姫はじめ始めました

『明っけましておめでとうございまぁあああっす!』
「ひっ…!」

ひょこっと骸の足の間から顔を覗かせたのはなまえ。顔を赤くさせて目の焦点が揺らいでいる。

「うっ、酒臭っ…」
『さっき雲雀さんの所でお屠蘇を頂いたんです、んふっ』

一体どれほどの量を飲んで来たのか呂律が回っていない。ついでに足元も覚束いていない。

『それでぇ…』
「はい?」
『骸さんの、…骸さんを…?』

言っている事がうまく頭の中で処理出来ていないのかふらつく身体を骸に預けて何事か口走りながら膝の上に腰かけてくる。
綺麗に着付けられた着物が崩れないかを気にしながら、悪代官ごっことか楽しそうだなぁなんて男だったら一度は誰しも考えるであろう事を思いつつ抱き止めた。

『繁殖…?増殖?…させるのが私の使命です』
「はぁ」

完全に聞いていなかった。なまえは落ちてくる瞼を煩わしそうに持ち上げながらじっと上目遣いに見上げてくる。

『……だから数の子、たくさん食べてきました』
「はい」
『二人でふっくらとした完熟パインを沢山実らせましょうね』
「はぁ」

何の話だろうか。気に食わない果物の栽培を一方的に熱く誓われたのだが賛同しかねる。どうやって断ろうかと思案しているとなまえがふらりと立ち上がった。

『じゃあ…よっこいしょ!』
「は?」

すぐさま向かい合わせに座り込みぎゅうっと抱きついてきた。

『子孫繁栄の為に頑張りましょうね』

にこりと笑ったのち、ちゅうと吸い付いてくる唇に応えながら『やっぱり一姫二太郎ですよね』と言うなまえについでに悪代官ごっこもお願いしますとそっと心の中でお願いした。




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