Cupidにジェラシー-1-
Riq.no5 (夢主の友人に緑間が嫉妬する話)
※設定
夢主は秀徳一年生(緑間・高尾と同クラス)
趣味はお菓子作り
時期は、WC秀徳-洛山戦直後
※※※
「苗字、楽しそうだな」
隣の席から、緑間君が話しかけて来た。
私は、休み時間、友達とメールでやり取りしていた。
『え…?うん。今、丁度京都にいる友達が、こっちに来ているんだって。
今までsnsでしかやり取りしてなかったから、今度初めて会おうって話になってるの』
「sns…?何のだ?」
『手作り関連の。手作り菓子とか、コスメとか、ファッションとか…色々教えてくれたりしたお姉さんなんだけどね。
あ、そうだ緑間君、これ』
私は、彼にさっき校内の自販機で買って来たお汁粉の缶を渡す。
『いつもラッキーアイテムくれるからお礼ね。まだ熱いから気を付けてね』
「…汁粉か。受け取っておいてやるのだよ」
そこへ高尾君が横から茶々を入れる。
「真ちゃん、名前ちゃんからの差し入れ、本当は嬉しいくせに。素直になりなよ」
「……何の事を言っているのか分からないのだよ」
「またまた〜顔が赤くなってんぜw」
「高尾っ!!!」
高尾君のからかいに、緑間君は怒っている。
…確かに顔が赤くなっているけど…それって、怒っている…んだよね?
私は、緑間君が秘かに好き。
彼は口は悪いけど、意外と親切だし、優しい。
以前、私が立て続けに転んで怪我した時に、呆れながら保健室に付き添ってくれて、
「今日の、お前の星座は最悪の運勢なのだよ。これを持っていろ」と、何故か車のナンバープレートが渡された。
6が連なってる、どこかのホラー映画を彷彿とさせるナンバーだったが、その日の私のラッキーナンバーらしい。
それから、その日は怪我する事も無く、無事に過ごす事が出来た。
私がお礼を言うと、彼は「おは朝を見ないからだ。これからはちゃんとチェックするのだよ」と、顔を背けて眼鏡のブリッジを上げていた。
私は彼を好きだけど、彼は大概素っ気ない。
それは、私に対してだけじゃなくて、他の人に対しても同じだけど。
唯一の例外は高尾君かな。彼はチームメイトで相棒だしね。
高尾君にも緑間君は素っ気ないけど、高尾君の絡み方が上手いので、そんな事は気にならなくなっている。
私は高尾君が羨ましい。
只でさえ素っ気なく、不思議なラッキーアイテムをいつも持っている緑間君。
外見は格好良いし綺麗だし、成績もトップで努力もする、真面目で強豪バスケ部のレギュラー…と、
いくつも好ポイントがあるにも関わらず、取っつき難いのが勿体無いなぁ…と思っていた。
彼の優しさは、とても分り難いから。
でも、席が隣になってから、彼は何かと私に話しかけて来てくれる。
以前転んだ事で、気にかけてくれているんだろうけど、ラッキーアイテムも、私の星座までチェックしてくれて、よくくれたりする。
意外とマメな人だ。
彼は一応モテるけど、女子には冷淡な態度を取る。
それで、私も彼には告白しないつもりでいた。
フラれて、今までの儚い関係が壊れるのが怖かったから。
それなら、友達のままが良い、そう思っていた。
京都の友達には、よく恋愛相談にも乗って貰っている。女子力も高いみたい。
その友達のHNは「Reo」私よりも一つ年上。
勿論、私は緑間君の事も相談していた。
Reo姉さんは、「それって、名前ちゃんに気があるんじゃない?告白しちゃいなさいよ」
って、返してくれた。
それでも普段の緑間君を見ていると、そうは思えないし、とても勇気が出なかった。
私は、彼女に、待ち合わせの場所と時間を指定したメールを返信した。
すぐに返信が来た。
今度の週末が楽しみだな。
※※※
駅前広場で待ち合わせしていた。
そろそろ時間だ。
私は、メール画面を見返す。
『ええっと…白いコートに水色のセーター、ベージュのマフラーに黒いボトム…』
ふと見渡すと、白いコート着た綺麗で背が高い男の人がいた。
…でも、緑間君程じゃないな、と内心で失礼な値踏みをする。
『うーん…?』
それっぽい同年代の女の子…いないんだけど。まだ来てないのかなぁ?
