泣いた心の段 伊作side

朝僕が目が覚めて隣を見ると既に留三郎は起きているようだ。
布団が仕舞われていてもぬけの殻になっていた。
朝練にでも出かけたのだろう‥‥ふわぁ〜元気だなぁ〜

そういえば‥‥雪奈ちゃんは一年は組に馴染んでいるのだろうか‥‥?
乱太郎たちから話は聞いているけれど本人からは聞いていない…
合ったら聞いてみようと思う。

そんなことを思いながら歩いているといつもの如く落とし穴に落ちた。
いてて‥‥朝から不運だなぁ〜もう!

すると井戸の方から怒声が聞こえた
何やら武器がぶつかるような音も聞こえる。

また‥‥文次郎と留三郎がケンカをしているのかなぁ〜?

もぅ、あの二人は顔を見ればすぐにケンカするんだからぁ〜

今回のケンカの原因はなんだろう?

そんなことを思いながら落とし穴から出て馳せ参じると案の定二人はケンカをしていた

伊作「おぉ〜い!二人ともなんで朝からそんなところでケンカをしているんだ!?」
文次郎「うるさい!今はこのわからずやを相手しているんだ!」
留三郎「伊作!お前は黙ってろ!!」

伊作「あれ‥‥?雪奈ちゃんおはよう!どうしてこんなところに?」

小さな人の気配に気づき振り返ると雪奈ちゃんがいた。
早起きだなぁ〜なんて思いつつも声をかけるが
彼女はどことなく顔色が悪いように見えた。

蒼い瞳には光が無く肩も心なしか震えていた。

二人のケンカが怖かったのかなぁ〜?
もぅ、あの二人にもきつくいっておかなくちゃ!!

伊作「そういえば雪奈ちゃんの部屋って此処の近くだったね!

あ、もしかして二人が戦っているから井戸を使えないとか?」

「‥‥」

僕の声が聞こえているのかわからない。
ただ俯いて身体を固くする。
そして一歩後ずさりした方と思えばその場を逃げるように走り去っていった。

伊作「あ!待って雪奈ちゃん!!」

雪奈ちゃんは僕の制止も聞かずにその場からいなくなった
背後には「ギンギーン」と「うらぁああ〜!!」というBGMと共に唖然としながらその場に立ち尽くした。

どうしたんだろう?
具合でも悪かったのかな?!

伊作「‥‥雪奈ちゃん‥‥」

仙蔵「うるさいぞ、お前たち何を騒いでいる?」

騒動で起きたのか仙蔵がこちらに不機嫌そうに歩いてきた。

伊作「仙蔵‥‥」
仙蔵「なんだ、伊作もいたのか‥‥何をしている?」

伊作「さっき、ここに雪奈ちゃんもいたんだけどぉ」

仙蔵「は?‥‥あぁ、あの一年の編入生か‥‥それで?」
伊作「うん、…初めはあの二人が井戸の前で戦っているから使うに使えないのかな?って思ってたんだけど‥‥

そうじゃないみたい‥‥」

仙蔵「‥‥どいうことだ?」

伊作「戦っているあの二人に雪奈ちゃんのことが関係していると思うんだ!」
僕の考えを仙蔵にぶつけると顎に手を当てて考える。

仙蔵「おい、文次郎!留三郎!一度戦いをやめろ!」
文次郎「うるさい!」
留三郎「勝負の邪魔をするな?!このわからずやに教えなくちゃいけねぇことがある!」
文次郎「それは俺も同じだぁ〜!ぎんぎーん!!」

仙蔵「仕方ないな‥‥いつまでもこうしているバヤイではない‥‥」

仙蔵が懐に手を入れて何かを取り出した‥‥まさか!

仙蔵「‥‥点火」

伊作「仙蔵!?まさか!?」

仙蔵「受け取れ!!」

仙蔵が懐から取り出したのは案の定焙烙火矢だった
それはケンカしている二人の元へと飛んでいった

ドォオオん

「「うわぁあ〜!!」」

二人は真っ黒でアフロと化していた。
煙と爆発で二人はゴホゴホと咽ていた。

仙蔵「これでケンカは止まったな」
伊作「留三郎、文次郎!大丈夫か!?」

「「大丈夫じゃない!?」」

文次郎「仙蔵〜おまえぇ〜!」
留三郎「いきなり焙烙火矢を投げるなんて何を考えているんだ!」

仙蔵「お前たちがいつまで経ってもケンカをやめないからだろう!

原因はなんだ?」

留三郎「それは‥‥こいつが雪奈に傷つけるようなことを言うからだ!

あ、そういえば雪奈は?」

伊作「さっき暗い表情で逃げるようにどこかへいっちゃったよ?

それよりどいうこと!?」

留三郎「‥‥あ、あぁ‥‥朝練が終わって井戸で汗を流そうとしたらあいつがいてな

話しているところで文次郎が来てな‥‥」

文次郎の言葉を聞いた僕はふつふつと怒りがわいてきた。

あの子の気持ちも知らないで‥‥!
そんな酷いことを!!

文次郎らしいといえばらしいけど!
それじゃあ心を開いてくれるどころか余計に閉じちゃうじゃないか?!

留三郎「‥‥ぃ、‥‥いさく?」

伊作「‥‥あの子は、とても酷い環境で過ごしたんだよ?

特殊な力だって本人もほしくはなかった、だけどその力のせいで生まれた時から家族にしいたげられた挙句に捨てられて乱太郎たちに出会うまで瀕死状態だったんだよ!?

そんな子に言うなんて、いくら怪しくても間違っている!!」

文次郎「‥‥ぅ‥‥」

伊作「あの子の心を溶かしてあげなくちゃいけないのに

開かせるどころか、閉ざしてどうるするの!?
文次郎は謝るまで接触禁止!!それとそれまで委員会の体験も禁止!」

文次郎「な!?」

当然でしょう!?

お説教をし、食堂へ向かった
雪奈ちゃんの姿を探しながら‥‥大丈夫かな?


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