Rhapsody in Green


ダークホース現る


青峰君と連絡先交換する為に、携帯を取り出した。

…あれ?着信が何件か入っているみたい。
高尾君と緑間君から10件以上入っているのに驚く。

青峰君も、自分の携帯に、何件かの着信が入っていたみたいで。
「…こっちも、さつきとテツと緑間から入っているぞ?」

何事かと、びっくりした私は緑間君に慌ててコールしてみる。
青峰君は、桃井さんに電話しているみたい。

《名前、無事か!?今どこにいるのだよ!?》
緑間君は、ワンコールで出た。

青峰君は「るっせーよ、まだ何もしてねーよ!」とか電話先に言っている。

《名前ちゃん、大丈夫っ!?青峰に変な事、されてないよな?》
緑間君への電話からは、高尾君の声も聞こえる。

『青峰君に送ってもらった。今は家の前』
《今、青峰はそこにいるのか?》
『いるよ』
《変わってくれるか?》
桃井さんとの電話をひとしきり終えた青峰君に電話を渡す。

「緑間か」
《青峰、名前に手を出すのは、俺が許さないのだよ》
「お前、名前の彼氏じゃねーだろ?そんな事言われる筋合いはねぇよ」
《…なっっ!?》
か…彼氏っ…!?
ちょっと…この人達、何を話しているの?
聞いていると、赤面してしまう。

少し続きを話した後、青峰君は携帯を切って、私に言った。
「…もう少ししたら、緑間達がここに来るってよ」
『…一体…何がどうしたの?』
「火神だな。余計な事を…あの後、テツに相談したらしい」
心配…させちゃったかな。実質拉致られたと同然だったし。

「ったく…テツの奴、さつきにまで連絡しやがって、面倒臭え。…お前、緑間とはどう言う関係だ?」
『クラスメートで…良く話す方かな?ラッキーアイテムとか貰ったりするし』
「へえぇ…あの緑間がねぇ」
…何だろ…?
青峰君が、私をじろじろ見ている。

「携帯返すぜ。ついでに俺の連絡先、入れといたから」
いつの間にか、勝手に赤外線通信で交換されていた。
ちょっ…他人の携帯、勝手に弄るな!!

「…なぁ」
と言いながら、青峰君は、私を壁際に追いやる。
『なっ…何ですか!?』

青峰君は、両腕の中に私を閉じ込めた。
そして、私の耳元に口を寄せて囁く。
「………お前の好きな男って…緑間か?」

『なっ…!!!』

知られた!!?

全身の血が逆流するかと思う程恥ずかしかった。
全身真っ赤になった私を見て、青峰君は「やはりそうか」と、凄絶な表情で低く笑った。
「…そのままあいつにやるのは勿体ねえな」
低い声で呟く。

そして、そのままゆっくりと整った浅黒い顔を近付けて来た。
『!?…や…やめ…!』
私は近付く青峰君を押し戻そうとした。
でも、私の全身の力を振り絞っても、青峰君は、びくともしなかった。

このままでは奪われる。
まだ…緑間君としてないのに……!!!

吐息がかかる距離になった。
もう、駄目かと観念した私は目を閉じた。

「青峰っっ!!!」
緑間君の切羽詰まった叫び声が聞こえた。

一瞬後には、青峰君は私から引き離されていた。
「おおーっと!あっぶねーwww」
青峰君は身を翻して、緑間君の拳を宙に切らせていた。

「真ちゃん!!」
「青峰君!!!」
高尾君と黒子君が続けて走って来る。

私は、緑間君の腕の中に抱き込まれた。
そして彼は、愕然とした様な…泣きそうな…苦しそうな表情で私を見た。

青峰君は、舌で自らの唇をチロリと舐めて「ご馳走様!」と、意味深に笑った。

「青峰…貴様っ…!!」
聞いた事のない、緑間君の激しい怒り声に、私はびくっと身体を竦ませた。

私の怯えた反応に気が付いた緑間君は、「…すまないのだよ。名前、大丈夫か?」と、気遣う様に私を覗き込んだ。

『うん。私は大丈夫…別に何もされてないし』
「しかし…今のは…?とても、大丈夫とは思えないのだよ」
緑間君は、苦しげに目を伏せた。

『今のって?』私は首を傾げた。
確かに迫られたけど、別に実質何もされてはいない。

「キスされてたんじゃないんですか?苗字さん」
横から黒子君がさらりと爆弾発言を投げ込んだ。
『は!?』

高尾君もうんうんと頷いている。
「後ろから見たけど、…してる様にしか見えなかったもんなぁ。しかも青峰は「ご馳走様」なんて言ってたし」

え…?
えええええぇぇぇ〜〜〜っっ!???

皆のこの反応はそれでか!?

私は首をぎぎぃ…と回すと、青峰君を睨んだ。
『…青峰君…!わざと…やったわね!?』
「ちっ、バラすのが早えよw」
そう笑いながら言ってるのが性質悪い。

一連のやり取りに気が抜けたようになった緑間君に、青峰君が小声で耳打ちして、意地悪く笑う。
「…さっさと名前をモノにしないと、俺が奪うぞ? 何せ俺は、お前ほど気が長くないからな」
「青峰っっ!!!」緑間君は真っ赤になって怒ってる。

勿論、耳打ちした内容は、私には聞こえてはいない。
それでも、緑間君を煽って、からかってる雰囲気は伝わってる。、
私はため息を吐いて『青峰君、悪ふざけは大概に…』と言いかけた時、青峰君は不意に遮った。

「名前、外野がうるせーから、もう帰んぞ」
『…そ、そう? …送ってくれて、ありがとう』
「おう」

青峰君が私の傍に近寄る。
私はうかつにも、無警戒に彼を見上げた。

「…それから俺の事は大輝と呼べ」
そう言いながら、青峰君は私の頬に、リップ音を立ててキスをした。

『…………』
いきなりの不意討ちに、私は一瞬、何をされたか分からなかった。
手を頬に当てて、ぽかんとする。
周りは阿鼻叫喚だった。

「青峰ぇぇぇぇっっっ!!!!」
「名前ちゃん!…くっそ青峰のヤロ!…俺もやる…!」
「何を言っているのだよ!?高尾!!」
「苗字さん、消毒しましょう!ガングロが移ります!」

「じゃーな!」
笑いながら去って行く、人の形をした青い嵐に、周りの混乱は加速するばかり。
とんでもない置き土産に、私は途方に暮れた。


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