ずるりと引き抜くとほうっと息をついて身体を僅かに震わせぼんやりとした目で宙を見つめている。
胸で浅い呼吸を何度か繰り返して少し落ち着いたのか、トクトクと未だ溢れる欲を目に止めて眉をしかめた。
それに近くにあったティッシュを数枚引き抜いて汚れてしまった部分へとあてがうと気だるそうに腕を伸ばして拭い始める。
いつもと同じ光景だ。
拭き終わるのを見届けていると、視線に気づいたのか恥ずかしそうに目を伏せた。いつももっと恥ずかしいところだって赤裸々に見せているというのにこういう時にまだ少し恥じらうような仕草をするのだ。まるで乙女だ。普段の小生意気な態度からはとてもじゃないが考えられない。視線に耐えれなくなったのか小さな声で呟いた。
「見ないでください」
『だって目の前にあるんだもん、見ちゃうでしょー』
女性なんですからもっと慎みを…とかなんとか言うのを聞き流しながら丸めたティッシュをくずかごの中へ捨てるのを見送って今度はティッシュを箱ごと骸に手渡した。
「なんで自分で処理しないんですか」
『あんたの吐き出したもんなんだから最後まで責任とるのが筋ってモンでしょうが』
ブツブツ文句を言いながらも毎回丁寧に処理してくれるんだから人がいいというか虐げられるのが好きなドMというか…。
そんな骸を見下ろしながら、ふ、と息だけで笑うと怪訝そうに顔をあげた。
『骸ってクマモンみたいだよね』
「は?何ですかそれ」
『熊本のご当地キャラだよ。知らないの?』
「知りませんよ」
ぽいっと骸の残骸(…ちょっと面白いかも。残った骸ってぴったり。骸なだけに)をくずかごへ捨てるのを確認してから膝の上に腰を下ろした。
「で、それがどうしたんですか?」
『熊本に因んで熊をモチーフにしてるんだけどね、』
「……はい」
『見たら思わず駆け寄って飛び蹴りしたくなるくらいの愛らしさを兼ね備えたキャラクターなの!もう大好き!!』
「何ですかそのデパートの屋上にいる着ぐるみみたいな扱い…ってそういえば学生の頃やたらと出会い頭に飛び蹴りしてきたのはまさか、」
ひくりと口の端がひきつり、ワナワナと肩が震えだしたところで『大好き!!』と誤魔化すように抱きしめるとカッと目を見開いて面白い顔のまま固まった。
「は、え…好きって…ええっ…?」
それから眉を下げて慌てだした。その頬はうっすらと血色を取り戻してピンク色に染まっている。
本当に青くなったり白くなったり赤くなったりと忙しない奴だ。
『あはは。面白い骸ダイスキー』
「…っ!また君は人の事をおちょくって…!もう知りません!!」
膝の上から追い出され布団を被って拗ねだした骸に跨がって『ダイスキー!』と繰り返すと「人の気も知らないで」と布団の中から呻く声が聞こえてきた。
お題:まぞ様