シアは数日間入院して、その後退院した。朝食をとりに行くと、大広間でセドリックに話しかけられた。
「シア、大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「無理しないようにね」
そうとだけ会話して、セドリックは友人の取った席へ向かった。
シアは朝食をとった後、今日の午前は何もなかった、ということを思い出し、とりあえず自室へ戻る。
自室へ戻ると、シアは疲れからかベッドへの倒れ込む。
「お疲れ?」
突如目の前に文字通り現れた彼に、シアは驚く。
「………なんで、あなたがいるの?」
「さぁ?まあなんとなく予想はついてるけど。それにしてもあんまり驚かないんだね」
「………これでも十分驚いてる」
シアはリドルと向き合うために体を起こす。少しふらっとしたが、すぐに持ち直す。
リドルの顔をまっすぐ見るようにベッドの上に座ると、シアはリドルに訊く。
「……で、どういうこと?」
「君、僕に手を伸ばしただろう?おそらくそれで、どういうわけか僕の記憶──というか魂が君と混ざったんだと思う。君がやたらと疲労を感じるのは僕が混じったからじゃないかな?それに1週間寝続けたのも、僕と馴染むためだと考えられるね」
推測ばかりだがリドルはそう答えた。
「………とりあえず、あなたが助かって、今はわたしに憑いてるってこと?」
「うん、憑いてるっていう表現は微妙だけどまあそうだね。あ、お願いがあるんだけど、何か適当な媒介を用意してくれない?今の僕の媒介は君の体だからさ、なんか混乱するんだよね。たまに君と僕の考えがごっちゃになる」
「媒介って?」
「例えばネックレスとか。君がいつも持ち歩けてなくす心配のないものがいいかな。それに僕の魂を込めれば、君にも負担がかからない」
リドルが言った。
シアはそんな物があったかと考えるが、シアの持ち物は教科書以外は孤児院で買ってもらったものしかなく、ネックレスなどの装飾品はお金がかかるから、ともらったことはない。
何も適当なものが思い当たらず、リドルにその旨を伝える。
「やっぱり?僕も孤児院育ちだから分かるよ。本当に鬱陶しいよね。汚い手で僕にいたずらしようとするし。この僕に指図するなんて何様だよ」
笑顔で毒を吐くリドルにシアは目を白黒させる。リドルはこんな正確だったのか。
ふと気になった言葉があり、シアはリドルに尋ねた。
「あなたも孤児院育ちなの?」
「うん、そう。あんまり知ってる人はいないけどね」
へー、と適当に相槌を打つ。
そのとき、部屋の扉が空いてルームメイトが入ってきた。
「シア!大丈夫?」
「大丈夫」
同室のハンナ・アボットはそれだけ聞いて自分のベッド付近へ行った。おそらく忘れ物でもしたのだろう。
彼女は部屋を出る前に、再びシアに話しかけた。
「……あの………私、あなたともっと話したい」
「………そう」
「それだけ!」
そう言ってハンナは出てった。
そこでいつの間にか消えていたリドルが再び現れる。
「ふーん。まあシア、これからよろしく」
「あ、うん、よろしく」
ハンナの真意も、リドルの「ふーん」の意味も分からないまま、シアはとりあえずリドルの媒介をどうしようか考え始めた。