電話がかかって来た。彼女からだ。
『はい。苗字です』
《やっぱり、貴女が名前ちゃんね!?》
『Reoさん』
思ったより声が低い…というより、どちらかと言うと、艶はあるが男性っぽい声だ。
『あの、どちらにいらしているのですか?』
《うふ。私なら、名前ちゃんの後ろにいるわよ?》
『…えっ!?』
私は慌てて後ろを振り向いた。
さっき目に付いた綺麗な男の人が、私と同じく携帯を耳に当てていた。
『お…男の人…っ!??』
私が吃驚して固まっていると、彼は艶然と微笑んだ。
「私がReo。実渕玲央が本名よ」
私は彼に速攻で謝っていた。
『すみません!!Reoさんって、てっきり女性かと!?』
「あっら〜…そう言えば、アタシ男だって言ってなかったわね。初めまして、苗字名前さん♪」
私はポカンとした顔で彼を見た。
こ、この口調って…この人…
『お、オカマさん、ですか?』
彼(?)はにっこりと微笑むと、私の背中を勢い良くバシン!と叩いた。
力の加減はしてくれたけど…地味に痛い。
「女の子が、そんな下品な言葉を使ってはダメよ?…せめてオネエと呼びなさい」
オカマとオネエって何が違うんだ…?
疑問符で頭の中をいっぱいにしながらも、必死で語彙を検索する。
『は、はい…では、玲央オネエ様…で?』
「そうねぇ…まぁ良いでしょ。お姉様、も悪くないわね。では行きましょ、名前ちゃん」
玲央お姉様は悠然と歩き出し、私も慌てて歩調を合わせた。
※※※
-緑間side-
WCで洛山に負け、海常に勝利した事で、俺達の挑戦は終わった。
今日は久しぶりのオフだ。
今日は、高尾と一緒にバッシュを買いに行く事にした。
繁華街は人が多いので、チャリアカーは置いて行く事にした。
「あーあ…折角の休みだってのに…何だって真ちゃんと一緒に買い物してんの、俺…?」
高尾の愚痴に、俺はイラつく。
「俺に文句があるなら、来なくても良いのだよ」
「…別に真ちゃんに文句がある訳じゃねーけどさー。久しぶりの休みなんだし、少しは潤いがあれば嬉しいなーって言ってんの」
「喉が渇いたなら、そこの自販機で買えばいいだろう」
「もー…何言ってんの、俺の言う潤いって…」
高尾がいきなり口を噤む。…一体何なのだよ?
「……真ちゃん」
高尾は急に小声になったと思ったら、そっと繁華街の一箇所を指で指す。
俺は、無言で高尾の指の先を辿った。
(あれは…!?苗字名前と……!!!?)
忘れもしない。
秀徳の優勝を阻んだ洛山のシューター…実渕玲央。
「なっ…!!???何で苗字が実渕と歩いているのだよ!!???」
「……しかも、結構親しそうじゃね?」
高尾は言いながら、俺の後ろに隠れる。
「何で俺の後ろに隠れるのだよ?」
「だーってさ…俺、何だかあの人苦手で…」
「高尾にも苦手なヤツがいるとは…珍しいのだよ」
「いや、ちょっとさ…試合の時、流し目されたっつーか…女の子からなら大歓迎なんだけど!」
「だから腰が引けているのか。でも、苗字といるからには、アイツはノーマルなんだろうな」
俺は言いながら、何故か心臓が焼け付く様に痛むのを感じた。
「もしかして…名前ちゃんが言ってた、京都から来た友達って…?」
「あいつは洛山…京都から来ているのだよ。俺はてっきり女の友達と思っていたがな」
「姉さんって呼んでいたしね。…確かにオネエさんではあるよなw」
俺は、それ以上高尾と会話をせずに、彼等を目で追った。
それを高尾が訝しげに見る。
「…真ちゃん…?俺達も用事があるんだから、行こうぜ…?」
「行くなら、お前が一人で行け。俺は急用が出来た」
「…ちょっ!?真ちゃん!!??」
俺は、実渕と苗字を追う。高尾も慌てて追いかけて来た。