じゅっじゅっと音を立てて吸い上げられる度に腰が震え、反射的に逃げ出そうとしてしまう身体をすらりとした、それでいて筋肉質な男の人の腕で易々と捕らえられてしまう。
普段は見えることのない複雑な分け目をした頭頂部を見つめながら口をついて出る自分のものとは到底思えないはしたない声に恥ずかしさと情けなさできゅうと子宮が切なくなる。どうしてこんな…。
何が彼の気に障ったのか、それとも元々機嫌が悪いときに話しかけてしまった自分が悪いのか。どちらにせよ真相は彼にしかわかる筈もなく私はただこの居心地の悪い時間をやり過ごすしかない。
普段の六道骸といえばあの何を考えているのかわからない顔をして敵なのか味方なのかすら危うい要注意人物だ。だからみんな口を揃えて注意しろって言ってくれていたのに、バカな私はみんなの忠告をわかったような気になって聞き流していた。
話しかければ普通に返してくれるし、物腰も柔らかでそつがない。そんな彼に油断してつい警戒を怠った私が悪いのだ。でもまさかこんなことになるとは…。はむっと太ももの内側を食まれむにむにと動かしてくる。くすぐったいのと変な感じになるのでやめてほしい。
しばらくむにむにしてようやく満足したのかぺろりと唇を舐めて顔をあげた六道骸と目があった。あ、どうしよう。いやどうしようもないんだけど。覆い被さるように顔の横に手をつかれた。じっと見つめられればますます居心地が悪くなってしまう。
ゆっくりと顔が近づいてきて唇を掠めたかと思うとじゅくりと音をたてながらゆっくりと身体の奥深くへと六道骸のものが挿し入ってくる。
仰け反りそうになる身体を繋ぎ止めるようにぎゅうっと枕を握り締めていると「こっちです」と私の腕をとり彼の首の後ろへ回された。
ほっそりとして見えた首は男の人のもので見た目に反してがっしりとしている。
当たり前のことに今更ながら驚いているとくすりと喉を震わせて笑われた。それから激しさを増した動きにあわせて荒くなる六道骸の呼吸とぷらぷらと力なく揺れる自分の足先を見つめていた。
*
ひとしきり満足したのか解放された時にはもはやどちらのものともつかない汗がクーラーの冷気に晒され急激に冷やされていく。
始めは心地よかった冷風もだんだん肌寒くなり、もぞもぞと布団の中に潜り込んでいると伸びてきた腕にお腹を数度撫でられ、ぐっと引き寄せられた。勢いのまま身体を預けていると頭に固い感触が触れる。そしてぽんぽんと軽く頭を撫でられた。これっていわゆる腕枕とかいう……いやいや、照れてちゃダメだ。
がばりと勢いよく身体を起こし六道骸の腕の中から抜け出した。
『あ、あの!』
思いの外大きな声が出てしまった。既に眠りにつこうとしていたのかぼんやりとした瞳をむけられて気まずく思いながら声のトーンを落としてそのまま喉の奥に引っ込んでしまいそうになるセリフを仕方なく、でも今を逃したら到底聞けそうもないことをボソボソと口にする。
『どうして、こんな…』
もっと言いたいことも聞きたいこともあったが口をついて出た言葉は情けないことにこれだけだった。
ぱちりと瞬きをして「そうですねぇ…」と面倒くさそうに考える素振りをしていたが、それも長くは続かなかった。
「むらっときただけです」
『え?あの、……は?』
「僕だって性欲に従うことくらいありますよ」
からりと笑う彼の姿に強張っていた身体が脱力したようにパタリとベッドへ倒れこんだ。
そして今度こそしっかりと抱き止められて「今は眠りなさい。目が覚めれば全ては元通りです」と何だか不穏なことを言われたが、急激に眩暈にも似た眠気に襲われてくらくらと意識を失うように眠りについた。