配られた紙を見て、シアは考える。どれも興味がない。まあ仕方がないのだが。
「イースター休暇中に考えて提出してください。先輩たちから話を聞くのもいいでしょう。では解散」
生徒たちはざわざわと話しながらその場を離れる。もう決めてる、だとか簡単なものにしよう、とかその程度のものだ。
シアはじっと紙を見つめる。そこには来年度からの選択科目について書かれていた。各教科の名前が書かれており、選択するものに丸をつける形式だ。
選択科目は全部で5つで、「占い学」「数占い学」「古代ルーン文字学」「魔法生物飼育学」「マグル学」だ。その中から最低2つを選ばなければならない。大抵は2つか3つらしい。
とりあえず2つにしよう、と考える。マグル生まれだからマグル学はないだろう。
「シア、どうしたんだい?」
いつの間にか目の前にセドリックがいた。シアはセドリックに紙を見せる。
「ああ、選択科目の…もうそんな時期なんだね」
「そうなんです。どれも興味がなくて…」
その言葉を聞いてセドリックは一瞬呆けた顔をした。そしてその後クツクツと笑い出した。
シアはそれを見つめる。
「や、まさか『どれも興味がない』って言うなんて…。ふ、はは!普通『どれも興味があって』でしょ!」
セドリックの言葉にシアは眉をひそめる。そんなこと言われても、本当に興味がないのだから仕方がない。
しばらくしてセドリックの笑いが止まる。
「あー、笑った。本当に君は変わってるね」
そう言って笑うセドリックは本当に輝いている。
「そうですか」
「うん、そうだよ。あ、そうだ。僕は魔法生物飼育学と占い学と数占い学取ってるんだけど、魔法生物飼育学はオススメで占い学はオススメしないな。魔法生物飼育学はケルトバーン先生は本当に面白い先生だし、説明もわかりやすくて、実際に動物と触らせてもらえるんだ。占い学は…うん、とりあえずやめといた方がいいよ。数占い学はまあ普通かな」
セドリックが分かりやすく説明する。
「………ありがとうございます。少し考えてみます」
「うん、よく考えてね。一応将来を決めるのに重要だから」
「そうですね。そういえば、セドリックは何か将来の目標とかあるのですか?」
シアの質問にセドリックは唸る。数秒考えてから、彼は口を開いた。
「父さんが魔法省勤務だから一応魔法省に就職しようかな、とは思ってるけど…。シアは?」
「全く決まってません。興味あることがないので」
「そっか…。お互いちゃんと決めれるといいね」
「はい」
そう言ってセドリックと別れた。とりあえず選択教科は魔法生物飼育学と数占い学にしよう、と決め、歩き出した。
シアは図書室を出た。今日はクディッチの試合で、いつもより人が少ない。確かハッフルパフ対グリフィンドールだったな、と思いながら歩く。
ふと、廊下の先から大きな物が倒れる音がした。何だろう、と思って歩みを進める。
「また失敗した……っ!」
おぞましい声が聞こえてきた。「失敗した」と言う声はまるでシアの方へ近づいて来るかのように大きくなってくる。
シアはそっと歩き出した。この先に、襲撃犯がいるのだ。
「くそ、忌々しい……」
声はすぐ横から聞こえてきた。この角を曲がればいるはず、と思ってシアは角の先を見るが、誰もいなかった。
「ああ、忌々しい、忌々しい……」
そのまま声は遠ざかっていく。シアは襲撃犯を見ることは諦めて、廊下の角をそのまま進んだ。少し歩いた角の近くに、2人の女生徒がいた。1人には見覚えがある。ハーマイオニー・グレンジャーだった。
「まあ!グレンジャー!クリアウォーター!」
廊下の先からマクゴナガルが走ってきた。彼女は石になった2人を見る。
「ランドール、あなたはどうして…」
「……マクゴナガル教授、わたしが見つけたときには既に…」
「そうですか。あなたも辛いでしょう?少し、待っていてください。医務室へ行きましょう」
そう言ってマクゴナガルは魔法を自分にかけて話し出した。その声は魔法によってホグワーツ中に響き渡る。
「城に残ってる生徒はすぐに各寮の談話室へ戻ってください」
マクゴナガルは魔法を解いて、次に担架を作り出してそこに2人を乗せる。
「さぁ、行きましょう」
「……マクゴナガル教授、わたし、襲撃犯の声を聞きました。彼は誰かに命じられてやってるそうです」
シアがマクゴナガルに言うと、彼女は驚き、しかし冷静に言った。
「そうですか。伝えておきましょう」
誰に、とは言わなかった。それだけで通じた。