彼とおばけとわたし3
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『……なんで居るの?』
夜にしか出てこれない筈の馴染みのお化けがリビングのソファで寛いでいた。
「ふふ、秘密です」
悪戯っぽく笑いながらおいでおいでと手招きされる。誘われるままお化けの隣に座ると頭を撫でられた。
『夜しか出て来れないんじゃないの?』
「そう言った覚えはないです」
よく考えたら言われてない、かも。しかしお化けの相場は夜だろう。随分健康的なお化けも居たもんだ。ちらりと横目で見るとするりと腰を引き寄せ押し倒された。
『ちょっ、ダメだって!』
「良いじゃないですか、こうやって朝から会えるなんてないんですから」
ん、と唇を寄せて口を塞がれる。
本当、随分不健全なお化けも居たもんだ。
*
「あなた達…何やってるんです…」
ソファのひじ掛けにこてんと乗せた頭を更に後ろへ倒すと逆さまに骸さんが立っていた。
ああまずいな、とかどうしてこんな時間に骸さんが家に居るんだろう、とか骸さんもお化けが見えてるんだ、とかお化けとえっちしても浮気になるのかなとか、ぐるぐる頭の中を思考が駆け巡りそれと反比例して身体は固まる。
近づいて来た骸さんに脇を抱えられて身体を引かれ彼と離された。離れる時にまだ繋がったままだったそこからつぅと細くけれども二人を紡いでいた糸を見たときまだ離れたくないと言っているようで切れないでと願ったけれど呆気なく内ももに付着して途切れた。それが妙に悲しくて寂しくて名残惜くてじっと見つめていた。
「何を、しているんですか」
頭上から聞こえてきた声の主である骸さんを見ると怒っているような傷ついたような悲しそうなそんな何とも情けない顔をしていた。
『ごめん、なさい。』
謝る事しか出来ない私はもっと情けないんだろう。
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