時代劇のような街並みに‥‥の段

目が覚めるとぼんやりとした視界の中に広がるのは‥‥
森のような光景だった。

「‥‥は?」

第一声がそれである。

いや、待て待て‥‥なんで家の中で3徹していた僕が目が覚めて森の中にいるんだよ!?おかしいだろう?!


それに‥‥ここはどこだ?
まるでアニメに出てきそうな風景に‥‥何だか何故かは知らないけれど‥‥少しだけ懐かしいと思った自分がいた。

いや、懐かしいってなんだ?
僕はこんな自然豊かな場所にいたわけでもないし
そもそもなんでここにいるんだ?

疑問が消えるどころか増える一方である。
しかも自分の服装は何か‥‥袴である。

いや、何故!?

私服からなんで袴姿!?しかも‥‥何か本物っぽいし
刀も何かアニメで出てくる忍び刀っぽいし
って‥‥

「刀!?」

うん?何だか僕の声おかしかったぞ?
普段しゃべっていた僕の声じゃないみたい‥‥汗)

「‥‥ほ、‥‥本物の刀‥‥だよな?これ‥‥」

何故かは知らないけど知っている人なら知っているあの「小野大輔」さんみたいな声だ‥‥これ小野ファンに怒られる!?

何俺死ぬの!?←テンパりすぎて俺になった。

取りあえずこんなところでいつまでも茶番をしているわけにもいかないしな‥‥

街の方とか人がいるところに行って情報を集めないといけない。
歩き始めて数分一向に街につけそうな気配もない僕は少しだけ運動不足のせいか疲れ始めていた。

そんな時だった騒がしい声が僕がいる急斜面のような場所のすぐ真下から小さな子供三人と武装している男ども5人がいたのだ。

まったく、‥‥どこの悪い連中の大人は大人げないね!
でもあの三人‥‥どこかで見たことがあるぞ‥‥?
どこだっけ?

取りあえず‥‥せっかく忍び刀を持っているんだし
剣道も習っていたから少しくらいは戦えるでしょう
真剣は初めてだけどな‥‥←何とかなるだろう!

大人げない男たちは何かを言い争って真ん中の太った子に向かって刀を振り下ろそうとした。

危ない!叫ぶより先に身体が勝手に動き出した
又だ‥‥また勝手に動き出し手慣れた手つきのように忍び刀を抜き相手の振り下ろされた刀を受け止める。

ガキィインという刃と刃のぶつかり合う金属の音とずっしりと来るその重みに緊張感が増す

「「「!?」」」

男「な!誰だ?!
 「どこから来やがった!?」

「‥‥まったく、大の大人が子供相手に大人げないと思わないのかい?」

ーぇ‥‥ぅ、うそ‥‥

ーぉぃ‥‥ォれは夢…みてんのかな?

ー‥‥うん‥‥そんなはずは‥‥ない、もんね?

後ろの方で子供たち三人が僕の姿を見て唖然としていた。
まるで幽霊でも見るかのような反応だった。

でも若干恐怖で怯えている様子も見える
僕は彼らを安心させるように受け止めたまま顔を彼らに向けて「大丈夫‥‥君たちは‥‥僕が守るから‥‥目を閉じていて?」と微笑んだ。

ー!?!

子供たちは眼を見開いた後素直に目を閉じた
それを確認すると男は今まで無視されたことに対しての態度に大層お怒りのようだ。

男「てっめぇ!ふざけやがって!!」
 「おいやっちまえ!!」
 「うぉおお〜!!」

相手の動きは素人当然‥‥僕は意識を集中させて素早い動きを生かしながら峰内で相手を五分もしないうちに沈める。

最後の一人がかろうじて立ち上がっているが限界なのか小さく「む、無念‥‥」と言いながら地面に伏せた。

「‥‥まったく、鍛えが足りないな〜もういいぞ?って‥‥なに!?」

振り返り目を閉じているはずの子供たちを見ると、こちらをみては涙ぐんでいた。
そんなに怖かったのかな?

「‥‥そ、そんなに怖かったか?‥‥すまない君たちを先に避難させればよかったな‥‥気づかずにごめんな?」

とメガネをかけた子に微笑んで頭を撫でてやると
その子が震える声で小さく声を出した

男の子「蒼真先輩‥‥

「ん?!」

何か今俺の名前を言ったか?しかも先輩って言わなかったか?!まぁ、そりゃあ中学生だから後輩ぐらいはもつけど君達とは初対面のはずだぞ!?←

メガネの子「蒼真先輩‥‥‥‥蒼真先輩‥‥ですか?!

帰ってきてくれたんですね!?蒼真先輩!!

帰ってきたってどいうことだ?

メガネの子の声に反応するように隣にいたスカーフの子が涙をこらえるようにしながらこちらを睨みつけながら言う

「ほんっと、今までどこにいたんですか!?
俺達ずっと心配していたんですからね!?」

太った子も涙目になりながら言う
「わぁ〜い‥‥本物の蒼真先輩だぁ〜!
これでみんなも元気になるし喜んでくれるね!!」

と嬉しそうになりながら言う。
何だか誰かと間違われていないか?僕は確かに蒼真だが、君たちが知る蒼真とは違うと思うぞ?
でもこれを正直に言ったら今度は本当に泣かせてしまいそうでいいくい‥‥が、ここはやっぱり訂正しとかないともっと可哀そうかもしれん‥‥。


「き、君達‥‥何故僕の名前を?」

その僕の一言で三人の鳴き声がピタリと止んだ
メガネの子がたどたどしくいう。

「な、何言ってるんですか?蒼真先輩あなたのことなんて知っているに決まっているじゃないですか!?」

「そうそう、委員会が違うのにいつも俺達のことも気にかけてくれるいい先輩じゃないっすか!」

スカーフの子も弁上する。

太った子「先輩なに冗談いっているんですか?悪ふざけはやめてくださいよ〜!」

「‥‥い、いや‥‥悪ふざけというわけでもないのだが‥‥

君達誰かと間違えてないかい?僕の名前は確かに「疾風 蒼真」だが‥‥君たちと会ったのはここでが初めてだよ?」

「「「!?!」」」

メガネの子「またまた〜ご冗談を!」
「‥‥」
僕が冗談ではないことを伝えるため黙認していると。

メガネの子「ぅ‥‥ぅそ‥‥ですよね?

私のことはわかりますか?私忍術学園1年は組「猪名寺 乱太郎」です!保険委員会をしています!!」

スカーフの子「俺も同じく1年は組「摂津 きり丸」っす!
先輩本当は覚えてるんでしょう!?」

太った子「同じく1年は組「福富 しんべヱ」!」

「‥‥名前もどこか、懐かしい感じはしたが‥‥

覚えていない‥‥それに忍術学園とはなんだ?」

本気で言っている僕の姿に唖然としてこちらを見た
少しだけ悲しい表情をしていた。