午前8時ボンゴレ霧の守護者、六道骸の自室。この部屋の主はすやすやと穏やかな寝息をたてて惰眠を貪っていた。
『むっくろさぁーん!』
そこへノックもそこそこに派手な音をたてて扉をあけ掛け声と共にぽすっとベッドの上の膨らみに飛び乗る女、なまえ。
「重い!」
六道骸は突然の重みに飛び起きた。昨日は深夜に帰ってきて細々とした雑用を済ませようやく眠りについていたというのに叩き起こされたのだ。寝起きから聞かされる大声は頭に響く。
『夏と言えば…』
「なんですなまえ?藪から棒に」
『恐い話イエェェェエイ!!』
「テンション高っ!ていうか耳元で叫ぶのは止めなさい」
『これは本当にあった恐い話です』
「え?こんな朝っぱらから始めるんですか…」
*
これは私がいつものようにMさんに夜這いを「ちょっと待ちなさい、この時点で色々おかしいんですが!」…かけようとMさんの部屋へ忍びこんで「あ、普通に続けるんですね」…いたときの話です。
草木も眠る丑三つ時、Mさんの自室へ行きいつものようにパンツに手を伸ばし行為を始めていると、あ、行為というのはフェ「言わなくていいです」…初めは柔らかかったそれを口の中で丁寧に転がしだんだん大きく固くそそり勃っていくそれに舌を這わせているとき、ふとある異変に気づいたのです。いやまさか、そんな、あり得ない!……いつもより大きいだなんて。Mさんの最大膨張率はすでに調査済みだったのです。
「…」
その時「君、そんなところで何しているの?」と突如頭上から声をかけられました。
恐る恐る目線を上へ向けるとそこにはいる筈のない人物が居ました。
『Hさん…』
思わず自分の目を疑いました。
「何のつもりかは知らないけど、折角だから楽しんでいきなよ」
ニヒルな笑みを浮かべたHさんは呆然としていた私をベッドの上に組み敷きました。一瞬遅れをとりましたが逃れようと必死にもがきました。しかし、所詮男と女。力の差は歴然としていました。
『やめてくださいHさん、部屋を間違えました。謝りますから離してください』
「最初に誘ったのはそっちでしょ?アイツのお気に入りみたいだしたまには僕の相手もしてよ」
妖しく笑うHさんになす術もなく乱暴に口づけられ抵抗も虚しく蹂躙されました。それから先の事はよく覚えていません。
気を失った私が目を覚ますとそこは自室でした。
『ハッ!今までのは…夢…?そっかそうだよね』
*
「…」
『…』
「…まさかの夢落ちですね。大方どこかで官能小説でも読んできて夢でも見たんじゃないんですか」
ほっと胸を撫で下ろし「まだ続くんですか?!」…気を取り直してMさんの元へ寝込みを襲いに行こうとしたとき、ふと鏡に写った自分に違和感を感じたのです。
鏡に近づきよく見てみると胸元に赤い虫刺されのようなものが見えました。
『な、に、これ…?』
シャツのボタンを外すごとに見えてくる赤い模様が、「はぁ?、ちょっと見せなさい」
話の途中で骸が乱暴になまえのシャツを開いた。するとそこには無数の赤い斑点があった。一瞬目を見開き驚いたようだったが、ふぅとため息をついた後呆れたようになまえに目をやる。
「大体貴女はですね危機感が足りないんですよ。今回の件は自業自得です、ヒヨコにつつかれたと思って諦めなさい」
いつならここでへらりと笑い卑猥なセリフでも吐いて襲いかかってくるなまえだが今日はやけに静かだ。
「…どうしたんです?」
疑問に思いなまえに呼びかけた。
『ふ、』
「?」
『ふぇ…』
「!」
『ふぇぇぇん』
「あ、コラ!泣き止みなさい」
泣きじゃくるなまえに困惑を隠せないでいる骸。
「まさか、本当に…怖かったんですか?」
骸の問いに苦しそうにしゃくりあげながらコクンと頷くと再び泣きだす。
深いため息をつきなまえを引き寄せ布団の中へと引きずり込めばびくりと震える身体。
「眠ってしまいなさい。そうすればこんな下らないこともすぐに忘れてしまいますよ」
『でも、』
「なんです?」
『私、他の男の人に……嫌ですよね…』
ぶさいくな顔をして見上げてくるなまえに思わず笑うと薄く膜を張っていた滴がぽろりと零れ落ちた。
「バカですねえ。この程度のことで動じる僕ではありません」
『本当に?』
「本当です」
だからもう目を閉じなさい。そう囁いて背中をあやすように軽く撫でていると胸の辺りに顔を埋めぐずぐずと鼻を鳴らしていた声もいつしか寝息に変わっていた。全く、世話のやける…。騒々しさから一辺して訪れた静寂に再び意識が微睡んでいくのを感じながらそっと目を閉じた。
霧の守護者が雲の守護者へ襲撃をかける3時間前の話。
(うちのが随分お世話になったそうですねぇ、雲雀くん)(礼には及ばないよ、飼い主の躾が悪いみたいだったから僕が躾直してあげただけさ)(クフフフ、殺す!)