最悪の運勢-2-
-緑間side-
今日は蟹座の運勢は最悪の12位なのだよ。
しかも、大怪我する可能性まで出ている。
こんな日は、ラッキーアイテムを持つ事が欠かせない。
しかし、このラッキーアイテムは……
昨日の出来事を思い出す。
苗字は、ラッキーアイテムを持てただろうか?
今日は無事に来れているだろうか?
俺は、最悪の運勢ながら、危なげなく朝練を続けていた。
途中、手洗いに出た帰りに苗字に遭遇した。
開いた体育館の扉から飛び出したバスケットボール。
立ち竦む彼女。
何で避けもしないのだよ!?
彼女の前に立ちふさがって、ボールを叩き落とした。
「何をやっているのだよ!?」思わず怒鳴っていた。
彼女は座り込んで茫然としている。何か様子が変だ。
立ち上がらせようとしたが、足がふらついていた。よく見ると膝が赤くなっている。
怪我したのか。…全く、良く当たる占いなのだよ。
保健室に連れて行く事にした。
キャプテンの許可を取ったものの、さて、どうするか…
肩を貸そうかとも思ったが、苗字と俺とでは40cm以上の身長差がある。
おんぶするには、荷物が邪魔になる。
やはり…これしかないか。
俺は、荷物ごと彼女を抱き上げた。
思ったよりも軽くて柔らかい。
彼女は驚いていたみたいだが、恥ずかしいのは俺の方なのだよ。
俺の心臓が早鐘を打つのを、彼女に知られないかと、気が気ではなかった。
保健室は無人だった。
取りあえず応急手当だけでもするつもりで、彼女の膝を診る。
手でゆっくり触ってみる。
白い腿が目に眩しい。さらさらとした皮膚の手触りが気持ちいい。
一瞬、感触に意識を持って行きかけて、慌てて意識を引き戻した。
膝は、少し赤くはなっているけど、腫れてまではいない様だ。
関節も動くし、骨折はないだろう。もしかしたら捻挫かもしれない。
取りあえず、湿布をして安静にするのだよ。
教室に戻ったら、高尾がニヤニヤした顔で見ていた。
「真ちゃん、名前ちゃんをお姫様抱っこしたんだって〜? 意外と隅に置けないよなぁ」
「黙れ高尾」
苗字は怪我したと言うのに、怪我したのが俺の方じゃなくて良かった、等と言って笑っていた。
苗字なりの、俺の気を楽にする気遣いなのだろうか?
しかし、俺は借りは必ず返す主義なのだよ。