Rhapsody in Green


マネージャーとしての日々


忙しい時だけの臨時マネージャーの約束ではあるけど、最近はほとんど毎日バスケ部に行っている。
短期なだけに、ちゃんとやりたいと思っているから。
実際、覚える事も多くて結構大変だったりする。

タオルや飲み物を用意する事以外にも、マッサージやテーピングも練習したり、ルールやスコアの書き方覚えたり、部誌記録したり、スポーツ医学や栄養学の初歩も学んだりしている。

最近は、先輩達とも仲良くなって来た…と思う。

指のテーピングは、緑間君が進んで練習台になってくれてる。
…最初は、指が曲がんなくて、文句を言われちゃったけど、最近は、上達してきた…と思う。苦情は言われなくなったし。

そして…私にとっては、初めての練習試合が組まれた。

相手は神奈川の強豪、海常高校。
キセキの世代、黄瀬君のいる高校だ。
以前、誠凛との試合を観る為に行った事がある。

教室で、携帯にメールが入っているのを確認する。
[今度、秀徳と練習試合するっス! 是非、観に来てくださいっス!!]
『ねーねー、真太郎君、黄瀬君からメールが来てるよ』
「…名前、見せるのだよ」
私は、緑間君に携帯を渡した。

黄瀬君には、私がマネになった事は、まだ知らせていない。

緑間君が、私に携帯を返した。
携帯の画面には
[送信しました]とある。

『送信…?』
送信済みのメールボックスを開いて確認すると、最新のは黄瀬君に返信してある。
開くと、そこには一言[死ね!]の文字。

『ちょっ…!?真太郎!!他人の携帯で、何勝手やってくれちゃってんの!?』
「名前の代わりに送っといてやっただけなのだよ」
『これじゃ、私が酷い人じゃん!!』
「黄瀬だから、構わないのだよ」
『いやいやいや…マズいでしょ!?』
「名前に黄瀬が貼り付く方がマズいのだよ。大体、黄瀬はいつ、名前とメルアドを交換したのだよ!?」
『いつ…って、誠凛と海常の練習試合の日だよ』
「黄瀬は俺と話していて、そんな事する時間はなかったと思ったが?」
『その後、友人とお茶して別れた後に、また会ったんだよ』
「全く…油断も隙もないのだよ」
溜息を吐かれた。

何?油断って!?

私は慌てて、黄瀬君にお詫びと事情説明とフォローのメールを送った。
黄瀬君からは、[緑間っちっスか、…びっくりしたっス。試合が今から楽しみっス]と、返信が来た。
もう、びっくりしたのはこっちだよ!

※※※

-練習試合当日-

今日は、どこから聞きつけて来たのか、ギャラリーに女子が圧倒的に多い。
元々秀徳男子バスケ部、特にスタメンは女子人気が高かったけど、今日はバスケに興味の無さそうな子も沢山来ている。

私は中谷監督に頼まれて、海常高校のメンバーを校門まで迎えに行った。

…遠目からでも、何処にいるのかすぐに分かった。
あの、女の子に囲まれてる一団がそうだな…

『あの、すみません。通してください』
…全然ダメだな。…困ったな。
綺羅綺羅しい女の子達が、壁となって海常メンバーに会えない。
…もういっそ、黄瀬君だけ置いて、他のメンバーを先に案内してやろうか、とも思ったけど、それもなぁ…

私は思い切って、キラキラ壁に突撃をかました。
うわ、思ったよりも圧力が高い!!
背の低い私は、左右前後、上からも押されて倒れそうになる。
つか、私の頭に肘を置くな!!

いきなり私は腕を掴まれて、その集団の中から救出された。
「名前、何をやっているのだよ?」
『うわーびっくりした〜! 真太郎君、ありがとう』

そのキラキラ集団も、緑間君の出現には、さすがに驚いて道を開けてくれた。
キャプテンの笠松さんが出て来てくれた。
「ああ…すまないな。案内が来ると聞いてはいたんだが」

黄瀬君は、女の子達にサインや握手をしていた。
秀徳でもファンサービスは欠かさないらしい。

「緑間っち、久しぶりっスね! …名前ちゃんは、何で一緒にいるんスか?」
「相変わらずだな、黄瀬… 名前は、うちの臨時のマネージャーになったのだよ」
言いながら、緑間君は今日の蟹座のラッキーアイテムである、ゴリラのホラーマスクを黄瀬君に被せる。

…やっぱり持って来たんだ…w
おは朝…蟹座に何か恨みでもあるのか?
何で、こんなのがラッキーアイテムなんだよ…?

黄瀬君は「緑間っち!何するんスか!?」とか抗議していたけど、このホラーマスクのせいで、黄瀬ファンの女子達は近寄る事が出来ずに引いてしまっている。
中身がイケメンでも、やっぱりゴリラ男は無理なんだろうか?

でも、これで案内はしやすくなった。
『では、体育館までご案内します』と、前を歩こうとしたら、後ろから手を掴まれた。
切れ長一重のイケメンさんが、私の手を掴んだまま「こんな可愛い子に会えるとは…運命を感じる!!」と熱烈な視線をくれて、熱く語り出した。
『…誰?』私は首を傾げた。
いきなり運命とか言われましても。

「僕は森山由孝。君の名前は?」
『…苗字名前です』
「なんて愛らしい名前なんだ…君にぴったりだね!」
えーとあの。
どうしよう? このままでは、埒が明かない。

困っていたら、緑間君が手を引き剥がし、笠松さんが後ろから森山さんをど突いていた。
「…うちの部員が失礼した」
あはは…海常のキャプテンも大変だなぁ…w

案内しながら、私は小堀さんと言う人に『海常にはマネージャーはいないのですか?』と聞いていた。
小堀さん曰く
「黄瀬のファンはうるせーし、キャプテンは女苦手だし、森山はナンパするしで…女子マネは入れねーよ。二軍の部員が持ち回りで代りをやってる」

前の秀徳と同じやり方をしていたらしい…
何か納得。

ゴリラ男…もとい、黄瀬君は「名前ちゃん、海常でマネやらないっスか?」と誘って来る。
緑間君は「名前は秀徳マネなのだよ!」と抗議している。
なおも黄瀬君は食い下がる。

「でも、名前ちゃんは臨時マネなんしょ?その臨時が終わってからで良いっスから!」
『…黄瀬君、悪いけど私は秀徳の生徒だし、臨時にしたのは、他でやりたい事もあるからだからね。だから受けられないよ』
黄瀬君は「…残念っス…」としゅんとした。

…でも外見はゴリラ男なので、残念だけど、あまり可愛くはならない。
……いや、ある意味、これはこれで可愛いかも…?w
いや、絆されるな私!


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