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Excellent!




Riq.no11 (高尾夢、こたつでまったりデート)

*夢主設定
宮地の幼馴染の妹分。秀徳一年生。バスケ部マネージャー。

※※※

秀徳バスケ部棟
「名前っ!!おめー、中谷先生に聞いたぞ!?」
清兄の怒鳴り声に、私は洗濯籠を取り落としそうになり、びくりと肩を震わす。

『清兄…怒鳴らないで』
「英文法、赤点すれすれなんだってな?てめー分かってんのか。
今度のテストで赤点取ったら、補習で試合に参加出来ねーぞ?」
赤点取ったら轢くぞ、といつもの物騒な脅し文句に私は肩を竦める。

「俺が見てやってもいいが…今度の休みは、みゆみゆのコンサートがあるんだよ!
チケット最前だぞ、最前っ!!…うー…どうしたもんか…っくそっ!!」
『清兄、コンサート行ってきなよ?…私なら大丈夫だよ。勉強なら他の人に見て貰うから…』

これで清兄のライブ行を潰したら、私はきっと、一生文句を言われ続けるだろう。
そんな私の気遣いに、彼はじろりとねめつける。

「…まさか…高尾を呼ぶつもりじゃねーだろーな?」
その言葉に私の心臓が跳ねた。
『た、高尾君じゃ何が悪いの?彼、英文法得意じゃない』
「…高尾はダメだ。呼ぶなら、せめて緑間にしとけ」

私はむくれた。
『清兄、高尾君に対して何か含む所があるの!?』
「とにかく!高尾は止めとけ!!あいつと二人きりになるなんぞ、この俺が許さねーからな!
俺の言う事聞かなかったら刺す!!」
『横暴っ!!!』

週末の休みは、私の両親が旅行に行く事になっている。
誰かを呼ぶと、必然的に二人きりになってしまうのは避けられない。

兎に角、緑間君を呼ぶ事にすると清兄には伝えた。そうでもしないと、納得してくれない。
清兄は、私とは勿論血は繋がってはいない。
ただのお隣さんで、幼馴染のお兄さんだ。私は彼の妹分。
幼い頃は、彼の弟の裕兄と一緒に良く遊んでもらった。

清兄は私に対して過保護だ。
私が男の子と仲良くすると、すぐに睨みを効かせて恫喝する。…それで、私は何度の恋を逃した事か。
大抵の男の子は、怖がって逃げてしまう。そのくせ、清兄は私を彼女にする気は皆無で、あくまでも妹扱いだ。
清兄は、根性の無いヤツに名前をやれるか!!…と言うけど。

私は最近、高尾和成…高尾君が好きになった。
彼は、清兄の睨みにもビビらない。…ちょっと飄々として掴み処が無い感じだけど。
試合中の冷静さ、パス回しの格好良さ、お茶目だけど、ひたむきで努力家…優しくて男前、よく気が付くし。
…一見、軽薄そうに見えるけど純粋で。知れば知るほど惹かれて行く。

でも、私は恥ずかしくて、とても気持ちを伝えられない。
それどころか、いつもつんけんしてしまう。
高尾君は、私と緑間君を「秀徳の二大ツンデレ」「双璧のツンデレ」とよくからかって来る。…失礼な。

彼を勉強の名目で呼んで、少しでも関係を進展出来たら良いなー…とは思うけど、
私の気持ちは清兄に疾うに見透かされてて、しっかり釘を刺されてしまった。


『…どーしよーかなぁ…?』
私は暫く考えた。
そうだ、二人きりになるからダメだと言われるんだよね?
緑間君も一緒なら、高尾君呼んでも大丈夫な筈。

私は、浮き浮きと二人にメールを送った。

※※※

「おっ邪魔しまーすっ!!」
『あっ、いらっしゃいー…って、高尾君だけ?…緑間君は?』

私の質問に、高尾君は頭をかいた。
「あーっと…真ちゃんは、名前ちゃん家に猫がいるって聞いたから、来るの止めるってさ」
『ええっ!?緑間君、猫嫌いなの?』
「昔、引っかかれた事があるんだってよw あの、でかいなりで猫が苦手とかーwww」
ウケるっしょ、と高尾君はクスクス笑う。

