六道さんと大晦日を過ごそう


糊の効きすぎたシーツの上に身体を預けてころんと寝返りをうつ。
隣にはきりりとした眉を苦しそうに寄せてうなされている六道さん。
うなされている姿もかっこいいなぁ、なんて思いながらじっと見つめていると、ふと眉間のシワが緩んだ。そして薄く目を開いてぼうっとした表情のまましばらく見つめあう。
あまりにも無防備に見つめるものだから、やっぱり六道さんは可愛いなんて思っていた頃、ぱちっと音がしそうなくらい大きく目を開いて六道さんが飛び起きた。

「な、んで…君が…」

掠れ気味に呟いて顔を覆いながら「、いや、違う…そうか…」とひとりで納得してしまった。
いつもこうなった後はどこか悔やむような素振りを見せるのだ。私は嬉しいのに。
そんな六道さんの背後からのそりと起き上がる。まだ独りの世界にいるのか私が身体を起こした事に気づいていないみたいだ。ぴたりとくっつくと大袈裟に跳ねる肩。

「な、んですか…」

戸惑いがちに尋ねる六道さんの顔が引き攣っている。それに苦笑して『気持ち良くなかったですか?』と尋ねると「いえ…」と目を游がせて黙ってしまう。

『帰りましょうか、みんな六道さんを待ってます』

もう少しで年が開けてしまう。今頃きっとあの家でみんな六道さんの帰りを待ちわびているだろう。綺麗に掃除されたキッチンでお蕎麦を湯がいて。

「そうですね」

いそいそと着替え始める六道さんを見ていると不意に動きが止まった。そして不思議そうに首を傾げている。

「君は、帰らないんですか?」
『もう少しだけ、ここにいます』

もうとっくにバスの時間は過ぎているし、帰りを待つような相手も居ない。このままここで余韻に浸りながら新しい年を迎えるのも悪くないと思う。
「そうですか」と言ったきり再び着替えを続けた。ここで帰らないで、とか言ったらどうするんだろう。少しは困ってくれるだろうか。彼は何よりもあの3人が大切だから。
着替え終えた六道さんはベットまで来て隣に腰をおろした。

『外は寒いですから、お気をつけて』

シーツを胸まで引っ張りあげて見送りの言葉を送るが黙ったまま動こうとしない。どうしたんだろうと見ていると形のいい唇が薄く開かれた。

「…君が帰るまで帰りません」
『そんなこと言うと年が開けちゃいますよ』

少し考える素振りをしながら「構いません」と呟いた。


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