深手の狼子供の段 伊作side

こんにちわ、僕の名前は「善法寺伊作」といいます
この忍術学園の最上級生六年は組の保険委員長をしています。
今日は午前中の座学だけで終わったので委員会活動をするために医務室に向かっていました。

すると、いつもの不運が発動し四年の綾部喜八郎が掘った落とし穴にまたハマり泥だらけになってしまった。
何とか医務室までたどり着くと何か慌ただしい感じがただよい駆け足で尚且つ静かに医務室に入ると

利吉さんと新野先生と山田先生と土井先生がいた。
利吉さんの腕の中には酷い怪我を負った子供が抱えられていた。

伊作「あ、利吉さんいらしていたんですね‥‥って!

その子供は!?酷い怪我じゃないですか!!」

利吉「あぁ、伊作君こんにちわ‥‥そうなんだ
学園に来る途中で山賊に襲われていてね‥‥先生お願いします」

新野「わかりました。ことは一刻を争います

伊作君君も手伝ってください!!」

伊作「はい!」

利吉さんと山田先生、土井先生は学園長先生に報告するために医務室を後にした。

綺麗な水を用意し着替え用の衣を用意し、薬草の準備に取り掛かる新野先生から彼の止血をしてほしいと頼まれて素早く行う

怪我の状態をみるために衣を脱がすと小さな細い手足にいくとものかすり傷と火縄銃で撃たれた弾痕が残っていた。

それにこの子の姿は‥‥どうみても普通の子供じゃない。
頭には狼か犬のような耳にお尻の方に尻尾が生えている。
それ以外は人間の姿をしている‥‥

恐らくこの容姿のせいで狙われたのだろうと、素早く察する。

人間に警戒心を抱いているに違いない‥‥途中で目を覚まして暴れないといいけど‥‥

呼吸の状態を見ると先ほどより少し遅くなっている。
これは危険な状態だ。

伊作「‥‥大丈夫、必ず助けるから!」

僕の強い意志のつぶやきに新野先生が微笑んで「勿論ですよ」と答えてくれた。

ぼくはその言葉に安心を覚えた。
僕の心配は杞憂に終わった彼が目覚めたのは利吉さんが学園に連れてきてから3日たったあとだったからだ。

利吉さんは忍務が入るまで学園に残っていた。
毎回面会に来ては状態の報告をしていた。
新野先生もそろそろ起きなければ今度は栄養失調になってしまうと心配していた。

水も飲んでいないから僕も心配だ。

他の六年生も噂を聞きつけた五年生や四年生も気配を消して何度か様子を見に来たことがあった。

それでも死んでいるかのように安らかに眠っていた。
耳を澄ませなければ聞こえない程度の呼吸で‥‥

新野先生が学園長先生に報告しに行っている間僕が包帯の替えをしてくださいと頼まれたので医務室に向かう。

すると中から動く気配を感じたのであの子が起きたんだとサッチした。

部屋を出ようとしているのか扉の近くまで気配を感じる慌てて僕は部屋の扉を開けると案の定少年が目の前にいた。
少年は眼を見開いて驚いていた

「っ!!」

伊作「!!あ、目が覚めたんだねって駄目だよ!?

まだ身体を動かしちゃ!!そんなふらふらな状態でどこに行こうとしたのかな!?」

ほらほら横になってと穏やかそうな少年に布団に押し戻されるのを嫌がって抵抗してくるが僕も負けじと対抗する。

「‥‥グルル!!」

獣のような威嚇をしている…どうやら見かけだけじゃなく本能も獣のようだ‥‥

伊作「大丈夫だよ‥‥僕は君に酷いことをしたりしないよ?

寧ろ怪我を手当てしに来たんだから!」

ほらっと手当するための道具を見せながら微笑んでみる。
それでも警戒する子供に
「う〜ん困ったなぁ〜」と頭を書きながら苦笑いした。

伊作「どうしたら大丈夫だって信じてもらえるんだろう‥‥?」
少年の前に座り胡坐をかいて悩む

すると自分の状態が気になったのか新野先生が巻いた包帯を引っ張ろうとしたのを慌てて止める。

伊作「あぁ〜!駄目だよ!それは怪我を治すために巻いている包帯なんだから!

包帯には薬草もついているから取れちゃう!!」

「‥‥?」
「‥‥ぅ?」

首をかしげていると僕は年相応の可愛らしさに思わずクスリと微笑んできた。見たところ5歳か6歳くらいの子供だもんな…乱太郎たちよりも年下だ。


伊作「大丈夫だよ、ぼくは君を傷つけたりしない
むしろ助けたいんだ‥‥信じてもらえるまで傍にいる。

大丈夫だよ‥‥ここにいる人たちもみんなお前を傷つけたりはしない優しい人達ばかりだからさニコッ)」

本当は抱きしめて安心させてあげたいけどまだ警戒心の強い子供にそれはタブーだ。

少年はじっと僕の目を見て僕の意思がわかったのか頷いた。

包帯を巻いていると新野先生の気配を感じる。
どうやら報告が終わったらしい…
少年も気配を感じ取ったのか思わず身構えた包帯を巻き終えた僕は気づかないふりをして「どうしたの?」と声をかけた

少年は威嚇するように扉の方を睨む。

「‥‥うぅ’’〜」

ガラリと入ってきたのはやはり新野先生が入ってきた
伊作「あ、新野先生!!」

新野先生「伊作君手当てありがとうございます」

と穏やかに答えた。
伊作「いえ、大丈夫です。先ほど目が覚めたばかりなので」と答えた。

伊作「紹介するねこの人は新野先生!君を治療してくれた人だよ?」

「‥‥!」
少年は意外に思ったのか目を見開いて新野先生を擬視した。

新野「初めまして新野洋一といいます

ここ、忍術学園の医者をしているものです」

忍術学園や医者っという言葉を知らないのか「う?」と首をかしげている。

その仕草もとても可愛らしく見えたのは僕だけじゃないと思う。

新野先生も少年の様子を見て微笑むと、もう少し安静にしていないさいと布団に押し戻した。

さすがわ新野先生。
思わず尊敬する。僕も頭が上がらない人だからね…

少年は布団に入ると疲れたのか安心したのかすぐに眠りについてしまっていた。



2019.02,17