『…何だ、折角お汁粉作ったのに…』
「俺が真ちゃんの分まで食べてやるよ」
『そう…?無理しないでいいのよ?』
高尾君は目を開いてきょとんとした。

「…何で、俺が無理してると思うの?」
『…だって、高尾君はキムチが好きなんでしょ?辛党なのかと思ってた』
「辛党も甘い物好きと矛盾しないっしょ。…それに、名前ちゃんの作ったお汁粉なら、俺も食べてーし?」

私の…作ったものが食べたい…の?
私は頬が熱くなって来るのを自覚した。

恥ずかしくなって、つい顔を背けてしまう。
『く、口に合わなくっても文句言わないでよ!』

高尾君と話していると、ドキドキしていつも挙動不審になってしまう。
そんな私を彼はツンデレと称するけど。…デレてなんていないんだからねっ!!


彼をリビングのこたつに案内する。
「じゃ、早速やろーぜ。真面目にやんねーと宮地先輩怖えからなー」
『お願いします』

問題集を開き、答えの間違っている所をピックアップする。
向かいにいる彼に見える様に、ノートを逆さまにするが、高尾君は立ち上がり、私のすぐ横に座る。
「こっちの方がやり易いっしょ?」

彼は、私に肩を寄せてノートを覗き込んだ。
身体が近くなって、心臓が跳ね、我知らず緊張した。

私に説明する高尾君の顔つきは真剣そのもので…至近距離で見た私は、不覚にもときめいてしまう。
「名前ちゃん?過去完了形のこの場合の否定形は、と…ここまで分かった?」

彼の瞳が私を射抜く。

いけない、問題に集中しないと!
「名前ちゃん?…どーしたの?」
高尾君が私の顔を覗き込んだ。
『なっ、何でもないわ!…っ』
私は、顔を背けた。

や、やだ!
私は慌てて問題集を手に取る。『否定形は、hadの後に"not"を付ければ良いのね?』

私は高尾君をチラリと見た。『………?』
彼は、身体を伏せ、プルプルと震えている。
『ど、どうしたの?大丈夫?』
「名前ちゃん…」彼は笑いを堪えた表情で、私の持ってる本を取り上げた。
「ププ…問題集、逆さまwww」『…あっ…!?』


『………』私としたことが。
私は、穴があったら入ってしまいたい程恥ずかしかった。

「ちょっと休憩しよっか?」

気遣ってくれたのかな?
彼は、私がつんけんした対応しても、怒らない…どころか面白がっている。
そんな所はちょっと癪だ。
でも、それで私がむくれようものなら、余計に彼を面白がらせてしまう。

『…なら、お茶淹れて来る』
「おー、お汁粉も宜しくっ!!」

私は、お汁粉と煎茶を乗せたトレイを持って、リビングに戻る。
そして、高尾君の持っている物を見て引き攣った。

「名前ちゃん、こんなの観るんだ…?」
彼の持っていたのは、ホラービデオだ。
「確か…超怖がりって聞いていたんだけど?…実はいやよいやよも…ってか?」
『…それは清兄が持って来て観て、そのまま置いて行ったのよ』

高尾君が首を傾げる。「…清兄?」
『宮地清志。清兄』
「名前ちゃん、宮地先輩の事、清兄って呼んでんの?」
『学校では示しが付かないからって宮地先輩って呼んではいるけど、プライベートでは清兄だよ』
「ふーん……?」
高尾君は拗ねた様に口を尖らした。

『どうしたの?』
「名前ちゃん、宮地先輩と仲良いんだ?しょっちゅう物の貸し借りもやってるし?」
『私は幼馴染で妹分だからね。裕也さんの事も裕兄と呼んでいるし』

「…じゃあ、俺のことも名前で呼んでくんね?」
『えっ…?』

高尾君に言われて、私は脳内で(和成)とシュミレートしてみる。
『か…』
彼は期待に満ちた表情で、首を可愛く傾げながら、私を覗き込む。
彼の黒い目とパチリと合う。や、やばい。心臓が暴れ出す。これ以上は…っ!!

