はっとして口を押さえながら『ごめんなさい』と謝る彼女に首を傾げる。
「どういう意味ですか?」
『忘れてください』
彼女に拒まれた動揺からかつい強い口調になってしまった。彼女はびくりと肩を震わせて気まずそうに目を伏せる。
いくら連絡を取ろうとしても拒んだのは君の方なのに。
「連絡を返さなかったのは君の方でしょう」
『だって最初に連絡をくれなかったのは骸さんの方じゃないですか!』
弾かれたように顔を上げて見上げてくる。その瞳は赤く潤んでいた。
『だって初めて会った時に連絡するって言ってくれたのに!!一人で舞い上がって馬鹿みたいにずっと待ってて…なのに、全然連絡がこなくて…。だからもういっそのこと忘れてしまおうと思ってたんです。それなのに会っちゃうし。でも骸さんは優しかった。こんな私でも友達になってくれるって言ってくれました。だから今度は勘違いしないように必死に自分に言い聞かせてたのに、一緒にいるとどんどん骸さんのことそういう風にしか見れなくなって…骸さんの言う通りですね。多分ずっと骸さんのことそういう風に見ていました。初めて会ったときみたいに触って欲しいって。でもそうやって身体だけの関係になったら絶対変に期待してそれ以上を望んでしまう。それでまた放っておかれたら今以上に苦しくなるのはもう耐えれません。だったら友達のままでいいと思ったんです。だって友達のままだとずっと骸さんと一緒にいれると思ったから。でもそれももう無理みたいですけど』
「君は…!」
一気に捲し立てた彼女は苦しそうに息をついてそれから荒々しい手つきで鞄を手繰りよせ中を漁り始めた。
『ごめんなさい、もう限界なんです』
「はい?」
鼻を啜りながら鞄から取り出されたものを目にして唖然とした。
「あの、少し落ち着きませんか?」
『むり』
完全に目がすわっている。
いや、こうなることは望んでいたがこんな気まずいものではなくてもっと甘さを含んだ感じのものだったはずだ。
『私最低なんです。友達でいいやって思ってたのにその裏ではずっと骸さんとこうなることを狙ってたんです』
小袋を握りしめてどこかぼんやりと視線をさ迷わせている。
「じゃあどうして僕は先程拒まれたんでしょうか?」
『さっきまではまだ友達でいられるって思ってたんです。でももう思ってたこと全部言っちゃったし、無理ならせめて思い出にしようと思って』
投げやりに笑う彼女が痛ましかった。