この世界にきてから早くも数日が経った。
忍術学園に来てから3日目が過ぎた。
色んなことがありすぎて一人になることが無かった。
夜中僕は一人上級生の長屋が近いためかなり緊張感があるように思えてならない。
ギンギーン!いけいけどんどーん!と満月が頂点に上っているのにもかかわらず
鍛錬をしている上級生の声が聞こえる。
「‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥っ」
上級生の心の声が聞こえる。
≪あのガキ‥‥本当に一年生に編入生がきているのか?≫
≪そうらしいな!どんどーん!≫
≪先生方は何を考えているのだ‥‥?≫
≪もそっ‥‥明日から委員会活動を体験するようだ≫
≪なにっ?!それは本当か?≫
≪なら体育委員会にきてほしいな!≫
≪なにをいうか!俺達会計委員のほうが人が少ない≫
≪もそっ‥‥それを云うなら図書委員も同じだ‥‥≫
3人が会話をしているのか‥‥わからないけど
その声が僕の中に響いてくる。
警戒されている反面委員会の委員長なのか勧誘を企んでいる声だ。
リミッターをぎゅっと握りしめて耳をふさぎながら布団に潜りこむ。
僕の仲間は薫達だけ‥‥
みんな‥‥元気にやっているだろうか?
チルドレンの世界では‥‥
普通の人々を何とか取り押さえることができ異世界へ飛ばす装置の設計図や細かい内容を聞き出していた。
だが、高度な技術だけに時間だけが過ぎていて仲間を失ったチルドレンたちは落ち込んでいた
皆本「賢木‥‥どうだ?直りそうか?」
賢木「‥‥うぅ〜ん‥‥コードが複雑すぎるからなぁ〜
解読しながらやっているとどうも時間がかかる‥‥薫ちゃんたちは?」
皆本「すっかり‥‥落ち込んでいるよ‥‥同じ力を持つ仲間を一人失ったからな」
賢木「‥‥雪奈ちゃんな‥‥大人びてはいたが…本当にいい子だったからな
薫ちゃんたちより年下とは思えないくらいに‥‥」
皆本「あぁ、‥‥醜い大人の考えの犠牲になっていたから頼れる人が周りにいなかったんだと思う‥‥。
僕たち大人は余計に信じていないんだと思う‥‥特にノーマルの僕には‥‥」
と自傷気味に笑う皆本に賢木は肩に手を置いて励ます
賢木「何言ってんだよ!俺実は診断の時にさりげなく心を読んだことがあるんだけどよ
あの子「皆本さんだけは、他の大人とは違う‥‥少しぐらいなら信じても…いいかな?」って思ってたんだぜ?自信もてよ!」
皆本「ほ、本当かい!?賢木!!」
賢木「あぁ、あんな目に遭っておきながらも人を信じようとする勇気は凄いと思う。
本当にいい子だよ‥‥あの子はな‥‥だから俺達が必ず助けなくちゃならない!
そうだろう?」
皆本「あぁ!一番辛いのは見知らぬ世界に飛ばされ一人で頑張っている雪奈だからな
落ち込んでいる場合じゃないか!
僕もあの子のリミッターで通信できないか研究してくるよ!ありがとう賢木!」
賢木「おう!徹夜しすぎるなよ!?」
皆本「お前もな!」
皆本さん‥‥賢木さん‥‥
僕のために‥‥頑張ってくれているんだ‥‥
まだ出会ってから数日しか経っていないのに‥‥
場面が変わり
チルドレンの大気部屋では‥‥
いつもなら薫ちゃんは親父雑誌を読みながら下品に笑っていたり
紫穂ちゃんはおやつを食べていたり葵ちゃんはゲームをしていたりするんだけど
彼女たちは元気がないようでいつも道理にしているようでも手が止まっている。
薫「‥‥あいつ‥‥今頃なにしてるかな‥‥」
葵「あいつって‥‥雪奈のことかいな?」
紫穂「あの子はとても賢いから、元気でやっているわよ!」
薫「でも‥‥異世界って‥‥うちらと全く違う世界なんだろう?
ましてやうちらは特務エスパーなんだぜ?そんな力を持った人間がエスパーなんて存在しない世界にいったら‥‥」
葵「‥‥また、‥‥気味悪がられる‥‥」
薫「あいつらは‥‥自分にそんな力がないからってうちらのこと化け物なんて言うんだぜ?!そんなことをいう連中の中に一人だけでいったら‥‥何をされるか‥‥」
紫穂「私たちは慣れているけど‥‥あの子はまだ慣れていないもの‥‥ね」
葵「‥‥あの子も慣れてると思うけどな‥‥子供のころに親に捨てられてもうてるから」
紫穂「私たちは…まだ愛されている方‥‥なのかもしれないわね」
薫「そんなのは関係ない!雪奈はうちらの仲間だ!
必ず助けに行く!!」
葵「せやな!うちらチルドレンのメンバーなんやからな!」
紫穂「私たち「姉」が「妹」を迎えにいかないでどうするのよね?!」
と元気を取り戻したように立ち上がる。
姉‥‥妹‥‥姉妹として思ってくれていることに心が温まる。
やっぱり‥‥帰りたいな‥‥
皆の居るところに‥‥仲間のいるところに‥‥
ここが僕の‥‥帰る場所‥‥だから‥‥
長い夢から醒めると再び暗闇の空間にいた。
「‥‥きろ!‥‥ユキナ!‥‥雪奈」
声が聞こえる‥‥この声は‥‥土井先生?
一筋の光が僕を包み込み重たい瞼を開けると‥‥またこの世界に戻ってきてしまった
土井「雪奈!‥‥起きたのか!?」
不安げな表情をする土井先生がドアップで映っていた。
「‥‥ど、‥‥土井先生‥‥?」
土井「そうだ私だ!」
「なんでここに?‥‥それに新野先生まで‥‥」
土井「どこか、具合は悪くないか?熱は?」
おでこを触り熱を測っている土井先生
「…や、‥‥やめてくださいよ///僕は大丈夫です!」
土井「そうか、それならいいんだ‥‥」
安堵したように胸をなでおろす土井先生に首を傾げた。
まだ夜中のようであたりが静まり返っている。
「‥‥まだ‥‥真夜中…だったんですね?」
土井「あ、‥‥あぁまだ朝には時間があるから寝ていなさい」
「はぃ‥‥土井先生たちは?僕に用があったのでは?」
土井「私たちももう戻るから気にしないで‥‥」
苦笑いする土井先生と新野先生‥‥まさか…土井先生たちが僕を暗殺しようと?!
ふと目が覚めて警戒が強くなる。
土井「いや、私たちは何もしないから安心しなさい‥‥ただの見回りだから」
「‥‥そぅ‥‥ですか?‥‥では、おやすみなさい‥‥」
土井「あぁ、お休み」
見回りって‥‥新野先生もするのだろうか?という疑問を持ちながら‥‥。
僕は意識を手放した