多くの人が秘密の部屋のことで夢中になってる中、シアは図書室で別のものを調べていた。
あのハロウィンパーティーの日に聞いた声。とりあえずシアは条件付きの魔法を調べていた。あまり多くはないがあるらしく、
「何を調べてるの?」
いつの間にか目の前に男子生徒がいた。黒髪黒目の彼はスリザリンのネクタイをしている。周りには誰もいない。
それにしても、とシアは思う。控えめに言ってもシアと彼はよく似ていた。ほぼ瓜二つと言えるだろう。違いといえば年齢と性別と髪の長さだ。こんな生徒はいただろうか?元からいたのならこの整った顔立ちに似ているシアは入学時から有名になっただろう。
「………こんにちは」
「ああ、そうだったね。こんにちは」
シアがとりあえず挨拶をすると、彼はニコニコ笑って応えた。シアとは正反対だ。
「それで、何を調べてるの?」
「………条件付きの魔法です」
「へぇ、なんで?」
人目を気にしてか、小さな声は少しだけ枯れていた。それが様になる、と思いながらシアは無意識のうちに答えていた。
「ハロウィンの日に声が聞こえたんですけど、他の人は聞こえてないようでしたので。もしかしたら声が聞こえるのには条件があって、彼とわたしの違いで聞こえなかったのかな、とおもいまして」
自分でもよく分からない。けれど何故か彼には話して良い、と思えた。
彼は驚いた顔をしたものの、すぐに笑顔に戻った。
「へぇ…。そんなことがあったんだ。君、名前は?」
「シア・ランドールです。ハッフルパフの2年生。あなたは?」
「僕?僕は…そうだね、秘密としておこうかな。縁があったら教えてあげる。じゃあ、僕は行くね」
「はい」
離れていってしまう彼に、シアはどこか虚しさを覚えたのだった。
「シア!」
図書室から出て寮へと戻ろうとしたところで呼び止められた。ホグワーツでシアを名前で呼ぶのは1人しかいない。
「セドリック、こんにちは」
「うん、こんにちは。これから寮に戻るの?一緒に行こう」
「分かりました」
いつも友人たちといる彼は今日は珍しく1人らしい。
「1人って珍しいですね」
「きみから話を切り出すのも珍しいよ」
セドリックは笑いながら言った。確かにそうかもしれない、とシアは思う。もしかしたら慣れてきたのかもしれない。
「……セドリックと話すことに慣れたから、ですかね」
「それは光栄だよ」
セドリックは冗談だと受け取ったらしく軽く流した。
そのまま軽い会話をしながら戻る。談話室に入り自室へ戻ろうすると、セドリックに止められた。
「ちょっと待っててくれる?」
そう言ってセドリックは男子寮へと向かった。しばらく待つとセドリックが戻って来る。手には袋を持っていた。
「はい、ホグズミートのお土産。お菓子あんまり食べたことないんだよね?とりあえず色んな味のを買っておいたから、何が気に入ったのか後で教えてくれる?」
「ありがとうございます。分かりました」
シアは無表情に礼を言って、自分の部屋へ戻った。