『う…っ!む、無理っ!!』
「えーっ!?」
『ほ、ほら、お汁粉冷めるわよ!早く食べて』

高尾君は、お汁粉を啜りながら上目遣いで私を見た。

「ふーん…宮地先輩には出来んのに、俺には無理とか…地味に傷付くんすけどー?」
『だって、清兄は昔からそう呼んでたし』
「俺にも今からそう呼べば良いじゃん?何事も初めてがあるんだぜ?」
『イヤ』
「ちょ、そこでツンデレ発揮かよー!?www…どうしてもしてくれないなら、こうしちゃうぞw」

高尾君はホラーDVDを設置し、リモコンを操作してテレビに映し出す。
そして、彼は私を後ろから足で挟み、抱き込む様に羽交い絞めした。
高尾君の体温が、背中を通じてダイレクトに伝わって来る。

『な、何を…っ!?』
「ほら、画面観て♪」
『……っ!?』

画面に大写しになったのは、山の中の古びた西洋館。
そこに着いた男女一組が入って行く。

中は古くて重厚な造りで…
「へー…如何にも何か出そうだよなー」

私は微かに身動ぎした。何とか彼から離れなくては。とてもじゃないけど心臓が保たない。

高尾君は、私のお腹の前で手を組んだ。
「…名前ちゃん。…俺からは逃げらんねーぜ? 逃がす気もねーしな
大丈夫だよ!俺と一緒なら、怖くなんかねーから」

テレビ画面から、コツコツコツ…と足音が響く。ギイイ……と、重厚なドアが軋んだ音を立てて開いた。その刹那、
血塗れの顔が大写しになり、私は悲鳴を上げて縮こまった。
こ、怖い!

「名前ちゃん!?…やっべ、ちょっと一旦消すな?」
高尾君はそう言いながら、片手でリモコンを操作するが、うっかり手を滑らせた。
「あ、いけね!」

画面は一時停止になって、不気味な顔が大写しになったまま。
リモコンは転がり、こたつ布団の中に入ってしまった。

私は緩んだ彼の腕から抜け出し、入った辺りに手を伸ばして辺りを探った。
あった!?

私はリモコン掴んだと同時に、中で手を掴まれた。
高尾君も同時に、こたつ布団の中に手を入れていた。
お互いの視線が絡み合う。

『………』
「………」

私は喉がからからになり、やっとの事で言葉を発した。
『高尾君…手を離して?』

高尾君は真っ赤になっていた。
「あー…っと。…ゴメンな?」

私は、そのままリモコンを取り出そうとしたが、ボタンに手が触れてしまった。
「ギャアアアアアアアアア〜〜〜!!!!」
最大音量でテレビが絶叫したと同時に、私のこたつに入れた腕に何かが絡み付き、布団の中から勢い良く飛び出した。

『きゃあああああーーーーーっっっ!!!!!』
「うおっ!?」

私は恐怖と驚きのあまり、目の前の高尾君にしがみついたが、勢いがつき過ぎたらしく、彼を上から倒してしまった。

「ニャア」
猫が一声鳴いて、私の腕に身体を擦り付けた。
どうやら、こたつの中に入っていたらしい。…全然気が付かなかった。何て人騒がせな。

「ププッw猫…っ…名前ちゃん?大丈夫??」
……何か私…高尾君の前だと失敗ばかりしている。…明らかに彼は、軽く吹き出しかけている。
もう、穴があったら入りたい…orz

『……うん。…あっ!?』

私は俯いていた顔を上げたら、至近距離に高尾君の顔があった。

気が付いたら、私が高尾君を組み敷いている体勢になってしまっていた。
私は羞恥のあまり、頬が熱くなり、高尾君から飛び退こうとした。が。

彼に腕を勢い良く引かれて倒され、首と腰に腕を回され、逆に密着する事になってしまった。

『た…かお君…?ふざけるのはここまでにして…』
「…ふざけてなんか…ねーよ。名前ちゃん、これからまた英語の勉強するぜ? このまま聞いてろよ」
『英語、…って』こんな体勢で、勉強なんて出来る訳ないでしょ!!

