狼たちの気持ちの段

僕が医務室付近で休んでいるとふと凄いスピードで近づいてくる気配を感じた‥‥

反射的に警戒心を強め気配を探っているとどうやら茂みの中にその気配の主がいるようだ‥‥。


履物を持っていない為ぼくは裸足のまま庭に出て茂みに近づくと気配の正体は狼二匹だった。

初めての同胞?といっていいのかな?に出会えて僕は嬉しくもあり少し悲しく感じた‥‥

ここにも「被害にあった仲間がいるんだ」と‥‥
「人間に囚われて飼われている仲間がいるんだ」と‥‥

狼たちの言葉はわかる父上が教えてくださったから‥‥

「きみたち‥‥も、‥‥ここに飼われているの?」

狼たちは警戒を強めながらも「そうだ、お前は何故耳と尻尾が生えているんだ?珍しい人間がいるもんだ」と答えている

「ぼくは‥‥にんげんに、捕まっちゃったの‥‥

襲われて、気が付いたらここにいた‥‥‥

でもなぜかぼくをてあて?するんだよ?

ふしぎだよね?どうしてぼくを殺そうとしないんだろう?

どうしてぼくをぶったり、罵声を浴びさせたりしないんだろう?

ここの人間はよくわからない‥‥」

銀浪「グルルルルる)」
少なくとも、ここの人間は敵ではない限り殺すなんて無駄なことはしない‥‥お前は逃げるのか?

銀色の髪が綺麗な狼が話しかけてきた。

「‥‥うん、しないよ‥‥いま、動くに動けないし

ちちうぇがね、人狼だったんだ‥‥ははうぇが人間

ぼくはその間にうまれたハーフっていうんだって

物珍しい人間たちはぼくを捕らえようといつもぼくをみては襲い掛かってきた‥‥

ここの人間たちも、いつそうなるかわからない」

黒浪「ぐるるる)」
≪‥‥ここは忍者を育てる学園だからな‥‥

お前はこれからどうするんだ?ここの人間たちはきっとお前を保護しようと動き出すだろう‥‥

人間には悪い奴らが大勢いるが、ここの人間たちは少なくとも優しい心を持った者たちが沢山いるぞ

人間に親を殺されてやはり、‥‥許せないか?≫

「‥‥‥‥でも、ぼくはやっぱり人間を許すことはできないや‥‥私利私欲のためにぼくの親はころされちゃったんだもん‥‥悲しくないわけがないよ‥‥

ねぇ‥‥お友達になってくれないかな?

ぼく知りあいの狼の子いないから‥‥」

「「いいだろう‥‥」」

銀浪≪俺は銀郎(しろがね)だ≫
黒浪≪俺は黒浪(くろがね)だ≫

「「お前の名前は?」」

「いいの?ありがとう僕はね「夜神 ユキナ」だよ

よろしくね銀浪!黒浪!」


初めての友達に嬉しくなり彼らの頭を撫でた‥‥。
撫でていると先ほどから動かずにいた気配が急に動き出しながらこちらへやってきた

竹谷「銀浪〜!黒浪〜!!こんなところにって

うわっ!!

君は‥っと確か、乱太郎たちと同い年くらいの‥‥怪我は?こいつらにかまれたりしてないか?!」

僕が頭を撫でているのを見て驚きの声を上げる
変な頭のお兄さんは青紫の服を着ていた。

「‥‥ぼくは、平気あなたはだれ?」

竹谷「俺は五年ろ組の竹谷八左ヱ門だ!

生物委員長代理をしているこの二匹は俺達が飼育している狼なんだ脱走してしまったため探していたんだ

キミ、怪我は本当にないかい?」

僕はコクンと頷いた‥‥
この人さっき現れたみたいな感じで話しているけど‥‥
僕は気配に敏感だからずっと見ていたのを知っている‥‥
それに触れないのは何故だろう?

「‥‥お兄さん、さっきからぼくたちのことを見てたでしょう?‥‥何で嘘をつくの?」

コテンと首をかしげながら純粋に尋ねると竹谷と名乗るお兄さんは驚いた顔をしていた。

竹谷(気配を消してみていたつもりだったのに‥‥気づかれていたのか‥‥)

竹谷「‥‥あ、いや‥‥話しているみたいだったから‥‥様子を見ていただけだ、銀浪たちが君に攻撃をしないように警戒していたんだよ‥‥」

「‥‥ぁ、そぅ…だったんですね」

竹谷「きみ、もしかして狼たちの言葉‥‥わかるのかい?」

興味津々に聞かれて迫ってきたので思わず頷いた。
すると目をキラキラさせながら興奮しているように何故か笑顔で語りだす。

竹谷「すごいなぁ〜!!きみは、俺なんて五年も銀浪たちの世話をしているけどいまだに頭を触らせてくれないんだ‥‥何か悪いことしたのかな?」


銀浪≪別にお前たちは嫌いじゃない‥‥
ただ無闇に触れられるのが嫌なだけだ‥‥

お前たちは私たちの敵じゃないとすでに理解している
信頼もしているから気にするな


「‥‥そうなの?」

銀浪が「そうだ」というように頷いた。

竹谷「‥‥え?銀浪‥‥なんだって?」

「別にお前たちは嫌いじゃない‥‥
ただ無闇に触れられるのが嫌なだけだ‥‥

お前たちは私たちの敵じゃないとすでに理解している
信頼もしているから気にするな‥‥だって」

その言葉を聞いた竹谷はキラキラしながらも涙を流し方を震わせていた‥‥一体どうしたのだろう?

竹谷「銀浪〜黒浪〜!!お前たちの気持ちがやっとわかったって嬉しいぞ〜!!!涙)」

竹谷が急に二匹に抱き着いて頬ずりするように抱きしめているが黒浪たちが苦しそうにしている。