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Sweet Times




Riq.no8(Blue Lifeの夢主で甘い話)

*Blue Lifeの夢主
「赤い雪警報発令!」の後くらいの時期

※※※

そろそろ初夏の足音が聞こえてくるこの頃。
名前は憂鬱だった。

「来週からプール開きだから、水着を忘れず持って来る様に」

担任がSHRで告げた言葉だ。

『はぁ…』私は溜息を吐いた。

隣では、青峰君が「水着ね…」とニヤニヤしている。
私は青峰君を睨みつけた。
大方、女子の水着姿が見れると言った所なんだろう。

私が睨みつけているのに気が付いた青峰君は「いいだろw別に、おめーの水着姿がどうとか思ってねーんだからさ」
と、失礼な事を言って来る。いや!別に、どうとか思われてなくて良いのですけど!!
彼は、男の生理現象だよ、とか何とか言ってるが、私の憂鬱の原因はそんなのとは関係ない。

『…大輝君は泳げる…よね?』
我ながら愚問だと思う。
彼は勉強は、からきしだが、スポーツにかけては天才だ。

「おー♪餓鬼の頃から、川で泳いでいたぜ!」
と、予想以上の野性味たっぷりの答えが返って来た。

そして、青峰君は横目で私を見る。
「…名前、おめー…ひょっとして、泳げない、とか?」

私は暗い表情で頷いた。
そう。実は私は俗に言う"金槌"だ。

そんな私を見た青峰君は思案顔になった。
「へー…名前って、ベンキョーは出来るけど、運動はからきしだもんなぁ」
『…休みたいけど、そんな事したら単位取れないし』

「じゃあ、教えてやろーか?水泳」
『えっ!?』
「勉強、教えてくれた礼だ。今度の日曜日にウォーターランドのプール行こうぜ。
最低でも、泳げる位にはしてやるよ。ただし、スパルタは覚悟して貰うぜ」

※※※

そして私は、散々迷った挙句に買った、ライン入りの競泳用ワンピースを身に着けて行く。

私の水着姿を見た青峰君は、不満気に鼻を鳴らした。
「何だ、ビキニじゃねーのか。ったく、色気ねーな。少しは楽しませろってーの!」
『何よ!水泳教わりに来たんだから、実用的で良いじゃない。どーせ、私がビキニ着た位では、どうとか思わないんでしょ!?』
「おめー胸が寂しいんだから、せめてビキニぐれー着て色気出せってーの。折角、俺好みの顔してんだからよ」
『最低っ!!』
私はリアルグラドルの代わりじゃない!

青峰君は、ブリーフタイプの黒っぽい水着を身に着けていた。
背が高くて、無駄な肉が削ぎ落とされて、手足が長く、鋼の様な黒い肉体。
美しい、と言って良い程の身体に、私は思わず視線を奪われた。

勿論、周りの人達の視線までも集めてしまっている。
……悔しいけど、恰好良い…!
ぼうっと見惚れていたら、青峰君と目が合った。

「何見てんだよ、スケベ」
『なっ!!?…プールに入るわよっ!!』

私が入ろうとしたら、彼に腕を掴まれ、引き寄せられる。
『な、何っ?』
「準備運動しねーと足攣るぞ?」
そうだった。忘れていた。

二人で準備運動を終えて、私はゆっくりとプールに入る。
「名前、おめー…全く金槌なのか?」
『…うん』
「じゃ、先ずは水に慣れる事からだな! 顔を水につけてみろ」
私は怖々水に顔をつけるが、すぐに苦しくなって、顔を上げてしまった。
そんな私を青峰君はギラリと睨む。
「…もう一回だ。今度は大きく息を吸ってもっと長くつけてみろ」

私は言われた通りにする。
不意に、青峰君はプールの中で長い脚を振り、私の足を払った。

私は足を取られて全身を水に沈めてしまう。
『〜〜〜っ!!!!???』
私は驚いてジタバタした後、ぷはっ!と息を吐いて、やっと体勢を戻した。
『ちょっと!?何するのよ!!?危ない事しないでよ!!!』

私の抗議に青峰君は平然と返した。
「名前、今身体は水中でどうなってた?」
私はきょとんとした。
えーっと…どうって?

