意気揚々と乗り込んできたなまえにあれよあれよという間にベッド際へと追い詰められていた。膝の上に跨がり恭しく胸の谷間から取り出されたのは赤いリボンのついた小さな箱。
リボンをほどき蓋を開いて中を確認すると丸いチョコレートがふたつおさまっていた。
チョコを手に掴み目の前に差し出されたが嫌な予感しかしない。
『こっちは媚薬入り、こっちは普通のチョコです』
「遠慮します」
やはりか。昨年と同じ手に乗ってたまるか。
ベッドへ下ろしていた腰を上げようとしたところで『まだ話は終わっていません』と遮られたがそんなの聞かずともわかる。
「どちらも要りません」
きっぱりと断るとぱちりと瞬きをひとつして、それからにいっと唇が弧を描く。
『やだ、骸さんったら…去年と同じ事を期待してたんですか?もう、えっちなんですからぁ!』
でれでれとしまりのない顔で笑いながら、ぐりぐりと額を押しつけてくる。
『残念ですが、今年の私はちょっと違います』
「……ほう」
フフフと意味ありげに笑いながらおもむろに手にしていたチョコをぽいっと自分の口の中にふたつとも放り込んだ。何を考えいるんだ。
『今年はちょっと大胆になってみようかなと思って』
「ちょっと大胆どころか君は万年発情期じゃないですか。馬鹿なことを言ってないで早く吐き出しなさい」
口をこじ開けて吐き出させようとしたが頑なに閉じられたなまえの口はもぐもぐと咀嚼を繰り返して、こくりと喉に流し込んだ。
『いやです……あっ。なんだかエッチな気分になってきました』
「そんな速効性があってたまるか!気のせいです。ほら、水でも飲んで落ち着きなさい」
考えなしに怪しげなものを自ら口にするとは信じられない。
引き剥がそうとしたが首の後ろに回された手で抵抗され
『や、きゅ…に、骸さんったら…』
「今すぐ変な声をあげるのをやめろ」
はぁはぁと荒くなる呼吸に
『擦り付けてきたってことは求愛のサインですよね?私はいつでもオッケーです』
「何を馬鹿なことを…」