Rhapsody in Green


Let's study!-1-


そして約束の日。

私は高尾君の漕ぐチャリアカーに乗って、緑間君と一緒に揺られている。
緑間君は、缶ビールを持っている。

私は、緑間君らしくないアイテムに首を傾げた。

…今日の蟹座のラッキーアイテムは、[音で動くもの]ではなかったっけ?

何で缶ビールなんか…?
つか、未成年の高校生が持って良い物ではない。しかも、お堅い位に真面目な緑間君が…

※※※

桐皇に着いた。
校門で桃井さんが待っていて、勉強する図書室まで案内してくれる。
「ミドリン、久しぶりー!!」
テンションの高い桃井さんに、緑間君は不機嫌に応じる。
「…桃井、あまりこいつに無理を言うな」
「ププ…"ミドリン"だってwww」
横で、高尾君はプルプルと震えてる。

桃井さんと高尾君も挨拶した。
「高尾和成でっす!真ちゃんとは、同じバスケ部でーす♪」
「…知っていますよ、高尾和成さん。"ホークアイ"を持つPG…ミドリンと同じ、一年にして秀徳のスタメン…」

高尾君の目がスッと細められ、油断のない光を湛える。
「…へぇ、さすがだね。キセキの世代のマネージャーは、やっぱりおっかねーなぁ」
「…桃井は、帝光の時、俺も何度も助けられたのだよ。桃井の情報収集能力は半端ではない」

………本当に、何で私は、この人達の中に入ってるんだろ…?

※※※

図書室では、キャプテンの今吉さんと桜井君と、何故か二年の若松さんが待っていた。

『…あれ?青峰君は?』
他のバスケ部の面々がいるのに、肝心の青峰君がいない。

彼等の足下には、大きな長い袋が転がっているが…… ん?袋??
私はびっくりして飛び退いた。
『きゃあっ!?袋が動いたっっ!!』

袋からは、色黒の首が飛び出した。
「てめーら!きったねー手を使いやがって!!よくも嵌めやがったな!!!このグラビア写真集、堀北マイちゃんじゃねーじゃんか!!!俺は巨乳がいいんだよ!!!こいつは、せいぜいBカップじゃねーか!」

あ…青峰君だ…!?
私は開いた口が塞がらなかった。

今吉さんは、青峰君の上に屈み込んだ。
「だって、呼んでもけーへんかったし。せっかく桃井が、青峰の愛しの君を呼んでくれたっつーのに。なぁ」
そんな事言いながら、今吉さんは私を意味深に見やる。

どうやら、この人は(堀北マイに非ず)グラビア写真集を餌に、青峰君を誘き寄せて捕獲して、袋に詰めて持って来たらしい。
『疑似餌かっ!?』私は思わず突っ込んだ。

「ええ突っ込みやなw 苗字名前さんやろ? 初めまして。キャプテンの今吉翔一言います。よろしゅう」
「二年の若松孝輔だ。よろしく」
「一年の桜井良です!すいません!!」
自己紹介に"すいません"と言われたのは初めてだww …さすが謝りキノコ…w

「緑間君と高尾君も、よろしゅうな?」

今吉さんは、わざとらしく青峰君に声をかける。
「さて、わしらは、この可愛らしいお嬢さんと一緒に楽しく勉強するで。 青峰はどうするんや?」
青峰君は、不貞腐れながらも渋々出て来た。

「ちっ!名前はともかく、何で緑間まで来てんだよ?」
「こいつだけでは、お前は手に余ると思ったのだよ」
「ちょうどええやん。緑間君は秀徳でも成績優秀やし、青峰も教えて貰うとええで」

「緑間は、偉そうだからイヤなんだよ!」
「イヤならそれでもいいが、それならこちらも名前を連れて帰るのだよ」
「そいつは置いてけ!!」
「出来ない相談なのだよ!」

※※※

…と、そんなこんなで。
桐皇バスケ部と、秀徳の一年生と。
不思議な取り合わせで、勉強を始めた。

緑間君は、科学・化学・生物・数学。
私は、国語・古典・漢文・日本史・西洋史。
今吉さんは英語。

「桃井と桜井は、まぁ何とかなるじゃろ。若松は…微妙やな。でも一番の問題は…やはり青峰やな」
『一年の期末の範囲は?』
「…寝てたから、分かんねー」
「ちょっと、大ちゃん!!…あのね、古典は源氏物語の若紫から明石の章まで…」
「歴史は日本史で…大化の改新あたりから鎌倉時代までです。すいません!!」

青峰君は、欠伸をしながら言う。
「…源氏物語って、アレだろ?…マザコンのロリコン皇子が、自分好みに女を調教する話だよな?」
『なんつー解釈だ…と言いたい所だが、大まかには間違っていない。ぶっちゃけ、当時の(エロあり)恋愛小説だね』

「で、紫の上のカップはD以上か?…俺は巨乳にしか興味がないわ」
『…巨乳なら読むんかいw……全文、読んでみればどこかに書いてあるかもしれないよ?…平安時代にブラないけど』
「へー…なら、ノーブラか…でかいと垂れるな…」
「大ちゃん、サイテーー!!」

『帯で締めてあるから、大丈夫なんじゃないの? 十二単衣じゃ身体のラインも分からないし、御簾の向こうにいるから、顔分からずに噂と手紙だけで夜這いするし。あ、ちなみにパンツもないよ』
「じゃあ、ノーパ…」
「青峰、止めんか!! 名前も余計な事は教えるんじゃないのだよ!」
『…興味を持ってもらった方が、覚えやすいと思って』

そんな会話を、横で聞いてた高尾君は笑い転げている。
「ぎゃははは!!! 勉強してるのか、エロ話をしてるのか、どっちなんだよ!!?」
「ふしだらな話をしてるのではないのだよ!!!」緑間君には怒られた。

真面目に勉強の話をしていたのに、不本意な言われようだ。
しょーがないので、話を変えてみる。

『青峰君は、得意な科目とかはないの?体育以外で』
「体育以外かよ…そうだな、日本史は比較的得意だぜ?」

なら、日本史は楽勝じゃん!
『大化の改新(乙巳の変)で、蘇我入鹿を殺した首謀者の名前を答えよ』
「ええと…何だったかな…?ほら、あれだ…!なかみとびだすかまきり…」
『中臣鎌足っっ!!!』グロいわっっ!!

「…ええ突っ込みや……」
「まるで漫才を聞いているみたいなのだよ…」
『……勉強ですっっ!!!』
「何で答えるのに、ワンテンポ遅れるわけ?名前ちゃんwww」
鋭い、高尾君w…自分でも、一瞬目的を忘れそうになっていたのは内緒だ。


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