無我夢中だったから朧気にしか覚えてないけど…全身が水に飲み込まれて…
「身体が浮かなかったか?」
『…あ。そう言えば』って。浮いたの?私??
「へっ…人間ってのは水に浮く様に出来てんだ。泳げねーってヤツの大半は、水に浮くコツを知らねーだけだ。
…今度は、俺に掴まって身体から余分な力を抜け」

私は青峰君の両手を掴み、足を浮かす様にバタ足する。
「水を怖がるな。顔をしっかりつけろ。息継ぎする一瞬だけ顔を上げろ。足は曲げるな」

私は必死になって足を動かす。
でも、まだまだ身体が緊張して、力が入ってしまう。
「もっと力を抜けって。ほら、足が沈んで来てっぞ」

青峰君は片手を外し、私のお腹の下に手を入れて浮かせる様にした。
水着越しに触れた手の感触にドキリとする。

『……っ!!?』
余分な力が入り過ぎたせいか、足が攣ってしまった。
痛みに耐えかねて、私は水中で無駄に手足をバタつかせた。
「あっ、おい!?名前!!!」

私は手を離し、水の中に沈んだ。
息が苦しくて、全身で足掻く。

すぐ目の前に青峰君の顔があった。
彼は、私を捕まえようとした、その時。
『……!?』

何か柔らかいものが私の唇を掠った。
今のは……!!?

掠った瞬間に、私の視界は青峰君でいっぱいになった。
今、触れたのは…彼の唇?

でも、羞恥心を感じている場合では無かった。
ごぼり、と私の口から空気が抜ける。
苦しい…っ!!
(大輝君…っ、助け…て!)

不意にぐいっと腰を掴まれ、包み込む様に抱き寄せられる。
私の背中と膝裏に腕を回される感触がして、一気に水から引き上げられた。

『げほっ!ごほっ!!』
プールサイドに引き上げられた私は、咳き込むと同時に水を吐き出した。
「大丈夫か?名前」
青峰君が背中を擦る。

『あ…足が…っ!』
「…あー、こりゃ攣ったな…」

※※※

「名前、足を出せ」
青峰君は、私の足先を掴み、ゆっくりと伸ばして行く。
『痛っ!』
「我慢しろ」

続けて膝裏も伸ばしていく。
「…どうだ?」
『少し楽になった』
「なら、マッサージしてやる」

『………』
青峰君の手が、私の足を擦る。
「少し休もうぜ」
『…ごめん。折角教えてくれてるのに…私…っ』

俯いた私の頭を、クシャクシャと乱暴に撫でる手が優しい。
「おめーが運痴だってのは、今に始まった事じゃねーからな!…どうだ?まだ水が怖ぇか?」
私は涙目で彼を見上げた。

『…大輝君が一緒なら…平気』
青峰君は目を瞠った。
「……おめー…随分、しおらしいじゃねーか。でもそれ他のヤローには、ぜってーやるなよ?誤解されっからな!」

青峰君に支えられて、私はゆっくりとラウンジチェアまで歩いて行く。
「そこで休んでいろ。すぐ戻って来る」と、青峰君は言い置いて、どこかに去って行った。

私は、ゆっくりと足を伸ばしてチェアに身体を預ける。
今日は日曜日なので、家族連れや学生達、恋人同士等客層も広い。
レジャー型のプール施設は広く、あちこちに流れるプールだの、スライダーだの、売店も沢山ある。
私は、パラソル越しに青い空を仰ぎ見た。…日焼け止めローション、持って来れば良かった。

私は、まだ足に彼の手の温もりが残っている様な気がした。
『……あれって…事故、だよね?』

水中で唇が触れた事については、今までそれ処じゃ無かったから、お互いに忘れた様にスルーしていた。
事故…だから、無かった事にした方がお互いの為、なんだろうな。
でも、それって…何だか少し寂しい気がする。

そこまで考えた私は軽く頭を振った。
寂しいって…何考えてるの私?
彼とは、そんなんじゃないから!!
※※※

「あっれー?君、一人?」
「可愛いねえ。俺らと一緒に遊ばない?」

私は、ぼんやりしていたので、それらの言葉が自分に向けられてると理解するのに、一瞬遅れた。
私に声をかけて来たのは、軽い遊び人風の若い男三人組。
元々軽いタイプは私の好みじゃない。私は、ふいっと視線を逸らした。
『すみません。連れがいるので、お断りします。他を当たってください』

でも彼等は、そんな私の断り文句に納得してくれなかった。
無理矢理私の腕を掴んで立たせようとする。
私は、まだ残ってる痛みに顔を顰めた。
「じゃあ、その連れの子も一緒にさー…どう?」
『離してください!!』

足の痛みが完全に取れてないのに、引き摺られかけて踏ん張る。
『…つっ!止めてっ!!』

その時、私の腕を掴んだ男の頭の上から、甘い香りと共に、茶色の混じった白っぽい液体が垂れかかった。
「冷てーっ!?」

振り向いた男はぎょっとして立ち竦んだ。
彼よりも一段背の高い色黒の男が、凶暴そうな笑顔を湛えていた。
飲み物の入ったカップを逆さにして、その男の頭上に乗せてやる。
「連れの子って…俺の事か?…いいぜ、遊んでやろーか?」

