学園長と対面の段

しばらくして、桶に水とタオルを入れた伊作先輩とおかゆを持ってきてくれた新野先生が戻ってきた。

そういえば、着物に変わっている‥‥
着物をそっと脱がしてくれた背中とかをタオルで拭いてくれた。
何だか少し恥ずかしいけど‥‥///
背中とか実験の影響で傷だらけだと思うし‥‥
変な風に思われてないかな‥‥

「‥‥っ」

冷たいタオルが再び背中に当たったのに驚いて思わずびくっと体が震える
伊作「あ、‥‥ごめん‥‥傷痛かったかな?」

「‥‥フルフル)‥‥少し冷たくてびっくりしただけです‥‥」

伊作「それにしても‥‥こんなに沢山の傷どうしたんだい?」

「‥‥」

やっぱり気になるよね‥‥あんまり言いふらすように言いたくないな‥‥
そういえば‥‥リミッター‥‥どこだろう?!
あれがないと‥‥制御しきれない力もあるから暴走してしまいそうで怖い‥‥

「あ‥‥あの‥‥」

伊作「ん?」

「僕の手首と指ついていた指輪とか首にかかっていたネックレス‥‥

知りませんか?!」

伊作「あぁ、あれかい?治療するのに邪魔だったから外して預かってるんだけど」

「返してくれませんか?!大事なものなんです!」

思わず声が大きくなる伊作さんは眼を見開きながら「今‥‥先生方が預かっているんだ‥‥」という。先生方?でも早く取り戻さないと‥‥

ドックンドックンと大きくなる鼓動
あれは精神的にもリミッター効果があるようなもので落ち着く。

あれがないといつ、無理やりついた能力たちが暴走するかわからなくて怖いから
此処の人達にも迷惑がかかるし‥‥。

新野「何か大切なもののようですね‥‥学園長先生にあって事情を説明してくれませんか?」

そしたら早く帰ってくるはずですからという新野先生に「はいわかりました」というと学園長先生を呼びに行ってくれた。

しばらくすると気配が数人医務室へやってきた。
黒い服を着た男の人達と老人だった。

コロン…と何かが投げ出されてボフンと煙が現れた
「‥‥けほっけほっ」

伊作「けほっけほっ、学園長先生医務室で煙玉を使わないでください!!」

学園長先生と言われた人も咽ている

学園長「けほっけほっ‥‥うむ、すまん

お主が「雪奈」じゃな?」

「‥‥はい」

学園長「苗字は何という‥‥」

「‥‥疾風です」

学園長「疾風 雪奈か‥‥よい名じゃ‥‥お主がここにいる理由を説明してくれぬか?」

「‥‥あの、僕は‥‥

BABEL所属の特務エスパー「ザ・チルドレン」のメンバーの一人です。
普通の人々から悪事を企んでいるのを阻止せよという任務を行っている途中で
彼らが仕掛けた罠にはまり、異世界に飛ばされてしまったんです

気が付けば森の中にいて一日を古びた小屋の中で過ごしました‥‥
二日目の朝に食料を探して歩いていたら山賊に襲われている乱太郎たちに出会ったんです

僕は能力が使えるのでそれを使って山賊たちを追い払いました。
慣れない環境のせいかいつの間にか倒れていて
気が付けばここに運ばれていた‥‥というわけです」

学園長「‥‥ふむ‥‥ばべるとな?とくむえすぱーというのはなんじゃ?」

能力のことを説明すると興味津々で「やってみてくれないか?」といってきた。
男たちが「信じるのですか!?学園長!!この怪しい話を‥‥」と声を上げる。

サイコキノとか使ってもいいけどリミッターがないと不安‥‥

「あの、使用するのはいいんですが‥‥僕の身に着けていたものを返してくれませんか?

