僕とあれと彼女2


パーティーが終わった後もあれやこれとアルコールが入り気分が高揚している沢田達が騒ぎたてまとわりついてきて帰るタイミングを完全に逃してしまった。結局最後まで付き合わされて家に辿り着いたのは日を跨いでからだった。
家に着くといつもは灯りがついているはずの玄関やリビングが真っ暗でしんと静まり返っている。空調の類いも利いておらず余計に肌寒く感じてしまう。
なまえは気分が悪いと言っていたのでもう寝てしまったのかもしれない。
ならば無理に起こす必要も無いだろう。そう思い自分の部屋へと向かった。

*

朝、起きるといつもと違う光景に目を細める。

「なまえ?」

いつもなら慌ただしく朝食の準備をしているはずのなまえの姿が見えない。
ネクタイを結ぶ手を止め、ぼんやりと静かなキッチンを見つめる。

ノックを3回。

「なまえ」

いくら待っても返答がない。入りますよ、と声を掛け部屋のドアを開くとベットはものけの空で、そこにはいる筈のなまえの姿がない。はて、昨日は泊まりで何処かへ出掛けると言っていただろうか?記憶にない。
そういえば最近は会っても話す内容はこちらの用件のみでまともに彼女と会話すらしていなかったような気がする。
メールを確認してもなまえからは届いていない。試しに電話を掛けてみると近くで電子音がした。
音の発信源を辿るとテーブルの上に置いてあった鞄の中からだ。鞄を開くとなまえの携帯が持ち主不在のまま寂しく鳴り響いていた。
携帯の通話終了ボタンを押すと電子音も止んでピカピカと小さく点滅したライトが不在着信を知らせている。
携帯を忘れるなんて非常時の連絡はどうするつもりなんだ。帰って来たら文句の一つでも言ってやろうと思いながら、ある違和感を感じる。なんだ。まただ。ざわざわと胸がざわつく。再び鞄の中を覗くと財布があった。
財布も忘れて出掛けるなんて間抜けにも程がある。呆れて息をつく。

待て。
おかしい。
本当に?
本当に忘れるなんてあるのか。
財布を忘れて何処へ行く?
忘れたなら普通は取りに戻る筈だ。

「なまえ…」

どこに行ったんですか?

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