さんの学生時代の栄冠を説明してくれている。
降谷さんの栄冠も、園子ちゃんがテニスをしたい理由も把握しているが、そこでなぜ私が誘われる流れになるかがわからない。
正直、進んで原作軸に関わりたくは無い。
死体とか見たくないし…。
じゃあ事件を防げるか、と言われると正直私の頭じゃ無理だ。
断ろうかと口を開くと、そのタイミングで梓ちゃんがカフェオレを持ってきてくれた。

「ひなちゃんもいくんですか?
テニス」
「え、いや、」
「そうなの!
あまりひなさんと話す機会なかったけど、蘭からずっと話聞いてて。
この機会にたくさん話せたらなーって思って」

にっこりと笑う園子ちゃんの可愛さに胸きゅんだ。
もしこんなこと言われちゃったら京極さんもときめくよね、わかる。
なんて関係ないことを思うのは現実逃避だ。
いや、現実逃避してる場合では無い。
ここで安室さんと接点増やしたらコナン君に疑われる一方だよね、と気持ちを持ち直す。

「あのね、」
「オジサンが車、普通か軽どっち借りてるか分からないし、ひなさんのお迎え安室さんに行って貰えるよう伝えとくわね!」

いや、ひとの話聞いて!?
最高に一番よろしくない流れだ!
梓ちゃんも微笑ましそうに見てないで!

「私、安室さんの連絡先知らないし」

素晴らしい速さでスマホをいじる彼女を止めようと言い訳を募るが、その間に打ち終えたのか、園子ちゃんは画面をこちらに向けてにっこりと笑う。

「今送っておいたから」

あまり!降谷さんとの接点を!
作りたくないんだってば!!
なんて心の内を叫ぶ訳にもいかず、止める手立ても思い浮かばず、流されるままになっている。

「どうしたの?」

そんなタイミングで戻ってきた蘭ちゃんが、私達の様子を見て首を傾げている。
園子ちゃんが事の顛末を説明すると、目を輝かせる蘭ちゃんに私は拒否する道が閉ざされたことを悟った。