扉を開けたのはハリー・ポッターだった。彼は真っ先にこちらへ来る。いつの間にか男子生徒は消えていた。
ハリー・ポッターはシアといつの間にか側に倒れていたジニーを助けに来たらしい。シアがハリー・ポッターに今までのことを伝えようとすると、彼が出てきた。
「トム?トム・リドル…?君はゴーストなの……?」
どうやら彼の名前はトム・リドルと言うらしかった。
「記憶だよ。日記の中に50年間残されていた記憶だ」
シアが口を開こうとして、声が出ないことに気づく。どうやら彼が先程かけた魔法の効果はこれらしい。おそらく邪魔されたくないのだろう、そう思ってシアは大人しくする。
それから2人はよく分からない会話をする。ハリー・ポッターがこの事件を解決しようとしていた、と知ったことが新しく知ったことだが、如何せん情報が少ない。おかげで今の状況の全貌がよく分からない。
ダンブルドアの不死鳥が組み分け帽子を持って現れ、さらに混乱する。何故ダンブルドアが出てくるのか。今は学校にいないのでは。
「さてハリー。サラザール・スリザリンの継承者、ヴォルデモート卿と有名なハリー・ポッターと、ダンブルドアがくださった精一杯の武器とを、お手合せ願おうか」
そうリドルが言って、2人の──というよりはハリー・ポッターとバジリスクの対決が始まった。
リドルが1度だけ声を荒らげてバジリスクに指示した以外は、シアの側は静かなものだった。リドルは話そうとしないし、シアは話せない。
しばらくしてハリー・ポッターとバジリスクが戻って来て、ハリー・ポッターは腕を毒牙に刺される代わりに、いつの間にか手にしていた剣を刺した。そしてバジリスクが倒れる。
「ハリー・ポッター。君は死んだ…!」
リドルが嘲笑を浮かべる。
シアは何もしなかった。彼女にとってはリドルがいる限り何もすることはできない。魔法を使おうにも呪文を唱えれないし、何も伝えることができない。
ハリー・ポッターの側に不死鳥が近寄る。最期の会話を交わしているようだった。
けれど、ハリー・ポッターが突如体を起こす。いつの間にか傷が消えており、リドルは顔色を失う。
「不死鳥の涙の力か…!」
リドルは忌々しげに不死鳥を見る。
当の不死鳥はハリー・ポッターの足元に日記を落とした。ジニーが持っていた日記だ。彼は腕に刺さっていたバジリスクの牙を持つ。
リドルは彼が何をしようとしてるのか察したのか、慌てふためく。
「やめろ──!」
ハリー・ポッターが日記にバジリスクの牙を刺した。リドルの体に穴が開き、彼が絶叫した。
ああ、ダメだ。
シアは唐突に思った。何か分からないが、とにかくダメだ。
ハリー・ポッターが再びバジリスクの牙を日記に刺すのと同時に、シアは何かに憑かれたかのようにリドルに触れた。
シアが触れたと同時に消えるリドル。
「終わった……」
リドルが消えたからか、声が出せるようになった。
それと同時に訪れる猛烈な疲労に、シアは身を委ねたのだった。