日誌と六年生の騒がしい早朝の段

用具委員会の体験の日の夜
食満先輩にもらった初めてのプレゼントを机の上に乗せる

小さなサクラ模様の黒い手鏡と日記帳
土井先生にもらった筆とインクで早速書き始めようと思う。

今日の出来事と今までの日誌を

夢の中で体験したみんなのいる元の世界の出来事も。
嬉しかったことも新たな決意のことも日誌を通して書き記す。

この世界に来てから早くも一週間と少しが過ぎた。
この時代の生活にも慣れてきた。
忍たまのみんなや先生たちとも少しずつだが打ち解けているとは‥‥思うが

だけどやはり警戒している人はまだいるようだ‥‥

僕のことを化け物と呼んだあの先生…

あの人は「安藤先生」というらしい。土井先生から教えてもらった。
別に化け物と言われるのが悲しかったわけじゃない。
物心つく前から僕はそういわれ続けてきたために
なれてしまっているから‥‥。


でも力を持っていても、僕は無闇に人を傷つけようとは思わない。
この力は大切な人を「守るため」のものだから。

そうでしょう?皆本さん‥‥

皆が僕を助けようと必死に動いてくれている。
ならば、僕もみんなの居る所へいきたいと思う。

僕の居場所だから‥‥

明日は火薬委員会の体験‥‥かぁ〜

顧問は土井先生だったよね?
あとは同じ一年生だと伊助かな?

まだぼくを受け入れてくれる人たちが二人もいるから安心かな‥‥

僕は日誌を閉じて布団を敷き夢の中へと向かった。


「‥‥すぅー‥‥‥すぅー」

夜‥‥忍者が本格的に活動をしはじめる時間帯に
雪奈の部屋に一人の影が静かに降り立った。

「‥‥‥‥」

寝息が聞こえていたはずが‥‥ある時間を過ぎると聞こえなくなった。
人影はそっと眠っている雪奈に近づき手を当てて呼吸を確認する。

やはり息をしていないようだ‥‥。
新野先生曰く「仮死状態」であるらしい‥‥が原因は不明。
本人の持病なのか‥‥それは定かではないが‥‥

この時間帯の見張りはいつも「土井 半助」が行っている。
自分の受け持つクラスの生徒になったからというのもあるが、やはり異端でも子供は子供‥‥心配なのだろう。

土井先生の纏う空気が緊張を走る。

土井先生は授業の様子や一日の行動について話を聞いていた。
土井先生の視線は先ほど雪奈が記載していた日誌に目が言った。

物音を立てずに悪いと思いながらも彼女の心境を探るため日誌を手に取り一ページをめくった。

読んでいくうちに「打ち解けてきた」という文字が書かれていて内心ではホット安堵するものの‥‥その後に書かれていた安藤先生の言葉とその気持ちが書かれていて

複雑そうな表情をする土井先生。
ちらりと眠っている雪奈をみるが変わらずの仮死状態。

土井先生は思った

≪きみは…今、幸せか?

まだ…この世界は受け入れられないのか?

君が帰りたいと思うのは我々の態度が原因だろう‥‥。
それも時間の問題少しずつだが‥‥警戒する重い空気が無くなっていく気配を感じる。

私は‥‥君の味方でいよう!

今日は私の受け持つ火薬委員会の体験だからな!
安心して体験できるように私も多くの時間をいられるように努力しよう。

呼吸をし始めた彼女の頭を撫でて微笑み。
天井裏から姿を消した土井先生。

その後朝日が昇り始めて少女は目を覚まし何時もの非日常が始まるのであった。








朝日が昇り始めてすっかり目を覚ました僕は井戸に向かい顔を洗うために外へ出た
僕のいる長屋は六年生長屋の近くなのでどうしても六年生が使う井戸になるのだ…

この時間ならいないだろう‥‥そう願い井戸へ向かった。

井戸へ着くと誰もいなくてほっとし念動力はパイロキネシスの念動力で井戸の樽を引き上げる。

火は出ないように調節しているため大丈夫だ。

タオルを首にかけて顔を洗っていると誰かが歩いてくる気配がした。
したといっても相手は気配を消しているようだが‥‥僕は昔から微量でも人の気配を感じることができる。

振り返ると食満先輩がいた。

食満「‥‥ん?おぉう、雪奈か、早いな!おはよう」

「‥‥おはようございます、食満先輩」

食満「手鏡とかどうだ?使えているか?」

「…はぃ、‥‥早速日誌も書いていますありがとうございます」

ぺこりと頭を下げると微笑みながら頭を撫でてくれる。
優しいなこの先輩は‥‥。

どことなく太陽のような人だ‥‥。

食満「気にするな!気に入ってくれたのならよかった!」

「‥‥食満先輩は‥‥朝練‥‥ですか?」
食満「あぁ!さっき、終わったところだ汗を拭こうと思ってな!

