編入決定の段
忍術学園の庵の間では玉座に学園長大川平次渦正おおかわへいじうずまさ殿が座られている。

その左右には黒い装束を着た男性が二人座っていた。
向かい合うように座ったのは僕とその右隣に先ほどの潮江殿が座っている。


学園長「‥‥して、其方は一体何者かね?」

「‥‥はぃ、突然押しかけた挙句、ご挨拶が遅れて申し訳ありません‥‥私は神牙の国よりはせ参じました


疾風 蒼真と申します。」


学園長「ほぉー‥‥北の国で伝説とされ有名な国のものでしたか‥‥お主一人できたのかの?」

「いえ‥‥連れの者が一人おりましたがここへ向かう途中何者かに襲撃されまして今対峙している最中でございます」

潮江「‥‥彼らを襲撃したのはドクタケの忍者隊と黄昏時の忍者隊によるものでした‥‥」

学園長「ふむ‥‥ドクタケと黄昏時とな‥‥?
また難儀なことじゃのぉ〜六年い組潮江文次郎‥‥お主は何故彼と一緒だったのじゃ?」

潮江「はい、報告させていただきます。

私はいつものように鍛錬をしに裏山にいたのですが、‥‥そこで黄昏時忍軍のものたちが彼を襲っているのを見かけて助けたのであります」

「‥‥学園に近づくにつれて、赤い服を着たサングラスをかけた集団がやってきて‥‥私たちは襲われました

付き人であり忍びの奏多にドクタケの者だと聞かされて対峙する間先に行ってほしいと頼まれて駆けていたところ‥‥」


学園長「うむ、黄昏時忍者隊に襲われたのじゃな?」

「‥‥はぃ」

潮江「黄昏時軍のほうは数人いましたが、追っ払いました‥‥」


学園長「‥‥そうか‥‥蒼真と言ったかの?

して、学園に何用で参られた?」

「‥‥はぃ、‥‥神牙の国の城主であり我が父上から学園長殿にお手紙を渡してほしいと言われてお使いにやってきました‥‥これが、お手紙です‥‥」


僕はどうぞといって学園長に差し出す。


学園長「‥‥うむ‥‥あいわかった!!」
若者「学園長先生、どういった内容だったので?」

学園長の右隣に座っていた若者が声をかける

学園長「疾風 蒼真殿‥‥お主神牙の若君であったな?」

「あ、はい!」

学園長「才溢れる知識もあり優しい子だとも書かれている

よし、わしは決めたぞ!!お主を一年は組に編入させる!!」


まさかの申し出にその場にいた者たちが驚きの声を上げる


「「「「えぇええ〜!!!」」」」

勿論その中に僕も含まれている
だって、僕はお手紙を届けに来ただけでまさか、学園に入学することになるとは思ってもいなかったもの!!


中年「また‥‥迷惑な思い付きを」

と小声で呆れた表情の中年の男性がつぶやく
若者「学園長!!突然の思い付きをしている場合じゃありませんよ!どうしたらそうなるんですか?!」

学園長「えぇえい、落ち着きなさい!!土井半助突然の思い付きではない!!もうすでに決めたことなのじゃ異論は認めん!!」

若者の男性は「土井 半助」さんというらしい‥‥。
土井「山田先生からも何か言ってくださいよぉ〜!!」

中年の男性は山田先生というらしい

山田「はぁ〜‥‥学園長がこうなったら、止められないのわかっているでしょう‥‥あきらめましょう?土井先生」

土井先生は「そんなぁ〜山田先生までぇ〜」と胃を押さえながら涙ぐんでいる‥‥

何だか申し訳ない。

「‥‥あ、あのぉ〜‥‥僕まだ学園に入るとは言っていませんし‥‥そもそも、入学金とかそいうのも持ってきてないですよ?

それに父上や奏多たちにも話していないのに一存で決められては困ります」


土井「そうですよねぇ〜!!学園長彼もこういっていることですし、まずは親御さんに話をつけないと!」

学園長「案ずるな既に話はしてある!!許可も得ているし、入学金も実は前払いでもらっている」

「「「「えぇえええ〜!!!」」」」


「そ、‥‥そんな父上から何も聞いていないですよ!?」

学園長「うむ、手紙でも学園に入学することを望んでいると書かれていたのでな

これはわしだけじゃなく陽屶自身の願いなのじゃ‥‥
だからお主をお使いに出したんじゃろうてぇ〜」




父上‥‥まさか僕が前もって言えば断ることを目に見えて
御使いに扮して学園に向かわせるなんて‥‥

まさか、奏多もこのことを知って‥‥?!
そんなことないよ‥‥ね?

いや、ありうるな‥‥奏多も父上には忠誠を誓っているし秘密の忍といえば絶対に言わないだろうし‥‥。


僕は頭を抱えて‥‥こうなったら腹をくくるかと顔を上げた‥‥


「‥‥突然こんなことになってしまいもうしわけありません‥‥そこにいらっしゃる土井殿や山田殿にまでご迷惑をおかけしますが‥‥


どうやら一年生として学ぶことになったようなので
足を引っ張ったり迷惑をかけたりすることがあると思いますが‥‥

何卒よろしくお願い申し上げます。」

静かに頭を下げるとポカーンとした表情をしながらはっと我に返ったふたりが慌てて答える

土井「あ、い、いやぁ〜‥‥ご丁寧にあいさつをどうも。

私は一年は組の教科担当しています「土井 半助」といいます‥‥これから同じ忍者を学ぶ者同士仲良くしてほしい」

山田「私は一年は組の実技担当教師「山田 伝蔵」と申します。そう硬くならなくていい、ここでは身分なんて関係ないのだから気楽に話していいぞ?」

「‥‥そ、そうですか?‥‥それでは改めまして山田先生、土井先生‥‥疾風 蒼真ですよろしくお願いします」

「「あぁ!!」」

潮江「俺は六年い組の潮江文次郎だ‥‥これから後輩になるわけだからよろしくな」


「はい!それじゃあ、潮江先輩‥‥でよろしいのですか?」

潮江「あぁ、よろしくな蒼真」


「よろしくお願いします」


こうして僕はひょんなことから忍術学園の一年は組として…通うことになってしまったのです‥‥。
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