彼とおばけとわたし2
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「さぁ、どうでしょう。私には解りませんね」
髪を優しく鋤きながら目を細め笑う。
『他人事だと思って…』
「他人事ですよ。そんなロクでもない男は止めて私にしなさい」
『…無理』
そうですか、残念です。と言う男は然して残念そうでもなく笑う。その姿は彼によく似ている。
『そっくり』
「何がです?」
『骸さんに』
そう言うときょとんと一拍置いたのち「私が彼に似ているのではなく、彼が私に似ているのですよ」とやっぱり笑う。
彼と初めて会ったのは、深夜まだ帰らぬ夫を待ち疲れ自分の部屋で休んでいた時だった。
ふと寝苦しさを覚え目を開くと右隣に違和感を感じた。見知らぬ男が寝ていたのだ、しかも薄く向こう側が透けて見えているというおまけ付き。これは俗にいう……
「起こしてしまいましたか、すみません」
悪びれる訳でもなく優しく謝る彼に声を上げるのも忘れて『お化け?』なんて間抜けな質問をして笑われた。
それからお化けは会う度に輪郭を宿し終には普通の人となんら変わりなくなったのだ。
骸さんの居ないときは勿論のこと居る時でもお構い無しにやって来る。その度こうして抱かれる。
「なまえ…」
名前を呼ばれ、はっとする。
「ベットの中で他の男の話は禁物ですよ」
『ごめん』
「それに他の男の事を想うのも」
『うん、ごめん』
この関係に多少の罪悪感はあるもののどうせ骸さんは私には興味がないのだ。もし知られてしまったとしてもあの感情の無い目で見られておしまいだろう。まるで家のインテリアの一部を見るみたいに無関心に。
じゃれついてくるお化けのほっぺにちゅと軽くキスをすると同じようにキスをされ最後にベロリと舐められた。
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