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カラフル鍋party!-2-




材料を全て切り終り、鍋を二つテーブルに据える。
一つは湯豆腐専用、一つは寄せ鍋用だ。

私はガスを点け、食材を火の通り難い順に入れて行く。
「おい、そろそろ魚入れていいか?」
『大輝君、少し待って。もう少しお野菜煮えてからにして…あっ、さつきちゃんはご飯よそって?』
「OKー」
「ポテチ食べていい〜?」
「ご飯食べた後の方が良いと思うよ。もう少しで出来るから」
『赤司君、そっちはもう少し火を弱くして』
「これでいいか?苗字」
『うん。バッチリ☆ありがとー』

「綽名っち、凄いっス…赤司っちを使っているっス…」
「湯豆腐は…赤司の為に作っているからな。アレに下手に手を出すと、こっちの命が危ういのだよ…」

細かく指示して作った、寄せ鍋も出来上がった。
「「「「「「『いただきます!』」」」」」」

私の左には真太郎、右には紫原君が座った。
ちなみに真太郎は、蟹座のラッキーアイテムである懐中電灯を抱えている。

「ちょっと、大ちゃん!!肉ばかり持って行かないでよ!!」
「あ?いいだろ、さつき。ケチケチすんなよ!」
『…あの…お肉、足しとくね』
「人参嫌いー」
『あ、避けとくよ』

「紫原っ!好き嫌いは良くないのだよ!」
「けどミドチン〜ミドチンだって、納豆嫌いじゃん」
「なっ、納豆は…っ!鍋に入れないからいいのだよ!!」
「ミドチン、ずるーい!」

「あっ、むっくん、私納豆持って来たから、鍋に入れられるよ?」
「わっ馬鹿っ!!!止めろ、さつきっ!!!」
『ちょっ…涼太君、取り上げてーっ!!!』
「駄目っスよー。これは別々に食べた方が良いッスからね!」

えー?じゃないよ、さつきちゃん。それ入れたらカオスだよ。
つか、彼女の近くにある食材の数々…鍋に入れるには適さないのが多々あるけど…?
これは見張らなきゃいけない案件か。デンジャラスな予感しかしない。

「…はぁ。助かったのだよ…って、紫原!まいう棒おかずに、ご飯は止めるのだよ!!」
「何で〜良いじゃん。バーベキュー味なんだから〜」
「そー言うこっちゃないのだよっ!!!」
「ミドチン、煩い〜」
「なっ!?」

私を挟んで、左右から頭の上で言い合いしている…って。どっかでもあったな、こんな事。
私は構わずに、鍋の具材を足し、煮えてるのを上に出し、出汁を足し入れ、火の調節をした。

赤司君は静かに黙々と湯豆腐を食べている。…寄せ鍋の方は食べないでいいのか?
『…あの、赤司君。味付けは大丈夫かな?』
「…ああ。出汁が効いていて美味しいよ」
『良かった。私にも少しお裾分け貰える?』
「構わないよ。器はこれでいいかい?」
『あ、私が盛るよ!他に欲しい人は?』
手を上げた桃井さん、真太郎、黄瀬君にもよそう。

「名前、お前の分なのだよ。全然食べてないだろう?」
真太郎が寄せ鍋の中身を取り分けてくれた。
『…あ、ありがとう』
「口を開けるのだよ」
『……え?』
「いいから口を開けろ」

『いや、私、自分で食べれるから…』
「早く開けるのだよ!」
と、真太郎は私の口元に触れんばかりに近付けた。
私は、とうとう強引さに根負けして口を開けると、真太郎は一つずつ口の中に入れて来た。

『むぐっ!?』
「どうだ?美味いか?」
『あ、あの…っ!』
「まだあるぞ。口を開けろ」
『ちょっと…って…むぐっ!』

皆が見ている中で、これはかなり恥ずかしい。
止めて貰う様に言おうとする度に、絶妙なタイミングで食べ物が突っ込まれる。

青峰君は呆れた様に首を振った。
「…たく…っ餌付けかよ。見せつけやがって」
黄瀬君も苦笑いしている。
「緑間っち…世話焼きのおかんみたいっス」
桃井さんは頬を染めて、目がキラキラしている。
「ミドリン…!私もテツ君と…キャー!!」

紫原君は私の頭を撫でて来た。って、子供扱いか!?

