突然の来訪者の段

土井SIDE

授業が終わったが今日も中々に進みが悪かったと胃を痛めていると学園長先生が部屋に尋ねてきた

土井「学園長先生どうされたんですか?」
学園長「うむ‥‥乱太郎たちにお使いを頼んだのじゃが‥‥」

乱太郎たちに?

学園長「帰りがちと遅いと思ってのぉ〜」
土井「何の内容なんですか?」
学園長「団子を近くの町まで買いに行ってほしいという御使いじゃよ‥‥

夕方までには戻ると思っていたのじゃが‥‥」

団子ぐらい自分で買いに行ってくださいよぉ〜‥‥呆)
しかもよりによってあのトラブルメーカー3人に依頼するとは‥‥

外をみるともう陽が落ちてもうじき暗くなるところだった。

土井「確かに‥‥遅いですね‥‥迎えに行ってみます」
学園長「頼んだぞ」

また何かに巻き込まれたのか?
学園長先生が去っていった‥‥はぁ〜とため息を吐いた。
今まで黙っていた山田先生も頭を抱えていた。

山田「‥‥こりゃあ、また何かひと騒動起こりそうだな‥‥」
土井「そうですね‥‥探しに行ってきます‥‥」
山田「うむ‥‥暗くなっても戻らなかったら私も探しに行こう」

土井「はい」

私は小松田君に外出届を出して学園の少し離れた道を走って乱太郎たちを探していると見知った気配を3つ確認した。もう一人の気配もするが知らない気配だ‥‥。
乱太郎たちと一緒のようだ

木の上から様子をうかがっているとどうやら子供の用で乱太郎が背負っていた

土井「お〜い、お前ら!!」
土井「お前たちどうしたんだ?

そんなに慌てて‥‥遅いから迎えに来たぞ‥‥ん?
乱太郎その背中に背負っている子供は?」

乱太郎「あ、そうだ先生!!この子忍術学園の新野先生に見せてあげてください!!

凄い熱なんです!!」

土井「え!?」

戸惑っている私に「はやく!」とすごい剣幕で乱太郎が子供を私に押し付ける
何がどうなってるんだ一体‥‥
それにこの子供‥‥見慣れない着物を着ているな‥‥南藩人か?

触れた身体はとても確かに熱く感じた‥‥
息も荒く額に汗が‥‥こりゃあ早く見てもらった方がいいな‥‥
至る所に傷があるのも気にかかる。

子供を背負い一足先に学園に戻る。
勿論乱太郎たちも早く戻るように伝えるのを忘れずに‥‥。

こりゃあ‥‥山田先生の言った通りひと騒動ありそうだ‥‥。

土井「失礼します新野先生いらっしゃいますか?」

新野先生から「どうぞ」という声が聞こえて静かに扉を開く
中には6年生の善法寺伊作もいた。

伊作「土井先生どうされたんですか?」
新野「土井先生がこられるのは珍しいですね‥‥」

土井「新野先生に診てもらいたい子がおりまして‥‥」

この子ですっと言って子供を下す
その子供を見るなり二人の顔つきが変わった。

新野「これは‥‥酷い状態ですね‥‥伊作君‥‥布団を用意して水とタオルを用意してください」

伊作「わかりました!」

新野「‥‥それと土井先生は着替え用の着物をお願いします」
土井「あ、はいわかりました」

私は着物を取りに部屋を出た。

新野SIDE

これは酷い‥‥
至る所から小さな切り傷ができているし
手当てをしていないせいで膿ができはじめている。
それに体中に痣と手足には鎖のようなものに縛られていたのか跡がくっきりと残っている

それにしばらく何も食べていないのか栄養失調‥‥
これでよく今まで生きてこれたものだ‥‥奇跡に近い。

伊作「新野先生持ってきました」
新野「ありがとう‥‥」
伊作「どうですか?」

新野「手足の切り傷から膿ができ始めていますね体中のいたるところに痣が古いものから新しいものまでありますね‥‥

それに手足首に縄か鎖で繋がれた跡があります‥‥
更には栄養失調‥‥」

伊作「確かに‥‥よく今まで生きてこれたっていう感じの状態ですね‥‥」
新野「えぇ、限界がきたんでしょう‥‥今夜が峠です‥‥」
伊作「‥‥」

伊作は俯いて手をぎゅっと握りしめた。
新野「大丈夫です‥‥必ず助けますよ‥‥私たち保健委員で」

伊作「はい!」

こうして私たちの手当が開始された。
こんな小さな体で本当によく耐えた‥‥
身も心もボロボロだったんでしょう‥‥‥

「‥‥はぁ‥‥‥‥はぁ‥…」

不規則に聞こえる吐息。遅くなるたびに緊張が走る。
手当てを終えるのに一時間ほど。身体のいたるところに包帯が巻かれた。
「‥‥もぅ‥‥ぃぃ‥‥」

夢を見ているのかか弱い声が響く。
魘されているようだ‥‥

「‥‥ぼくは‥‥ぅ‥‥まれちゃ‥‥いけなか‥‥った」

頬に伝わる涙に彼女の環境がうかがえる‥‥。

伊作君が手を握り声をかける

伊作「生きて!‥‥君はまだ‥‥‥死ぬべきじゃないんだよ!」

「‥‥ぼ…くは、‥‥はぁ‥‥はぁ、いきて‥‥ていいん‥‥ですか?」
魘されていても声が聞こえているようだ
ここで生きることを諦めれば‥‥命が消えてしまう

伊作「生きるんだ…これからいいことがいっぱいはるはずだから!諦めないで」
彼の優しく強い想いが届いたのか目を覚ました‥‥

「‥‥ん‥‥こ、‥‥こは?」

伊作「ここは医務室だよ…大丈夫かい?クスリ飲めそうかい?」

伊作君が優しい声で声をかける少しだけ開ける口に薬を流し込むとゲホゲホと咳込む彼女の背中を撫でる。

「‥‥に、‥‥がい」

伊作「イイ子だね‥‥よく飲めました」

子どもに言い聞かせるように言うとまた意識を手放すように眠ってしまった。
本来ならごはんを食べてからの方がいいけど
解熱剤と胃薬と栄養剤も少し混ぜたから‥‥ひとまずは安心だ‥‥

新野「何とか飲んでくれましたね‥‥」
伊作「はい」
新野「今晩が峠です…伊作君はもう戻ってもいいですよ…?あとは私が見ておきますから」

伊作「いえ、僕にも看病させてください‥‥」
新野「伊作君…わかりましたお願いします」

伊作「はい!」

本当にこの子は優しい子だと改めて思いました。


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