流される骸7

『骸さん!トリック・オア・トリート!』
「はい、どうぞ」

渡されたのはかぼちゃのおばけの可愛らしい飴。その飴をポーンと投げ捨て再び骸へ詰め寄るなまえ。

『お菓子は要りませんからイタズラさせてくださいハァハァ』
「ハァハァ言わない!」
『いいじゃないですか奥さんハァハァ』
「誰が奥さんですか!」

バシッと頭を軽く小突くと痛そうに顔を歪める。

『痛っ』
「全くそんな恰好までして…」

ピンクのナース服に身を包み骸の膝へ向い合わせに座ってくるなまえ。

『だって骸さんナースさん好きでしょう?』
「…はい?」

身に覚えのない自分の趣向に反応が僅かに遅れた。

『いつも医務室へ行くとナースさんを見てハァハァしているじゃないですか!』
「してません!」
『私は骸さんがナース服着てたらハァハァします』
「さらっと問題発言しないでください」
『まぁまぁ骸さんも着てくださいよ、一緒に楽しみましょうよハロウィン』
「誰が着るか!大体貴女…」

一旦言葉を切りチラリとなまえを爪先から頭の上まで一瞥しため息をつく。

「…ハロウィンを何か勘違いしてませんか?」
『いいえ』

自信たっぷりに首をふるなまえにうんざりする。

『ね、それより着ましょうよ骸さん…。一緒にナースプレイしましょう』

意気揚々とオプションの聴診器を取り出して耳に掛け骸の乳首へぐりぐり当てる。

「……ッ!」
『動悸が激しいみたいですねー。診察しましょうねー』

間延びした物言いにどこぞのカエルを彷彿とさせるが、妖しく笑うなまえが骸のシャツの隙間から聴診器を侵入させ直にあてた。ヒヤリとした感触に「ひゃ…!」なんて変な声が出てしまった。
なまえはと言えば未だ医者だかナースだかの真似事をしていて『凝りがありますね』とふむふむと考える素振りを見せながら執拗に擦り付けてくる。

「……」
『これは直診しないと解りませんね』

神妙な顔をして聴診器を外し先程の飴と同様に放り投げた。

「…ん、やめ、なさい…」

ぼうっとしてきた目でやんわり制止の声を発するも『いやです』の一言で一蹴する。

骸のシャツを捲り上げ今度は直接指で弄りだした。

先程の緩やかな刺激とは違い強く摘まんだり弾かれたりすると自然と声をあげる。反対の胸には舌を這わせ吸い付いてくる。

「…ん、……や…」

思わず洩れた声に、満足気に笑いながらナース服のボタンを外しだす。ポロリと露になった胸。柔らかそうだ。いや、確実に柔らかいのは解っている。

『ほら、一人だけ脱いで恥ずかしくていやだったんですよね?』
「違っ…んぅ、ん」

にやにやしたまま腰を浮かせて胸を骸の顔に擦り付けてくる。

押し付けられるがまま胸に顔を埋めていると固くなりぷっくりと主張し始めたそこに気づく。仕返しとばかりに先端に舌を這わせるとぴくりと身体が震えた。

『ふぁ…』

ぎゅうと頭にしがみついて与えられる刺激に耐えているのかくぐもった音がもれる。

腰を支えていた腕をずらしスカートを捲り上げると隠されていた形のいい尻が出てきた。
尻を撫でながらそのまま下着の中に手を滑らすと柔らかい感触が直に触れる。そのまま形に沿っていくと既に湿り気を帯びている部分に到達した。

「もう、こんなにして……はしたないですねぇ…」
『はっ…んぅ、』

焦らすようにゆっくりなぞると、もどかしそうに身を捩る。指を挿し入れると難なく受け入れてぎゅうっと骸の指を離そうとしない。なまえが一番感じやすい部分を集中的に擦りあげてやるとトロトロと溢れだす蜜。

