それから


カレカノ全国デビュー


「…それでは、気を取り直して第三問!!」
……スタッフもアナウンサーも大変だな…

「今日は初めてのデート!どこへ行きますか?」
1.遊園地
2.映画
3.水族館
4.海

「『寺!!!』なのだよ」

二人の声が綺麗に揃った。
あ、いけない!この選択肢から選ぶんだった。
私まで真太郎に毒されてどうするw

アナウンサーが困惑している。
私は慌てて弁明した。
『すみません!初デートは寺だったものでつい。…水族館でお願いします』
「…俺も水族館にするのだよ」
初めて意見が合った。水族館にも行ったからね。

しかし、周りのスタッフ達が小声で話しているのが聞こえる。
(高校生の初デートが寺って…渋過ぎだろ)
(写経デートとか。この二人ならありそうだな…)
聞こえてるんだよ。もっと小声で話せ。つか、写経デートって何。

「…それでは、第四問です!………」


始めは全然合わなくて言い争ったりもしたけど、後は息がピッタリ合った。

「結果発表です!!」
ラストまで何とか行ったので、アナウンサーはホッとした様だった。

「お二人の相性指数は……88%!! とても息の合った似た者カップルですねー!」
…良かった。取りあえず好成績と言って良いだろう。
これなら、真太郎の望むラッキーアイテム一週間分をゲット出来るに違いない。

私は真太郎を見上げた。
『良かったね、真太郎…?』
しかし、真太郎は何やら難しげに顔を顰めている。…何が気に入らないんだろう?

真太郎は、不満気に私を見下ろした。
「名前、お前はこれで満足するのか?」

…へ…?

『どー言う事…?』

何か悪いの??
私は首を傾げて真太郎を見上げた。

真太郎は私の手を握り、ぐっと力を込めた。
「俺は自分に可能な限り、人事を尽くす。…88%で満足する訳にはいかないのだよ!」
私はイヤな予感がした。
『…それってまさか』

「目指すぞ100%!!!パーフェクトが出るまでやり直すのだよ!!」
うわやっぱりかーwww

真太郎は、私を再び引っ張りながら、スタッフの前に行き、やり直しを要求した。
…勿論、丁重に断られてしまったけど。

それから、納得がいかない風な真太郎を宥めるのは大変だった。

『真太郎、相性値って、あくまでも目安で絶対なものじゃないから。元々私達のはそれなりに高いし』
「しかしだな…生まれつきで変えられない物で占うならともかく、
心理テストで判断するのなら、やり方次第で幾らでも高い相性に出来るのではないか?
…俺は変えられるのなら、人事を尽くしたいのだよ」

…私との仲を、より高い相性にしたいと言う、真太郎の気持ちはとても嬉しい。…だけど…

『……真太郎、恋愛で人事を尽くすと言うのは…そう言う事じゃないと思うよ?』
真太郎は切れ長の目を瞬いた。
「どう言う事なのだよ?」
『屈んでくれる?』
「こうか?」
真太郎は素直に屈んだ。

真太郎と目線の高さが同じになる。
私達はお互いの目を見交わした。

私は、真太郎を精一杯の愛おしさを込め、彼の首を抱き締めて軽くキスをした。
彼は不意のキスに驚いた顔をしたが、不敵に微笑んだ。
「…成程な。名前の言ってる意味が分かったのだよ。
確かに、お互いの気持ちが通じていれば、相性の事など気にならなくなるのだよ」

真太郎もお返しとばかりに、私を抱き締めて甘いキスを返した。


そして真太郎は、私を家まで送ってくれた。
律儀にも、家族に帰宅が遅くなってしまった旨を説明し、丁寧に詫びた。

そんな彼を、うちの家族達は信頼出来ると気に行ったみたいだ。

※※※

次の朝。

今日から新学期。
私は、すっかり観るのが習慣になってしまった"おは朝"にチャンネルを合わせた。
いつもの様にアナウンサーが、各星座のランキングとラッキーアイテムを読み上げている。

私は、家族と一緒にご飯を食べながら観ていた。
「今日のおは朝は、特番なんだな。いつもより長い」
兄が何気なく呟いた。

…ん?特番…??

良く見ると、映っているのは昨夜の駅前広場。
そして。

「初々しい高校生カップルです!君達名前は?」
「緑間真太郎なのだよ」
『苗字名前です…』

………ぶっっ!!!!

私は、危うく飲みかけていたカフェオーレを吹き出しそうになった。
慌てて飲み込む。

家族は、唖然としてテレビを凝視している。
私は、穴があったら自ら埋まりたい程恥ずかしかったが、更に相性テストが終わってからの画面を観て凍り付き…

テレビを破壊したい衝動と葛藤した。

※※※

学校にて。

教室で、女子達が、私を見て何か囁き合ってる。
その中の一人がおずおずと、私に訊いてくる。
「…ねぇ、苗字さんは、緑間君と付き合っているの?」
『あー…うん』
私は頷いた。
もう、これは言い訳のし様がない。
「えー!?いつから!?」
「どっちが告ったの!!??」

私は、クラスメイトに揉みくちゃの質問攻めにあった。


「やっほー!!名前ちゃん、今朝のテレビ観たぜー!!!」
高尾君は登校して私の顔を見るなり、ニヤニヤしながら私の肩に腕を回した。
『うっ…!!!』
私は真っ赤になって俯いた。

「高尾、名前から手を離すのだよ」
真太郎は、不機嫌な表情で高尾君を睨んだ。

高尾君は両手を上げて、私を離した。
「へーへー。真ちゃん、名前ちゃんの事、大好きだもんなぁ。
今朝のテレビ…あそこまでやるとは、びっくりしたよ俺。いやー、二人とも大胆だねぇ!」

『い…言わないで…』

そう。あの相性診断の後、次のカップルが自己紹介をしている背後で、バッチリと私達が抱擁→キスの一連の流れが映りこんでいた。

私は真っ赤に顔を染め、涙目で真太郎を見た。
…真太郎も顔を赤くしている。
『…ごめんね、真太郎。あんな…人前で…』
真太郎は、私の頭を撫でた。
「名前、謝る事はないのだよ。お前は人事を尽くしたのだから」
『でも、真太郎も…恥ずかしいでしょ?』
「俺は…むしろ安心したのだよ。…これで…名前は俺の彼女だと、全国に周知させたのだからな」

私の驚いた表情を見て、真太郎は優しく微笑んだ。
「名前の言う通り、相性100%よりも余程効き目があるのだよ」

ラッキーアイテムも手に入れたしな、と、嬉しそうに語る真太郎を見て、私も嬉しくなり、笑顔を返した。


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