複雑な心境 土井side
土井side

今日も予定道理に授業が進まなかったことでまた補習授業をしなくてはならないことに対して胃が痛くなり重たいため息が出る。

それにこれは運命の悪戯なのか、うちのクラスには数週間前‥‥天女事件により学園を守って亡くなった生徒の生まれ変わりというか瓜二つの存在が編入してきたのだ。

名前も姿も性格も全て一緒。
一つ違うのは、歳の違いと記憶が無いことだった。

亡くなった彼は六年生だった
今の六年生と同じ歳だったが色に溺れ天女の不思議な力に惑わされた上級生たちの手によって‥‥。


彼を初めて見た時は本当に驚いたが‥‥彼には記憶が無かった。まるで本当に別人というようにでも見た目は同じだ‥‥どうしても今私の教え子としている彼をあのひと「夜神 蒼真」君だと思い込んで話しかけてしまう時が多々ある‥‥

そのたびに不思議そうな顔をするが彼は頭がいいため追及はしなかった。


職員室から出て私の部屋に戻ると山田先生がいた。

山田「どうしたんだ?半助深い溜息なんか吐いて‥‥」

土井「いえ、‥‥今日もあの子を見ると‥‥どうしても…」

と苦笑いすると山田先生も同じなのか複雑そうな顔をする。

山田「‥‥これもまた、運命なのかもしれんなぁ〜」

土井「‥‥えぇ、私たちは彼に任せっきりにしてしまった‥‥その結果彼を守れなかった‥‥私はとても悔しいです」

山田「それは皆同じ事だろう‥‥特に上級生たちはな‥‥」

土井「でも、あの子は変装でもなく本当に瓜二つである存在の別人ですが‥‥

とてもいい子ですよ?」

それに優秀ですしねと嬉しそうに言う私に山田先生が「そうだな」と微笑んだ。

すると小さな気配がこちらに近づいてくるのを感じ取った

土井「ん?」

コンコンとノックされて聞こえてきたのは‥‥。

「一年は組夜神 蒼真です土井先生いらっしゃいますか?」

話の中心人物だった

土井「あ、あぁ蒼真か?入りなさい」

失礼しますと礼儀正しく入ってきた蒼真はどうしても彼の姿と重なって見えてしまう。

我々が守れなかった尊い命に。

「‥‥土井先生お聞きしたいことが‥‥あ、すみません山田先生もいらっしゃったんですね!

もしかして‥‥お話し中でした?」

山田「いや、私たちの話はちょうど終わったところだよ‥‥

それよりも珍しいなお前がここに来るなんて‥‥」

確かに珍しい‥‥何かあったのか?


「実は‥‥土井先生に聞きたいことがありまして‥‥

今度の抜き打ちテストの範囲を教えて欲しいんですけど‥‥」

土井「そういえば、蒼真は来たばかりだからほとんどの内容を知らないんだったな…

これがテスト範囲だ‥‥
勉強する時間もあまりないから…無理しなくていいんだぞ?」

「いえ大丈夫です!僕自分で出来ることは努力したいんです!
この学園に来てから二週間ぐらいしか経っていませんが、僕はこの学園が大好きになりました!
皆優しくしてくれますし、毎日が楽しいです!
だから‥‥そんなみんなの役に立てるように
早く強くなって皆を守れるような強い忍者になって見せますから!」

と目をキラキラさせながら言って見せた。

この学園が大好きです!皆を守れるような強い忍者という言葉に思わず反応する

あいつも口癖のように言っていたな‥‥

≪僕はもっと強くならないといけないんです‥‥

じゃなきゃ、大切な人を守ることなんてできないから

だからもっと修行して怪我をせず大切な人を護る強い忍者になりたいんです!この大好きな学園を護るために≫

私は思わず微笑んだ。
蒼真の頭を撫でて「頑張れよ」と言うと「はい」と元気よく返事して去っていった。

山田「わかってはいるが、あの子は「彼」とは違う‥‥たとえ記憶が無くとも‥‥。魂や本質はあいつと同じだな‥‥
同じ姿同じ言葉をいうあの子を見ていると‥‥どうも違う人物とは思えなくなってしまう‥‥」

土井「えぇ、‥‥あいつと同じことを言ってました」

山田「だが、私たちも同じ過ちを繰り返さぬように精進せねばならないなぁ!」

土井「はいそうですね」

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