『何これ…』
顔をしかめてテーブルに並べられた皿を半開きの目で見ているなまえ。
「今日の朝ごはんです。卵かけご飯、略してTKG」
『やだ。せめて目玉焼きにしてよ』
「誰のせいで朝ごはんが作れなくなったと思ってるんですか」
『…骸?』
とぼけた顔で言い放つなまえに深くため息をつく。
「違います、貴女でしょう」
今日はどうしても外せない召集がかかっているとあれほど念を押したのに、へらへら笑いながら身体をまさぐり出しジャイアニズムを存分に発揮したのだ。
おかげで寝過ごすわ、ご飯が作れないわで朝からてんやわんやだ。
『卵の白身、生だとぬるぬるして気持ち悪くて食べれない…』
心底嫌そうに卵を見つめている。
「…昨日あれだけ僕のを飲んでおいて、それを言いますか」
呆れたように言うとテーブルの下をよちよちと四つん這いになりながら移動してきたなまえが僕の足の間からぴょこっと顔を出した。
『骸のはいいの』
「なんですか、それ」
『今日の朝ごはんは骸のにする』
「何言ってるんですか!」
『だめ?』
そんな可愛い顔は昨日のうちにして欲しかったと切実に思う。なんでこんな時間がない時に限って…。
ちらりと時間を確認して逆算すると10分…否、5分はまだ大丈夫なはず…
「…5分だけですよ」
ズボンのベルトを緩めジッパーを下げると『いただきます』とどこか嬉しそうに口に含むなまえを眺めた。
「…ん、ほら退いてください」
時間内になんとか達した僕は急いで身支度を整えようと間に座り込んでいたなまえを抱えようとした時だった。
『あのね、』
まだ僅かに熱に浮かされたように目を潤ませているなまえが僕を見つめる。
「なんです?」
『下のお口も食べたいって言ってるんだけど…』
「無理です、時間がありません」
『ダメかな………骸?』
小首を傾げ名残惜しそうに擦りながら聞いてくるなまえにくらりと目眩がする。
ちょっ、こんな時に…。自分の頬がみるみる熱を持っていくのが分かる、ついでに下半身も。
「ということが今朝ありまして」
「へぇ…それが召集をドタキャンした理由?」
にこにこと笑いながら骸の話を聞いていた綱吉の額にはぽぅっとオレンジの炎が灯された。
「僕って愛されてるんだなぁとつくづく思いました。だって卵の白身はダメでも僕のはいいって言うんですよ…可愛い」
ほぅと幸せいっぱいの吐息を吐いてまだ反芻しているのか、どこか遠くをみていた骸は漸く異変に気づき綱吉を見た。
「あれ、綱吉くん死ぬ気の炎がついてますよ?」
不思議そうに綱吉の額を見ていた骸の鳩尾に衝撃が走った。
「死んでこい!」
「ぐあっ…!」
グローブに炎を灯した10代目により制裁されたのであった。