あれ以来もロックハートはやたらとシアに関わってくるが、セドリックを友人だと言うと表立っては関わらなくなった。けれどよくシアを見ているのは分かる。
クリスマス休暇前は「決闘クラブ」なるものがあったが、そこで講師がロックハートだと知ったことで行かなくてよかった、とシアは思った。あんな人に教えてもらうよりは自分で学んだ方が有意義だ。
決闘クラブではハリー・ポッターが蛇語を話したらしく、しばらく継承者扱いされていた。何故スリザリンと敵対する彼がスリザリンの継承者なのか分からない。遠目から見ても彼はスリザリンを嫌っている。
蛇語はサラザール・スリザリンが人類で初めて話せたと今のところはなっている。だから蛇語を話せるパーセルマウスなのはスリザリンの子孫しかありえない、という考え方らしい。
それに、決闘クラブの後に彼を批判したジャスティン・フィンチ=フレッチリーが石となって発見された。その第一発見者がハリー・ポッターだということも、彼の継承者説に拍車をかける。
そして今はクリスマス休暇。
シアは学校中を歩き回っていた。
セドリックへのクリスマスプレゼントを出したいが、今までフクロウ小屋へ行ったことがなく、どこへ行けばいいのか分からないのだ。
孤児院からの連絡は一方通行で、休暇前になると戻って来なくていい、という連絡が来るだけだ。
右手に持つセドリックへのプレゼントは夏の間に買ったもので、マグル製品だ。彼は魔法族の生まれだから逆にいいと思ったのだ。
セドリックに聞いとけば良かった、と思いながらシアは何度目か分からない道を通る。どこも似たような作りで、今どこを歩いているのか定かではない。
「あれ、ランドール?」
声のした方を見ると、赤毛の少女がいた。彼女は両手で黒革の日記帳を持っていた。
「………あなたは?」
「ジニー・ウィーズリーよ。私、あなたのこと知ってるわ!あなた、とても綺麗で賢いもの!確か学年主席よね?ハッフルパフの優等生ってことで有名よ!」
「…………そうなの?」
初耳だった。確かにシアは学年主席だが、同学年にハリー・ポッターがいることであまり目立ってはいないと思っていた。
「ええ、ハーマイオニーが言ってたわ!あ、ハーマイオニーって知ってる?ハリーとよくいる女の子なんだけど…」
「学年2位の子ね。知ってる」
シアはハーマイオニーを思い出しながら答えた。確かあの茶色い髪の子だ。合同の薬草学でよく答えてるのを見る。そして決まって彼女が答えると、寮監で担当教授のスプラウトはシアを見るのだ。
「彼女があなたに負けないように勉強頑張ってて、よくあなたのこと話すのよ」
シアは成績などに興味はない。ただやっているだけだ。なのにハーマイオニーはシアに負けないよう頑張っているという。滑稽なことだと思った。
そういえば自分はフクロウ小屋を探しているんだった、と思い出す。
「そう。フクロウ小屋の場所知ってる?」
「ええ、もちろん」
「教えて」
「いいわ。ついてきて。連れてってあげる」
ジニーが赤毛をなびかせてコツコツ、とローファーを鳴らして歩き始めた。シアはその後ろをついていく。
「ねぇ、シアって呼んでいい?」
「………うん」
しばらく無言が続き、そしてフクロウ小屋へ着いた。ジニーは「ここよ」と言う。
「じゃあ私は行くから。またね、シア」
「うん、またね」
そしてシアはフクロウ小屋の中へ入って行った。お世辞にも綺麗と言えないそこはフクロウが数匹止まっていただけだった。
きっとみんながクリスマスプレゼントを渡すために使っているんだな、と思いながらシアは1匹のフクロウにプレゼントを取り付けた。
「セドリック・ディゴリーのところへ。明日中に」
ホー、と鳴いてフクロウは飛び立った。今出したが、はたしてあのフクロウは明日中に届くように配慮してくれるのだろうか。フクロウで出すのも初めてだから届くのか不安だ。
「……うん、まあいいや」
きっと彼なら今日届いたとしても笑顔で許すだろう。