あれは能力を暴走させないための制御装置なんです‥‥
あれがないと使うときに不安で‥‥‥」

学園長「いいじゃろ!土井先生持ってきなさい」

「いいんですか?!学園長‥‥何をするのかわかりませんよ!?」
と少し年老いた男の人が学園長に言う。

まぁ、疑われたり罵声を飛ばされるのは慣れているから気にはしない‥‥

リミッターをつけていないせいで‥‥心の声が聞こえる。

≪何をするつもりだ‥‥!?≫
≪怪しい子供め‥‥妖術使いなど‥‥嘘っぱちに決まっている≫
≪乱太郎たちが言うから本当のことだろうけど‥‥

教え子を助けてくれた子を疑いたくはない‥‥≫

≪また、厄介なことになってきたな≫
≪妖術使いなど本当なのか?あの子供が?≫
≪面白いことになってきたな≫
≪面白がるな‥‥間者だったらどうする!?≫
≪実際にやってみるんだろう!?わくわくするな!≫
≪‥‥もそっ≫

ありとあらゆる声が聞こえてくる耳を思わず塞ぐ。
聞きたくない‥‥やはり、ここでも歓迎はされていないようだ‥‥

やはり‥‥あの時死ぬべきだったのかもしれない‥‥

土井「持ってきました」

土井先生と言われた人が僕に三つのリミッターを差し出す。
ありがとうございますと受け取りそれぞれを身に着ける。

ふぅと体に力が抜ける。

これでひとまず暴走の心配はないな‥‥

学園長「それではやってみてもらおうかのぉ」
「‥‥はい‥‥では…あの離れた場所にある小石を手も触れずにこちらへ瞬間移動させます」

僕が指をさしたのは庭にある小さな小石だった。

「どいうことだ?!」

と先生の一人が呟く。

「見ていてください‥‥疾風 雪奈テレポーター解禁」

ボソッと呟きながらネックレス型に手を触れる。
イメージをしながら瞬間移動させる。
小石は庭から学園長先生前まで一瞬にして移動させた

「「「!?」」」

学園長「‥‥ほぉーこれが能力というやつじゃな?」

「はい‥‥僕は政府に認められた高レベルのエスパーで

他にも複数の能力を用いていますが、普段はリミッターというこの装置で制御していて身体に負担を懸けないようにしています。」

学園長「政府とな?」

「国で一番偉い人物たちから認められているもののたちのことです

そのため国のために役に立つように働く制度が存在していました」

土井「それが、BABELという機関なんだね?」

一番若い先生が理解したのか解釈をしてくれたようだ。
僕はそれにうなずいた。

「信じてくれなくてもいいです‥‥僕はそいうのには慣れています。」

表情をうまく作れているだろうか?

蔑まれることなんて日常茶飯事なんだ。
きっとこの先どこでもそうだろう‥‥

異端な力を持っているなんて‥‥普通の人間からしたら怖いはずだし‥‥
自分だったら怖いと思うし‥‥。

だから、僕は決して怒らない・・・・・・・・ 

それが運命何だと受け入れるしかないのだから‥‥

学園長「うむ‥‥」
安藤「信じるのですか!?学園長先生!いかにも怪しいこの子供の話を!?

あの力だってまやかしデス‥もしこれ以外にも複数扱えるのだったら
尚更学園に危害が及びますぞ!

それに、こんな力を持った子供なんて‥‥まるで「化け物」じゃないですか?!」

土井「安藤先生!!それは言い過ぎです!!」
安藤「甘いですぞ!土井先生、危険すぎます‥‥追い出すべきです」

「‥‥っ」

分かっているけど‥‥実際に本人を目の前にして言われるのはさすがにグサッとくるものがある‥‥
あのひと安藤先生がいうのも一理あることだし‥‥。

やっぱり‥‥僕は、どこにいても‥‥化け物なのだろうか?