「あ」
『えっ?』
突然、パチリと電気が落ちた。
部屋は暗闇に包まれ、微かに弱火にした鍋の火だけが唯一の光源になった。

横からカチッと音がすると、下から照らした真太郎の顔が浮かび上がった。
「「「『ギャーーーッ!!!!???』」」」
私と桃井さん、青峰君と黄瀬君は一斉に悲鳴を上げた。
「こんな事もあろうかと、懐中電灯を持って来て良かったのだよ」
「「「「「『嘘吐け!!それはラッキーアイテムだろ!?』」」」」」
全員で総突っ込みが入る。

「取りあえず、それで照らしておこうか」と赤司君は動じない。
「ああ」と、真太郎は光を桃井さんに向けた。
「何っ!?どーして私に光を向けるの?ミドリン?」
「…と言いながら、何を鍋に入れようとしているんスか?桃っち?」
「あっテメー、ゴーヤ入れるんじゃねえ!!!」
「鰻も止めてくださいっス〜!!!」

暗いからって、闇鍋にすんな。

明るくなるまで安全を考え、一先ず火を切ったので、唯一の光源は真太郎の懐中電灯だけになった。…が。
それも切れて真っ暗になってしまった。
「緑間っち!?どーなってんスか!?」
「…電池が切れたのだよ」
「ちっ、役に立たねーな!!復旧はまだかよ!?」
「落ち着け、青峰」

私の右横からは、がさごそパリポリと…何か違う物を開けて咀嚼しているらしき音が聞こえる。
ある意味ブレない事に、感心しながら半ば呆れていると、左にいる真太郎に腕を掴んで引き寄せられた。

『な、何?』
きょどる私の耳元で「しっ!」と小さく囁かれる。
「…口を開けるのだよ」

ええっ!?この状態でも餌付けですか?
でも、暗闇の中で見えないからか、彼は片方の手で私の顎を掴んで上を向かせ、口の中に牛蒡巻きを突っ込んだ。
『むぐっ…んっ!?』
同時に彼の息が顔にかかり、唇に当たった感触に私は呆然とした。
…こ、これって……!?く…口移し…!???
『んう…っ!』
私は牛蒡巻きを噛み切り、ゆっくりと顔が離れる。と、すぐに電気が復旧し明かりが点いた。

…暗闇で彼等に見られなくて良かったけど…
心臓に悪い…ドキドキし過ぎて壊れるかと思った。
私は涙目で、小憎たらしい位に平然としている真太郎を睨んだ。

黄瀬君は息を吐いた。
「はぁ。やっと電気が点いたっス…ってなんスかこれ!?」

鍋の中は、惨憺たる状態だった。

「何でアボカドが丸ごと入ってんだよっ!!!???」
「みかんが浮かんでいるっス!?」
「大福が溶けているのだよ!!??」
「あれ〜グミが入ってる〜?」

桃井さんはにこにこと、立ち上がった。
「じゃ、私お茶淹れて来るねー♪」

……私達はガチ闇鍋と化した物体を見て愕然としていた。
…いや、食えねーだろ、これ…
青峰君が茫然と呟く中で、赤司君はマイペースに湯豆腐を平らげてた。(湯豆腐は無事だったらしい)


電気が復旧した直後、私は顔が真っ赤になっていたが、幸いにも(?)皆鍋に気を取られていたので、誰にも気付かれなかった様だ。
そして私は、何気なく真太郎の懐中電灯を弄っていたら、明かりが点いてしまった。
……電池が切れたって、まさか…?

真太郎を横目で見たら、彼はフッと笑って眼鏡のブリッジに手を掛け、悪戯っぽい表情で私を見た。

『電池が切れたって…!?嘘じゃ…?』
「また電池も蘇ったのだな。そう言う事もあるのだよ」
『しれっとよくも言う…!』
「…牛蒡巻きは美味かったのだよ。また食べたいものだな」
『……っ!!!』


END

※※※

「緑間長編夢主でキセキ達と鍋パーティ」のお題をいただきました。

既に緑間の彼女になった夢主は、意外と他のキセキ達とも関わりがあります。
色々絡みを考えていたのですが、書く直前まで決まらなかったです。と言うか…
書いている内にこうなりました。

ちょっと緑間が暴走気味になっています。
赤司を崩すのは、かなりの至難の技ですね。
上手く絡ませるのが難しいです。

それでも、個性的なキセキ達は書いていて面白いです。

リクエストくださった方、ありがとうございました!




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