『むっくろさぁあん』
出会い頭に飛びかかるなまえの頭を押さえ遮る。
「何ですか?」
『うふふー』
「今日はやけにご機嫌ですね」
『獄寺さんにいいもの貰ったんです』
「ほぅ」
この娘があの忠犬と仲が良いとは知らなかった。
『はい、あーん』
「チョコレート…ですか」
促されるまま口を開き差し出されたチョコレートを食す。
『美味しいですか?』
にこにこと話しかけるなまえに頷き答える。
「えぇ、甘さも程よい感じでとても美味しいです、よ?」
咀嚼し溜飲すると僅かに身体に異変が起きた。
「あの、アルコールか何か入ってたんですか?」
ぽかぽかと身体が熱くなってきた。余程濃度の強い酒が入っていたんだろうか、些かふらつく足元に足を捕られないよう注意しながら尋ねると信じられない返答が返ってきた。
『はい、媚薬と言う名の恋のアルコールが入っています』
「な、」
『どうしたんですか?』
意地の悪い笑みを浮かべ見上げてくるなまえ。
この娘の持ってくるものを何の疑問も抱かずに口にしてしまった自分が悪いのかもしれないが…。
「ん、はぁ…」
しかし兎にも角くにも体が熱い。吐き出す息まで熱を持ったようだ。
「………部屋に戻りますよ」
なまえの策略というにはあまりにもお粗末な出来のそれに嵌まったのは癪だが背に腹は変えれない。
『えー、これからツナさんにお茶に誘われてるんですよね』
「いいから早く」
急かす骸を焦らすように考える素振りをするなまえの腕を掴み引きずるように部屋へと消えた。
数時間後、沸き上がる熱を吐き出し媚薬の効果が切れた骸はもう二度となまえの持ってくるものを口にはしないと隣で満足そうに寝そべるなまえを前に固く心に誓ったのだった。
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