でも高尾君は、戸惑う私に構わずに、歌う様に優しく耳元で囁く。
「名前、I think very tenderly of you.
…はい、これに返答して?」

……!?この訳は…!

(名前、君の事が堪らなく愛しい)

私は心が甘く震えた。

どう考えても、高校英文法とは思えない程簡単な文法。
もし…本当にそれが…私の思ったものなら……
私は息を吸い込んだ。心臓がタップを踏む。
『I feel the same about you too.…Kazunari』
(私も同じ様な気持ちです…和成)

はにかみながらの私の返答を聞いた高尾君は、嬉しそうに破顔し、私を抱き締める腕に力を込めた。

「Excellent!!!」(バッチリ!!!よく出来ました☆)

「じゃ、ご褒美な♪」と言いながら、高尾君は私の後頭部を押さえ、私の唇を彼のそれで塞いだ。
私は、めくるめく甘さに全身で浸りながら瞳を閉じた。

※※※

-宮地side-

「何だよ、これは!?…どーなっているんだ!?…緑間はどこ行った!?」
帰宅した俺は、早速名前の様子を見に来て、怒号を張り上げた。

お調子者の後輩と妹分の名前は、こたつに並んで眠っていた。

俺が怒鳴った声に反応する事もなく、二人共すやすやと気持ち良さそうに寝てやがる。
二人の腕はこたつ布団の中に入り、猫までもが高尾の腹の上で丸まって寝ていた。

俺は揺さぶって起こそうとしかけたが、途中で手を止め、「チッ!…轢くぞ!!」と、忌々し気に呟く。
俺はふと、こたつテーブルの上の乗った、みかんが盛られている器に目を留めた。


-高尾side-

すっげー気持ち良い…幸せー…

揺蕩う意識がゆっくりと浮上し、目を開ける。
…あれ?

見慣れぬ天井が目に入った。
こたつ布団に入った手が、柔らかな小さな何かを掴んでいる。
それが名前ちゃんの手だとすぐに認識し、もう離さねー、と指を絡ませて握り直した。

横を見ると、すぐ隣には名前ちゃんの寝顔。

「かーわいい…俺って、幸せもんだなー…」

俺は、人生でも最上の幸せ気分を満喫してたが、こたつテーブルの上を見た瞬間、その気分は霧散霧消した。

「あっちゃー…見付かっちゃったか。
…これは、明日から更なる地獄の練習メニューが待ってんなー…」

テーブルの上には、みかんが木製の器に盛られていて、その上には…
果物ナイフが、紙一枚と一緒に突き立てられていた。

紙には一言、太い筆文字で荒々しく「轢くぞ!!!」の文字。
言わずとも誰の仕業か分かろうと言うものである。

俺は肩を竦めた。
「…まっ、いっか。名前ちゃんの彼氏って認めて貰えるなら、地獄メニューだろーが熟してやるさ!
これは、宮地先輩の宣戦布告と受け取ったぜ」

俺は、傍らに眠る名前ちゃんに目を移し、愛しい気持ちを込めて、彼女の髪を指先でゆっくりと撫でた。

「負けねーよ。…何たって俺には、名前ちゃんが味方に付いているんだからな!!」

※※※

END

捺様

楽しんでいただけたでしょうか?

お題は「高尾夢で、炬燵でまったりデート」でした。

勉強会にかこつけてのデートで、まったり…と言うより少しはドタバタしてしまいました。
宮地をスパイスにしたら、割と積極的に邪魔しに来てるし…www

冬で炬燵…良いですねー♪

ほのぼの(?)と書いていて、とても楽しかったです。
高尾夢、書いたのは久しぶりです。

素敵なリクエスト、ありがとうございました!!




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