お前は?いつもこんな早いのか?」


「‥‥ぃぃぇ‥‥今日は早く目が覚めたんです」

食満「そうかそうか!そういえば今日はどこの委員会にいくんだ?」

「‥‥火薬委員会です」

食満「火薬委員か‥‥久々知のところだな!」

「‥‥くくち?」

首をかしげると食満先輩が説明してくれた

食満「久々知は五年い組の生徒でな名前を「久々知 兵助」という。

あそこは六年生がおらずあいつが委員長代理をしているんだ。
豆腐小僧と呼ばれている異名を持っているんだ。
あいつは優しいから安心すると言い!」

僕の頭を撫でながら言う「それに土井先生もいらっしゃるからな」と笑顔がまぶしいです

僕は「はい」と頷いた。


ほのぼのとした空気の中に一つの気配を感じ取った。
これは警戒という名の殺気でもある感じだった。
どことなくぴりぴりした空気は食満先輩の背後からやってきた。

「…っビクッ)!!」

食満「ん?どうした?」

食満先輩が僕の様子を見かねて後ろを振り返ると食満先輩より厳つい人が金属製のそろばんを片手に立っていた。

それも眉間に皺を寄せて‥‥

食満「‥‥文次郎‥‥そんなに殺気立つな!雪奈が驚いているだろう!」

文次郎「‥‥‥」

食満先輩の注意を聞き流しながら僕を睨んでいるように見えた。

文次郎「‥‥俺は、‥‥」

「‥‥っ」

僕に近づく先輩に食満先輩が僕を庇うように立つ。

文次郎「どけ、留三郎」
留三郎「断る!お前こそ殺気をしまえ!何をいら立っている!」

文次郎「俺は‥‥認めん」


「‥‥ぇっ」

文次郎「お前は妖術が使えるんだってな?先生たちの話を聞いたぞ!

留三郎を誑かし何を企んでいる!?」

その時嫌でも心の声が聞えた

まったくどいつもこいつも、現を抜かしおって!
忍びの三禁を忘れたのか馬鹿垂れ!


あの一年生の編入生
異世界から来たというがどう見ても怪しいだろう!

それに妖術を使うというじゃないか!

留三郎が簡単に騙されるとはな‥‥情けない俺が化けの皮を剥いでやる!


「‥‥っフル)‥‥」

一歩ずつ後ろへ後退する。
この人の異様なほどの警戒心と殺気が僕の心を突き刺す。

留三郎「文次郎!お前、誰が妖術に操られているって?!」
文次郎「お前のことだ!馬鹿垂れぃ!どう見たって怪しいだろう!

妖術を使える子供だぞ?!どこかの間者かもしれんのだぞ!?」

留三郎「お前はなぁ!今までの行動を見てなかったのかよ!?

怪しい行動何て一つもしていないし!むしろ手伝いもして勉強立って頑張っているとてもいい子だそれが何故わからない!?」

文次郎「フン!そんなの演技に決まっているいづれ化けの皮が剥がれるさ!お前もそれが何故わからない?!」
留三郎「この減らず口を!勝負だぁ〜!!」

文次郎「このわからずやがぁ〜!!ギンギーン!!」

留三郎がテッソウセッコンを出し、文次郎は10キロそろばんをだして
戦い始めた‥‥

僕はそれよりも文次郎と呼ばれた人の言葉が頭の中に響いて
動けずにいた。

激しい戦いを始めた二人のところに見覚えのある人影が見えたのです。
保険委員長の善法寺伊作先輩だった。

伊作「おぉ〜い!二人ともなんで朝からそんなところでケンカをしているんだ!?」

慌ててこちらに駆け付ける伊作先輩
二人は戦いながら伊作先輩にいう

文次郎「うるさい!今はこのわからずやを相手しているんだ!」
留三郎「伊作!お前は黙ってろ!!」

伊作「あれ‥‥?雪奈ちゃんおはよう!どうしてこんなところに?」

僕の存在に気づき、そばにやってきた伊作は挨拶をして疑問をぶつけてきた。
僕はそれに答える気分でもなく‥‥俯いていた。

伊作「そういえば雪奈ちゃんの部屋って此処の近くだったね!

あ、もしかして二人が戦っているから井戸を使えないとか?」

「‥‥」

頭に響くその一言が重くのしかかり一人になりたいと部屋に戻るためにその場を駆けだした


伊作「あ!待って雪奈ちゃん!!」

伊作先輩の制止の声が聞こえるがそれどころではなく
流れてきそうな涙を止めようと必死に駆け出した。



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