武闘派と狼子供と……の段
耳をピクリと動かしながらその音の正体を探るため鼻をくんくんと動かし匂いを嗅ぎながら場所を探る。
時々置いてある小さな木の棒の目印を避けながらたどり着いたのは、「用具倉庫」と書かれた看板の建物の中だった。
「……ぅ?」
「……ん?お前は……伊作が言っていた……」
緑の服を着ている目つきの悪い男がこちらの視線に気づいたのか顔を上げてこちらをみてきた。
僕は思わずなんだ?と首をかしげる。
「お前は確か、伊作が助けたと言っていた子供だな?
もぅ、ケガはいいのか?出歩いて大丈夫か?」
控えめな声で僕に語り掛けてきた……もしかして、僕を心配してくれているのだろうか?
僕はコクンとうなずくと男は「そぅか」とはにかんだようにほっと胸をなでおろした。
何故男がそんな表情をするのかはわからないがとりあえず男の作業をじっと見つめる。
「……もしかして、これが気になるのか?」
僕の思考を読んだかのように再開した作業を続けながらこちらに問いかけたので頷くと「これは、襖の扉を直しているところだ……俺の同級生が馬鹿力でぶっ壊したおかげで俺が直す羽目になったわけだ」
と疲れた表情で答える男。
「……」
手慣れた手つきでドンドン直っていくところを見て僕は興味がわいた。人間がものを直すときはこうやって直すのかと……。僕は二度目の人生を歩んで入るけどこの世界に生まれて長い月日が流れていくと狼子供としての幼稚な思考回路に支配されつつあり、常識がどんどんわからなくなっていくのである。
慣れというのは恐ろしく、それが疑問に思わなかった。
男が修理を直しを終えると他の物あるらしく「見ていくか?」と声をかけてくれたので目をキラキラさせながらうなずき男についていき、用具倉庫の中へと入った。
ユキナは興味津々といったようにきょろきょろとあたりを見渡しながら倉庫の中を見て回ります
「……ぅ?」
ユキナが目にとめたのは、倉庫の中にしまってあった武器の数々が分類されしまわれていた
留三郎「あぁ、これは忍術学園の授業で使う時の武器たちだよ…
それはそのうちの一つで、俺の得意武器でもある
鉄双節棍だ…」
「……キラキラ)」
鉄双節棍をみてキラキラさせているユキナに留三郎は「興味があるのか?」と声をかけるとユキナは頷いた
留三郎「では俺が見せてやろう…外へこい」
「…?」
留三郎が倉庫の外へ出ていくのを慌てて追いかけるとどこからか留三郎が鉄双節棍を取り出し両脇に構えてヌンチャクのようにぶんぶんと振り回した
留三郎「とぅ、てや!とぅ!!はぁあ〜!!」
素早く動かしカッコよく決めポーズをすると思わず拍手をするユキナに照れくさそうに頭をかきながら顔を赤くする。
留三郎「鍛錬すれば、お前にも扱えるぞ?」
「…ほんと?」
ここにきて、初めて人間の言葉を話したことに留三郎は眼を見開いて驚いたがすぐに笑顔になり頷いた。
「……なまえ」
留三郎「……ん?」
「名前…なに?」
留三郎「……名前?俺のか?」
と尋ねるとユキナは頷いた…留三郎はユキナの目線に合わせるようにしてしゃがみこみ頭をなでながら自己紹介をした
留三郎「俺は、六年は組用具委員会委員長の「食満 留三郎」だ…ここにきて慣れないうちは大変かもしれないがみんないいやつだからな!
何か困ったことがあればいつでも相談してくれ
これからもよろしくな!
お前の名前は…?」
「……夜神…ユキナ!7歳!」
元気よく答えるユキナに留三郎は乱太郎たちよりも年下か…自己紹介ができてえらいぞ!とぐりぐりと頭をなでる。
「……とめ、ようぐいいんかいってなに?」
留三郎「留?!……、あぁ\\\用具委員会っていうのはなぁ、忍術学園には「委員会」があってな?
9つあるんだ…保険、作法、会計、図書、学級、体育、生物、火薬、用具委員会の9つだ…
俺はそのうちの一つの用具委員会に所属しているんだ
用具委員会はなぁ、壊れたものを修理したり授業で扱うものを用意したりする係を主に役割にしているんだ」
「……へぇ〜僕もここにいることになったら、委員会にはいるの?」
と首をかしげると「そうだなぁ〜」と答える。
「ぼく、とめのいるところがいい!」
キラキラした目で留三郎を見つめると、留三郎は「かわいい〜」と思わずにはいられませんでした。
が、よくよく考えれば確か、ユキナは一年は組に編入するはず…用具委員会にはすでに一年は組の生徒は二人は言ってしまっているために用具委員会に入れる可能性はまずありません…。
拾って保護してきた伊作たち保険委員会よりもなついて呉れ始めたユキナに駄目とは言えず困った顔で悩んでいると…
伊作がどこからともなく現れた
伊作「それは、駄目だよ!!」
「……ぅ?」
留三郎「うおっ?!伊作、どこから現れた?!」
伊作「留さん!!なに、勝手に用具委員会に引き込もうとしてんの〜!!」
留三郎「伊作ぅ〜人聞きの悪いことをいうな!
別に俺は引き込んじゃいない!ユキナが望んでるんだ」
伊作「え?本当?」
ガーンとショックを受けつつも半信半疑でユキナに尋ねるとうんと頷く。
「留のいるところがいい!!」
伊作「留?!……留三郎、これは一体どいうことなのかじっくり説明してくれるよね?」
と黒い笑顔を見せる伊作に顔を引きつらせながらも連行されていく…伊作はユキナにちょっと借りるねぇ〜と言って留三郎を引きづっていく。