「‥‥あの、‥‥僕は先生や学園の皆さまにご迷惑をかけるわけにはいかないです

‥‥治療をしてくださってありがとうございます‥‥
僕はすぐにでもでていきます」

学園長「‥‥ここを出て行く当てはあるのか?」

「‥‥裏山に帰ろうと思います…元々、一人でいたので‥‥慣れてますから」

ニコッと微笑んだ…すると隣にいた伊作さんが急に複雑そうな顔をしながら学園長先生にとつぜん頭を下げながら言う。

伊作「学園長先生‥‥お願いしますこの子を学園にいさせてあげてください!」

木下「伊作‥‥お前」

どうして?

伊作「…この子はとても複雑な環境にいたと思うんです。

きっと乱太郎たちが出会わなければ今頃‥‥命がなかったと思います。
辛いことばかりしてきたからこそ、楽しいこともあるんだと
世界は広いんだと教えてあげたいんです!!

だから‥‥この学園におかせてください!!」

新野「私からもお願いします‥‥この子の怪我は小さくともまだ完治はしていないのです

医療を担当するものとしてはこのまま返すわけにはいきません」

学園長「‥‥うむ、‥‥お主‥‥歳はいくつじゃ?」

「‥‥?8歳です」

学園長「乱太郎たちより年下か‥‥まぁ、編入生として迎えればいいじゃろう」

安藤「が、学園長先生‥‥!?まさか‥‥」

学園長「よし、決めた!!

正式に疾風 雪奈を一年は組に編入生として向かい入れよう」

「「「「えぇ〜!!!」」」

「‥‥!」

新野「し、しかし…この子は女の子ですよ!?くノ一のほうがよいのでは?」

「‥‥っ!くのいち?」

伊作「ここはね、忍びの学校なんだ‥‥忍者の卵で忍たまと呼ばれているのは男子生徒で女子生徒はくノ一の卵クノたまと呼ばれているんだよ」

「‥‥な、なるほど‥‥しかし、僕はお金はありませんよ?」

学園長「お主一人くらい養えるわい!どうじゃ?忍たまになってみないか?」

「‥‥でも、‥‥ご迷惑では‥‥」

学園長「このまま放っておくことが迷惑じゃ!もう決めたことじゃ!!

土井先生‥‥山田先生、この子が完治次第は組に向かい入れようと思うよろしく頼むぞ」

土井「は、はい」
山田「…はぁ‥‥」

「‥‥よ、よろしくお願いします‥‥?」

学園長「これにて解散じゃ!!」

学園長先生は医務室を出た。
それを追いかけるように先生たちが慌てて追いかける。

残ったのは土井先生と山田先生と呼ばれた二方の先生と伊作さんと新野先生だった。

山田「まったく、学園長先生の思い付きにも困ったものだな‥‥」
土井「まったくです‥‥あ、目が覚めてよかったな!

土井 半助だ‥‥一年は組の教官担当をしているこれから教え子になるわけだから
よろしくな?」

「‥‥あ、はぃ‥‥ご迷惑をおかけしますが‥‥よろしくお願います」

山田「‥‥山田伝蔵だ‥‥一年は組の実技担当をしている。無理せずに頑張りなさい」

「はい」

それじゃあ私たちはこれでと二人は出て行った。
沢山の気配が無くなりふぅと力を抜いた。

伊作「取りあえずここに残れることになってよかったね

これから後輩になるんだよね?よろしくね雪奈ちゃん」

「‥‥本当に、僕なんかが‥‥いてもいいんでしょうか?

生徒さんに迷惑をかけるかもしれないのに‥‥」

伊作「気にしなくていいんだよ!元気になることだけを考えればいいんだから」

新野「善法寺君の言うとうりです‥‥

初めは誰でも警戒してしまうかもしれないですが‥‥時期に普通に接してくれるので大丈夫ですよ‥‥さぁまた熱がぶり返すといけないからもう休みなさい‥‥

明日は大事をとって安静ですからね?」

「‥‥はい」

こうして布団に戻されて僕はよほど疲れていたのか目を閉じた‥‥。


今日の訪問者5人目