『む、くろさ…もう…』

待ちきれないと、目を潤ませせがんでくる姿がとても扇情的で何ともたまらない気持ちになる。だが、いつも好き勝手やられている身としてはここで反撃しない手はないだろう。

「何が、もう、なんですか?」

意地悪く聞いて固くなった突起を軽く押し潰すと一層声を荒げる。

『っや、指じゃなくて…もっと…あっあっ…!』
「指がいやですか?でもなまえのここは離してくれませんよ?」
『やぁ…!あっ、いじわる…あん、しない…で…』
「仕方ないですね」

そう言いつつも既に耐えきれなくなった自身を取り出すとひくひく収縮をしているそこに一気に突き立てた。

『あっ…やぁ、』

ぬちゅと僅かに音を立てながら消えていったそれを締め付けて離さない。深く深く鎮めていくと僅かに漏れる吐息に煽られ掻き立てられる。

『………ッ』

声を押し殺してビクリと大きく弓なりに反り返った。達したのか糸が切れた人形のようにこてりと骸の胸元に身体を預けた。目を閉じ苦しそうに肩で息をしている。頬も薄く色づいついて。
大人しくしていれば可愛いのに…と思う。未だに荒いなまえの呼吸を落ち着かせるために背をゆっくり撫でてやる。

「なまえ…」
『……』

名を呼ぶとゆっくり目を向けたがまだ苦しいのか潤んだままの瞳で見つめてくる。

『…私じゃなくて、』
「?」
『MMさんとが良かったですか…』
「なにを…」

驚いて目を丸くしていると、余りにも哀しそうな顔をして笑うものだから調子が狂う。
どういう事か問おうとしたら再び静かに目を閉じ今度は深い眠りについたようだ。


先日の一件から、どうもなまえがおかしい。異常にMMを気にしているようで、ことある毎に『MMさんの方が…』としゅんと萎れてしまう。
いつ誰がそんな事を言ったと言うのだ。大体自分はちゃんと告げていた筈だ。好いてもいない人間に付き合ってやるほど優しくはない、と。元よりこんな事を許しているのが何よりの証拠ではないか。今更そんな事にも気づかないというのか。
それより何よりこちらとて10年前のなまえに手酷い扱いを受けたというのに、あの後問い質したが結局は上手くはぐらかされてしまい今もまだ胸に蟠っている。

「骸ちゃーん、トリック・オア・トリート!お菓子はいらないから現金ちょうだーい!」

元気いっぱいのMMの声が聞こえたかと思うと豪快にドアが開かれた。

「え?」

骸はいつも通り椅子に座っているがその膝上にはなまえが跨がってすうすう寝ていた。
乱れに乱れたなまえの衣服と微かに残る特有のあの香りに唖然としていたが、MMは素早く口角を無理矢理上げて完璧な笑顔をみせた。ただしそのこめかみには血管が浮いていた事を除けばだが…。

「ちょっと骸ちゃん。どういう事?」
「え、あの、」

詰め寄るMMになんと説明していいものか考えあぐねていると騒がしかったのか寝ていたなまえが身動ぎした。

『ん、骸さん…』

厄介な時に目を覚ましてくれる、と頭を痛めていると ちゅ、と温かいものが頬に触れた。

『…すき』

まだ夢の中にいるのか、蕩けた目で見つめてくる。

「……僕もです」

そう答えると満足したのか、幸せそうにまた眠りへと戻っていく。


「ちょっと、私を無視して何やってんのよ!」

きぃいい、と眉をつり上げ今度こそ不機嫌丸出しで抗議してくるMMに軽く息をついて向き直る。

「御希望の金額を後で振り込ませますから今日のところは下がって頂いてもよろしいですか」
「なによ、解ってるじゃない!さすが骸ちゃん!愛してる」

んじゃ、ごゆっくり、と言葉を残して目を$に輝かせ上機嫌に去っていくMMの後ろ姿を見送りながら女心って本当に難しい、と再び込み上げてきた何とも言い難い感情を溜め息と共に吐き出した。



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