三人組は、強面の青峰君を見ると、そそくさと立ち去って行った。
その後ろ姿を睨み、青峰君は吐き捨てる。
「ちっ!チョコバナナスムージー、無駄にしちまったぜ。勿体ねえ」
そう言いながら、彼は私に抹茶アイスを押し付けた。

「てめーはバリウムが不足してっから、これでも食ってろ!あと、水分と塩分も摂れよ」
『…あ、ありがとう?』
「何で疑問形なんだよ?」

バリウム…って…胃の検査じゃあるまいし。…多分、"カリウム"とか言いたかったんだろうな。
抹茶やバナナに含有量が多いのは知っているんだ。
私はクスリと笑った。勉強会、また開かなきゃね。

青峰君は、隣のチェアに身体を預け、伸ばすと、私の方に身体を向けた。
そして、その長い腕を伸ばすと、私が舐めていたアイスを攫って行った。
『あっ!?』
「俺にも寄越せ」

そりゃ、青峰君が買って来た物だから、基本的な権利は彼にあるけど!
でも、食べている途中で持って行くなんて。

私が不服そうに頬を軽く膨らます。
私を見た青峰君は、愉快そうに笑った。
「くっw そんなにアイスが食いたいなら、食わせてやるよ」

青峰君は、アイスコーンからクリームを指で掬い取る。
「ほれ」
『……?』
「早く舐めないと溶けるぞ」
『なっ!?』

彼の言葉通り、溶けて垂れて来たアイスを鼻先に突き付けられ、私は慌てて彼の指ごとアイスを舐めた。
青峰君は、意地悪そうに笑った。
「うっわ…えっろ」

『ちょっと!?何させるのよっ!!?』
咄嗟に舐めてしまったとは言え、恥ずかしい事に変わりはない。

私の抗議を意に介さない青峰君は、もう一掬い取り、私の前に突き付ける。
「嫌なら、お前の身体に擦り付けて、俺が舐めてやっても良いんだぜ?」

そう言って、その指を私の首筋から胸元に近付ける。

その言葉と仕草に思わずゾクゾクしたけれど、それこそ冗談じゃない。
『こんな所で!?止めてよ!!』
「こんな所じゃなきゃ良いのかよ?」
『…んっ、よふなひよ』
「てめー、舐めるか喋るかどっちかにしろよ…」

私は口喧嘩しながらも、仕方無しに彼の指からアイスを食べてしまったのだった。
微かに塩っぽい味がしたのは、青峰君の味だろうか?

※※※

そして、体育の時間。
今度は私は、紺色のスクール水着に身を包んでプールの中にいた。
『…はぁ』
「名前さん」

桜井君が、私の傍に寄って来た。
「青峰さんと特訓したんでしょう? 泳げるようになったみたいですね?」
『あ、うん。少しはね。水に慣れて、浮く事が出来たから』
「凄いですね!おめでとうございます!!」
『ありがとう。…何とか形になって良かったよ』

その時、青峰君が会話に割り込んで来た。
私の後ろから肩に腕を回し、私の前で軽く交差させる。
見ようによっては、まるで後から抱き締めている様な仕草だ。周りの女子達は悲鳴を上げ、桜井君は真っ赤になった。

「まぁ、俺が手取り足取り教えてやったんだからな!当然だろ」
「てっ…手取り足取り…!?」
『大輝君…紛らわしい言い方しないで』
「今度は、おめーが奢れよな!」
『…っ!!!大丈夫よ。ちゃんと二人分買いますからっ!!』

真っ赤になって言い返した私を見て、青峰君はニヤニヤする。
「おー、今度は二回出来んのかw そいつぁ楽しみだぜ!」


END

※※※

双様

お楽しみいただけましたでしょうか?

「青峰長編(Blue Life)夢主で甘いお話」とのお題をいただきました。
…最初はあまり甘くなくて、普通にスパルタだし。青峰、微妙に夢主に酷いし…w

途中まで書いていて、これ、本当に甘くなるのか!?と思いつつ、
出来上がってみれば、どちらかと言うと、エロくなってしまった様な気が…orz
さじ加減って、難しい…特に青峰は、すぐ暴走するし。

もう、無理矢理に本物の甘い物出して、力技に持ち込んでいますw
時期的には、勉強会やった後位を想定していますので、まだお互いに無自覚設定です。

素敵なリクエスト、ありがとうございました!




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